多くのMMAファイターをマネジメントするシュウ・ヒラタ氏が北米MMAシーンを縦横無尽に語りまくるコーナー!今回は14000字でお送りします!(聞き手/ジャン斉藤)



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シュウさんがマネジメントする神龍(誠)選手の試合が決まりました。4月のRIZINでズールー戦です。

シュウ これは二転三転したんですよ。神龍選手の立ち位置からすれば、フライ級のタイトルマッチにつながる試合をやりたかったんですけど。でも、フライ級はGPをやっちゃってるんでリセット状態じゃないですか。

――GPをやると焼け野原になっちゃうんですよね……。

シュウ その中で対戦候補として出てくる名前が新規契約ばっかりだったんですよ。

――おお、RIZINはフライ級の選手を新しく補充してるんですね。

シュウ 4月福岡のRIZINは日本人vs外国人になったように、新しい選手と契約していく姿勢をひしひしと感じたんですよ。これからこの選手でならやるというのなら新規契約します、というのもありましたし。摩嶋(一整)選手の対戦相手に関してもそうでした。

――摩嶋選手の相手はRIZIN初参戦のジェームズ・ギャラガーになりましたね。

シュウ なんでこんなに外国人が集まってくるかといえば、ボクもXで少し書きましたけども、まずPFLが財布の紐を固くしてるんですよ。

――いままでお金を使いすぎたと(笑)。

シュウ まあそうですね(笑)。それは新しい社長さんの考えだと思いますけども、2026年は勝負の年と考えているのでお金の面ではかなり厳しい。そうなってくると、UFCからリリースされた選手たちを高いお金で契約できないんです。我々がマネジメントをやらせてもらっているジャイルトン・アルメイダ選手もそうですけども……。

――アルメイダは勝ち越してるのにリリースされてしまいました……。

シュウ いままではあのクラスになると、PFLに行けばいいや、という考えがあったんですけど。その選択肢がまずなくなったんです。

――いままでの受け皿先だったベラトールがなくなり、PFLがそれを担えなくなった。お金をしっかり払ってくれるプロモーションが見当たらなくなってしまったんですね。

シュウ ご存知のどおり、LFAやUAEウォリアーズといったフィーダーショーのUFCファイトパス配信が打ち切られ。LFAは他のプラットフォーム(VICE TV)で配信してるんですけど、視聴者も少なく、必然的にギャラも下がってるんです。タイトルマッチのギャラを聞いたら、びっくりしますよ。それだったらDEEPのメインで試合をしたほうが稼げると思います。選手のギャラが全体的に下がってきてる中、PFLがなかなか雇ってくれないので、みんなRIZINに集まってきてるんですよ。

――だからこれだけの国際戦が組めると。

シュウ KSWという選択肢がないのは、あそこはポーランド中心のマーケットなんで。そこから情報があまり外に出てないじゃないですか。

――何をやってるかわからない秘境だから選択肢にならないと。

シュウ そうなるとアメリカ人やブラジル人のファイターたちは「出れるんだったらRIZINだよな」って話になるんですよね。だからRIZINも高いお金は出さないですよ。柏木さんはちゃんと交渉してますから、選手側の言い値を受け入れることは絶対しないと思うんですよね(笑)。RIZINの望む予算で、面白い選手と契約できる状況になってると思いますよ。

――半年くらい前の北米メディア記事に「RIZINと契約するのは大変だ」って書いてあったんですけど。ただ強いだけじゃなくて、何かもうひとつ売りがないと難しい。試合が面白いのか、キャラクターがあるのか、知名度があるのか。RIZINとしては“使える選手”を選び放題ってわけですね。

シュウ シンプルなマッチメーカーだったら、フォロワー数の多いインフルエンサーみたいな選手と契約するんですけども。RIZINは日本市場が基盤ですから、まず日本人選手のことを活かさなくちゃいけない。でも、勝負事ですから外国人が勝つことはあたりまえにありますし、そうなってもストーリーとして使える選手を呼びたいですよね。

――神龍選手の対戦候補に新規契約ファイターもいたけど、常連のズールーに落ち着いたんですね。

シュウ そういうことですね。神龍選手としては初めから「ズールー選手でもいいですよ」って言ってたんだけども、なぜかズールー選手の名前が挙がってこなくて。他の選手に断られたりして、二転三転してギリギリに決まったって感じですね。

――UFCで実力を証明してる堀口(恭司)選手を苦しめたズールー選手の株もついでに上がってるので(笑)、神龍選手からすれば、いいマッチメイクになりましたね。

シュウ いや、本当そうなんですよ(笑)。前から言ってるように軽量級は日本人でも世界で戦えますからね。それを何よりも証明したのはフライ級GPで優勝した扇久保選手じゃないですか。

――その扇久保選手のクビを狙う神龍選手は、アメリカン・トップチーム(ATT)で6週間のファイトキャンプを張るんですね。

シュウ そうです。今回はATTの選手寮に入ることになったんですよ。前は寮に入れず、ホテルに4週間も泊まったんで相当、お金がかかったんですよね(笑)。

――4週間もホテルに泊まるとなると大変ですねぇ。

シュウ しかもアメリカですからね。1泊2~3万円するわけですから(苦笑)。ATTというのが素晴らしいところは選手によるかもしれないけど、所属している選手に関しては寮の使用料金はタダなんですよ。

――タダ!

シュウ 100万円近くかかった渡航費・宿泊費が渡航費だけで、宿泊の部分はゼロになるわけだから、めちゃくちゃありがたいですよ。他のジムだったら、というか、まずジムに併設している寮があるところ自体が数えるほどなんで。ATTの場合は寮がジムに併設されてるからできることかもしれないですけど。

――お金も浮くし、練習し放題だし、理想の環境ですね。

シュウ 神龍選手は3月の大会に出たいと言ってたんですけど、そうなるとスケジュールがタイトじゃないですか。ATTに行ってもすぐに戻ってこないといけないですし。

――RIZINの大会が増えたことで選択が可能になったということですね。昔のRIZINだったら3月しか大会がなかったから、そこをスルーしたら5月6月まで待たないといけないし、無理に3月に出るしかなかったんですけど。

シュウ そうなんですよ。RIZINさんも10年ちょい経って、大会ペースが増えてきてるってことですね。そこはよく考えてほしいんですよ。ベラトールやPFLとかいままで失敗した団体って初めから大会数が多いんですよ。でも、選手が揃ってないのに大会数が多くても面白いものが魅せられないじゃないですか。

――キャラやストーリーが伝わってないわけですもんね。

シュウ そう考えると、徐々に上げていくRIZINのスタイルを見習うところもあるんじゃないですかね。

・秋元vs摩嶋は組みづらい
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・川村那月さんが表に出て何が悪いの?……14000字インタビューは会員ページへ続く



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