
「その悪癖、もしかしたら自然に治るかもよ?」の続きです!(#1,#2,#3,#4)
このシリーズでは、依存症の世界でよく見かける「自然回復」って現象をもとに、「悪癖が自然に改善しちゃう人は何が違うのか?」ってのを深掘りしております。「なんとなく酒がやめられたなー」とか「気づいたらタバコを吸う量が減ったなー」みたいな体験をした人たちのデータを参考にしながら、私たちの悪癖を改善するヒントを得ようってことですな。
というわけで、前回は「環境を変えてうまく悪癖を断ち切るには?」って話を終えまして、今回は「役割を変えて悪癖を断ち切るには?」ってところをチェックしていきましょう。
悪癖自然回復フィックス2.役割を変える
「役割を変える」ってのは、自分に求められる立場やふるまいの枠組みを変えることを意味してます。たとえば、親になる・部署を異動する・新しいコミュニティに入るみたいに、自分の立ち位置そのものが変わるケースですね。
役割の変化が自然回復につながる理由はシンプルで、私たちは「自分は何者か?」に合わせて行動する生き物だからです。どんな人でも、親になれば親らしく、リーダーになればリーダーらしく振る舞おうとするでしょう。 このときに、過去の悪癖がその役割に“似合わなくなる”と、無理に我慢しなくても自然とズレが生まれちゃうじゃないですか。たとえば、「親の自分がタバコを吸うのはマズいな……」とか「リーダーの自分が酒でベロベロな姿は見せられないな……」みたいな感じっすね。
これに加えて、人生での役割が変わると、
- 生活リズムが変わる
- 付き合う人が変わる
- 優先順位が変わる
といった変化も同時に起きますんで、意志力でねじ伏せようとしなくても、「なんだか合わなくなったなー」みたいな環境ができやすいんですよ。これが、役割の変化が自然回復を後押しする理由であります。
では、実際に役割を変えるためにどうすべきか? 具体的な考え方を見てみましょう。
役割を変える実践法1 未来の役割を“先に演じる”
「未来の役割を“先に演じる”」ってのは、悪癖を無理にやめようとするんじゃなくて、「“悪癖をやっていない自分”を先に演じる」って考え方の手法であります。たとえば、
- あなたが「夜中にスマホをだらだら触る」という悪癖を止めたいなら、「23時以降は読書家役」を演じる
- あなたが「甘い物をつい食べ過ぎる」という悪癖を止めたいなら、「栄養を観察する人役」で買い物をする
- あなたが「深酒してしまう」という悪癖を止めたいなら、「朝トレを欠かさない人役」で夜を過ごす
- あなたが「仕事をサボってSNSを見る」という悪癖を止めたいなら、「締切絶対守るマン役」でデスクに座る
みたいな感じですな。こんな感じで、「未来の役割を先に演じる」実験を繰り返すのが、この手法の基本的な考え方であります。
なんでこのやり方が良いのかと言いますと、心理学でいう「ピグマリオン効果」が働くからです。これはめっちゃ有名な心理現象で、先生から「この子は伸びる」と期待された生徒の成績が実際に上がったり、上司から「l君がリーダーだ」と言われるだけで発言量が増えたり、「あなたは誠実な人だ」と周りから評価が集まると不正をしにくくなったり……みたいなやつですな。人間ってのは“自分が演じている役”に合わせて行動を調整する生き物なので、役割を先に決めると、それに合わせて振る舞いを変えやすいんですよ。
これは社会心理学の実験でも繰り返し示されている現象で、たとえば「健康意識が高い人」と先生から言われた人は、与えられなかった学生よりも間食が少なかった、みたいな研究(R)もあったりします。それぐらい人間ってのは、自分の“意思”よりも“自己イメージ”に従いやすい生き物なんですな。
皆さまもご存じのとおり、人間の意志の力ってのはめっちゃ弱いし、使いすぎると消耗しちゃうかもしれない(※現在は議論あり)性質を持ってるんで、下手にここに頼らないほうが無難。「やめるぞ!」とがんばるのではなく、「自己イメージ」を強くしたほうが自然と悪癖が減る可能性が高くなったりするものなんですな。
そこで登場するのが、「未来の役割を先に演じる」ってアプローチで、具体的には以下のように実践してみてください。