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(肖像は19世紀のイギリスのユダヤ系政治家 ディズレイリ首相)


1年ほど前に知人のベテラン証券アナリストの方から、故太田龍氏
が主幹をしていた週刊日本新聞を、初回の1号から最終号までの
約580冊あまりを縁があっていただいた。

生前の太田氏の講演会には何回か参加し、本やネットの時事寸評
は読んでいたが、氏の週刊日本新聞は購入していなかった。

今までに平成14年から平成19年までの300号くほどを読んだ。

太田氏は現代社会に対する批判を行わせたら右にでる人が
いないほどの天才的な人であった。

またメインストリームの世界では訳すことができない国際金融軍事
権力の実態を暴いた英語の重要な文献を、日本人向けに訳してく
れたのは、見識と英語力に秀でており、かつ勇敢だった太田氏の
偉大なる功績である。

特に週刊日本新聞には、日本では滅多に入らない英語関係の
文献が多数紹介されている。

国際金融軍事権力と日本社会の実体を考える上で参考になった
記事をかいつまんで紹介していきたい。

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今回は、19世紀初期にロスチャイルド金権王朝が成立する以前
の金融権力についての情報である。

「平成18年12月18日  週刊日本新聞 第467号 から転載と抜粋」

■ディズレイリとロスチャイルドの関係についての日本人英国
問題専門学者のおどろくべき無知

ジョンコールマン著「ロスチャイルドの密謀」(成甲書房)が
ディズレイリとロスチャイルド家の関係に焦点をあてていること
については、既に色々なところで述べた。

<中略>

「コンタリーニ・フレミング」※(ディズレイリの本)
これは恐らく、明治の翻訳者にはまるでわけがわからない話では
なかったか。

19世紀当時の現代と、何世紀も昔のヴェネチアとが、小説で
結び付けられている。

コンタリーニ家は、ヴェネチアの黒い貴族の重要人物として、
西洋史上、著名である。

<中略>

何故、ディズレイリが小説の中で、ヴェネチアを問題とするのか。

<中略>

ここでは、コニングスビー(ディズレイリの書いた小説の主人公)が友人たちに対して、英国史とヴェネチア
の関係を説明する。

<中略>

「アンの治世は、ヴェネチア型とイングリッシュ・システムとの間の
闘争の時代であった。」

アン女王のあとは、ドイツ、ハノーバ王朝から、ジョージ一世(1714年~1727年)が迎えられる。

ジョージ一世から始まるハノーバ朝は、純然たるヴェネチア型国家体制であると、ディズレーリは言うのである。


■ヴェネチアの金融寡頭権力国家についての古典的文献、
ウェブスター・タープレイ

ウェブスター・タープレイ
「ザ・ヴェネチアン・コンスピラシー」

この論文は、今日に至るまで、ヴェネチアの黒い貴族についての
最も優れた古典的文献として、高く評価されている。

以下にその要点を記述する。
まずディズレイリが小説にしたコンタリーニ家である。

ヴェネチアの宗教改革と反宗教改革と、その両者に与えた影響は、
ガスペロコンタリーニのきらびやかな経歴の中に、最も明確に見る
ことができる。

コンタリーニはヴェネチアの最も高いロンギの家系の中の一つの
家の御曹司であった。
コンタリーニ家は、七人のドウーチェ(総統)を生んだ。

<中略>

前出タープレイの論文によれば、ヴェネチアの黒い貴族には、
二つの家系がある。

第一は西ローマ帝国崩壊時、ヴェネチアに避難したローマの貴族
に由来する西暦1000年以前に形成されたロンギと称される古い
家系である。

この古い家系は、西暦1382年までドウーチェの地位を独占した。
この年以降、新しい家系が台頭した、と。

ヴェネチアの黒い貴族の貿易の主たる事業は奴隷貿易であった
という。
これは特筆に値する。

ヴェネチアの国家=通商貿易帝国は、千五百年に亘って、外国から
征服されることなく強固に維持されたと。

<中略>

ヴェネチアの国家体制は、金権オリガルキー(金権寡頭権力国家)
である。

つまり、一定以上の資産を所有する百五十人(又は、より正確に
言えば、百五十家)
が最初のオリガルキーである。

その家系は千~二千、と増えていく。

しかし体制の根幹は不変である。

コンスタンチンノープルがイスラムの支配下に入って、東ローマ
(ビザンチン)が滅亡した時、ヴェネチアの寡頭権力国家
(黒い貴族)は、ローマ帝国の正統的継承者と自称して、
ローマ帝国の全世界的規模での再建を志した、
とタープレイは言う。

かくして彼らは16世紀、英国に取り付くわけである。

(転載終了)

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