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景気回復と新NISA
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景気回復と新NISA

2023-12-20 15:12



     もう年の瀬です。

     11月と12月は(もちろん季節要因で)ドンドンと暗くなる季節です。
     家内は「冬はおしゃれが出来て良い」とは言いますが、筆者は寒いのが嫌いなため、ひたすら暖かくなる季節を待つ身です。あと3か月(笑)。

     一方、岸田政権はあと3か月もつのでしょうか。
     またも政治資金規正法違反です。しかも個人では無く組織ぐるみの犯罪。
     これほどのザル法すら守れない連中が立法府に居るという恐ろしい現実。
     国民からの借金で支援した経済団体や天下り組織にパーティー券を買ってもらい、そのうえ横領までしていたことがバレました。そして法改正への言及も乏しいままに、またも自粛(何回目だ?)を言い出しました。
     呆れ果てて言葉を失います。

     不祥事が多発し続け、且つ経済団体など既得権寄りの政策しか出てこない古い自民党へ先祖返りした政権が続くとは思えません。2年前には無難な首相と思われましたが、実は旧来型の党内調整しか出来ない残念過ぎる首相であることが露呈しました。
     安倍元首相の真似をして「大袈裟な言い回し」だけで政権を維持することが可能と考えているのか。本人は本気なのかも知れませんが、残念なほど稚拙な発想です。安倍政権には日銀の強力な後押しがありましたが、既に昔の話しです。
     この政治の貧困が国の一層の衰退を招かないことを祈るばかりです。


     さて、今年の海外投資家は株主還元が増えた日本市場の変化を評価し、且つ円安が日本全体の業績向上に繋がると言ったイメージで、「円安傾向が出れば日本株買い」と言う風に動いていたように感じます。
     実際に円安は全体として企業業績を向上させ、デフレ脱却にも繋がっています。
     昨年までは急速な資源高が足かせとなりましたが、販価の引き上げやコスト削減などの企業努力により徐々に資源高を克服し業績は改善しています。

     これで賃上げも進めば定石通りの理想的な経済拡大に繋がりますが、今のように岸田首相が念仏を唱えるだけでは賃金は上がりません。依然として大企業は一部を除いて古いタイプの企業経営者が支配しており、業績向上ほどには労働分配率が上がらない状況が続く可能性があります。


     賃金を上げる為には以前から何度も書いていますように、労働者の流動性を高める施策が重要です。つまり嫌なら(雇用条件が悪いなら)会社を辞めても直ぐに生活に困らず、且つ次を探し易くするための補助策です。
     待遇の悪い企業から良い人材がサッサと逃げていく仕組みが出来れば、年功序列の経営思想や古い退職金規定なども変えていかざるを得なくなります。
     昭和の遺産ともいえる失業手当の仕組みも明らかに陳腐化しており、主力のビジネスパーソンを支援する仕組みにはなっていません。

     しかしながら経済界、特に経団連に役員を出しているような慢性低収益の大手企業はこれを嫌がります。何故なら優秀な人材を会社に留めたまま安くコキ使いたいから。加えて、地方政治家の後援会に所属する類の企業も低い人件費の維持を求めます。
     彼らから献金を受ける政治家が動かない故に必要な対策が進みません。


     それが日本でも労働者が足りなくなり、海外からの働き手も減る情勢下で、漸く賃金が上がり始めたのが昨今の動きです。これを後押しするのが政治家本来の仕事のはずです。
     経済界に飴(補助金)を差し出してお願いをするのではなく、規制緩和進めたりハローワークの制度改革をしたりなども重要で、献金欲しさに人材の流動化に尻込みするようでは日本の健全な成長には繋がりません。


     さて、秋以降の株式市場は円安の恩恵を受けた輸出企業(特に自動車関連)や、コロナ明けによる消費関連企業の業績改善を手掛かりに買われる動きが広がりましたが、これからの賃金動向が注目されます。
     四半期決算(3月期決算企業では中間期)で目立ったのは、円安の進展やサプライチェーンの回復による自動車生産の増加やリベンジ消費による業績拡大です。飲食関係や消費財も値上げ効果が出ています。

     気になるところでは、10月のメルマガに書いた「PBR1倍割れETF」が効果を発揮するほどには至っておらず、増配企業は増えたものの、形ばかりの自社株買いを発表しただけの企業が多いとの印象です。
     ニデックの永守会長が指摘されるように、M&Aをやり易くする政策作りを急がねば昼行燈経営は減りません。

     その一方で、中国市場に依存している企業の業績低迷が目立ちました。
     中国経済が崩壊寸前であると言った論調も目にしますが、90年代後半の日本のバブル崩壊は比較事例としては余り参考にならないのではないかと考えています。
     何故なら当時は日本の銀行業界が行き過ぎたオーバーローンの処理に躓いたことが大きかったからで、中国内のローンの形態は日本とは違います。強権支配が広がる中国の経済成長は徐々に低下していくと思われますが、日本礼賛に繋がるような安易な中国崩壊論には注意したいところです。


     来年からの新NISAのスタートは思ったよりインパクトがありそうな予感がします。
     少なくとも年間240万円の積極投資部分については短期的な売買も可能な仕組みを利用したいと考える投資家は多いのではないかと思うからです。
     仮に、最低でも年間100万口座が240万円を稼働させれば、比較的フットワークの軽い資金が5年間で12兆円も流入します。
     気にしておきたいポイントです。

     巷では120万円の積み立て分も含めて相当部分が海外投資に向けられると言われていますが、金利高が続く見通しの欧米市場と金利が低い国内市場とを比較しつつの投資になるのではないでしょうか。
     昨年までは頻繁に海外への投資を書いていましたが、150円まで円安が進んだこともあり悩ましいところです。足元では米国の貿易赤字が増え始めており、いつまでもドル高を容認していられるのか?も気になります。


    (街のコンサルタント)


    (情報提供を目的にしており内容を保証したわけではありません。投資に関しては御自身の責任と判断で願います。万が一、事実と異なる内容により、読者の皆様が損失を被っても筆者および発行者は一切の責任を負いません。)
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