日本共産党の藤野保史議員は5日の衆院予算委員会で、危険な「プルサーマル」発電を行う高浜原発3号機(福井県高浜町)が再稼働した(1月29日)問題を取り上げ、即時中止を迫るとともに、プルトニウムをなくすことが世界の流れだと、政府に政策転換を迫りました。

 破たんが明らかな高速増殖炉もんじゅの代替として登場した「プルサーマル」発電は、プルトニウムのリサイクルを狙いとした核燃料サイクルです。

 藤野氏は、軽水炉サイクルの中間貯蔵施設や再処理工場などが未完成である上に、使用済みMOX燃料の処理が現段階でも見通しが立たない点などを挙げて“八方ふさがり”だと指摘。「原発推進政策を続けるために、破たんした核燃料サイクルを何の見通しもなく続けるのはもうやめるべきだ」とただしました。

 その上で藤野氏は、この世で最も毒性の強い物質の一つとされているプルトニウムが、政府の原発推進政策によって日本で増加し続ける現状を告発しました。

 現在日本は、余剰プルトニウムを持たないのが原則ですが、国内外で47・8トンも保有しています。しかも安倍首相は、2014年の第3回核セキュリティー・サミットでプルトニウムの「最小化」を国際公約とする一方で、原発の再稼働や核のゴミの再処理でプルトニウムをさらに増やそうとしています。

 藤野氏が「『最小化』というが、プルトニウムは増えていくではないか」と追及したのに対し、林幹雄経済産業相は「計画が適切に実施されればプルトニウムは確実に減っていく」などと驚くべき答弁を行いました。

 藤野氏は、増加する日本のプルトニウムにアメリカでさえ懸念を示しており、18年に期限を迎える日米原子力協定の延長をめぐり、米大統領補佐官・科学技術担当のジョン・ホルドレン氏が「日本はすでに相当量のプルトニウムの備蓄があり、これ以上増えないことが望ましい」と主張していることを指摘。「原発再稼働、核燃料サイクル推進を前提とした日米原子力協定はやめるべきだ」と表明しました。

 プルサーマル 通常の原発で、使用済み核燃料を再処理して取り出したウランとプルトニウムの混合酸化物(MOX燃料)を燃やして発電すること。同燃料はウラン燃料に比べて融点が低いため、東京電力福島第1原発のように、原子炉の冷却機能を失う事故が起きたとき、炉心溶融の危険性が高まるといわれています。また、原子炉の核分裂反応にブレーキをかける制御棒が利きにくくなる問題も指摘されています。