この世には数多の「思考のメソッド」というものがあるが、その中でも最強のものの一つといえば「ルビッチならどうする?」だろう。

これは映画監督ビリー・ワイルダーの発明した思考のメソッドで、映画作りで行き詰まると、すぐに師匠であったエルンスト・ルビッチならどうするか?――と考えた。すると、たちどころに解決方法が見つかるのだ。そうしてワイルダーは映画史に残る名監督となった。

このワイルダーを師事する人間は多く、例えば映画監督のキャメロン・クロウは、常に「ワイルダーならどうする?」と考えながら映画を撮っていた。ワイルダーの「ルビッチならどうする?」という思考メソッドを踏襲しつつ、師匠の部分を当のワイルダーに置き換えたのだ。

クロウは映画監督として成功した後、ワイルダーとの対談集を出すのだが、そのタイトルも『ワイルダーならどうする?』だった。ちなみに、三谷幸喜もワイルダーの大ファンで、脚本を書く