
「AI時代に必要なのは『ケンタウロス思考』だ!」の続きです!(#1)
このシリーズでは、みんな大好きサイエンス誌に掲載された最新のレビュー論文をもとに、AIを単なる便利ツールとして使うのではなく、人間の思考を拡張する「チームメンバー」として扱うための実践法を考えていきます。AI時代に私たちが鍛えるべきなのは「AIに正解を出させる力」ではなく、「AIと一緒に考える力」なのではないか?というのが、このシリーズの大きなテーマであります。
ということで今回は、前回の理論をふまえた上で、実際にAIとどう向き合えばいいのかを、手を動かしながら考えていきます。単なるプロンプト術ではなく、自分の思考プロセスそのものをAI込みで組み直すためのケンタウロス思考ワークをやってみましょう!
ケンタウロス思考ワーク#1:AIを「答えを出す機械」ではなく「チーム」として見る
さて、前回紹介したサイエンス論文では、AIを使えば使うほど起きやすくなる問題として、以下のようなものを挙げておられました。
- AIの答えをそのまま使っていいのか不安になる
- 出力がそれっぽいけど、どこか浅い気がする
- AIに聞いたのに、最終的には自分が迷っている
- 便利なはずなのに、思考の主導権を失っている感じがする
これらの違和感は、AIを使っている人なら誰もが抱いたことがあるでしょう。かくいう私もAIの答えを確認するのに時間がかかり、AI以前よりも作業に時間がかかる場面もチラホラ出てきております。
これはなかなか難しい問題でして、その原因も多岐にわたるんですけども、「ケンタウロス思考」を実践する上でまず問題になるのは、私たちがAIを「答えを出す機械」として見すぎているところにあったりします。これがどういうことかと言いますと、多くの人は、AIを使うときにこんなふうに考えがちです。
- 自分が質問する → AIが答える → その答えを使う
つまり、AIを巨大な検索エンジンとか、超高性能な相談相手みたいに扱っているわけですね。もちろん、この使い方が悪いわけではなくて、ちょっとした要約や言い換えなら十分に役立つことは多かったりします。
しかし、少し複雑なテーマになると、この使い方ではすぐ限界が来るのは確実でして、
- 新しい企画を考える
- ブログ記事を書く
- キャリアの方向性を決める
- 商品コンセプトを作る
- 複数の研究をもとに主張を組み立てる
みたいな作業では、AIに「正解」を出してもらおうとすると、だいたい微妙な感じになるんですよね。これはまだ私も言語化できてないとこなんですけど、なんとなく平均点っぽいけどつまんない大学生みたいな出力になると言いますか。
なんでこういう問題が起きちゃうのかと言いますと、複雑な作業には、単なる答え以上のものが必要だからです。複雑な作業を行うときに必要なのは、
- 問いを立てる
- 情報を集める
- 仮説を出す
- 別の視点から疑う
- 弱点を見つける
- 複数案を比較する
- 価値判断をする
- 最後に統合する
といった複数の思考プロセスでして、これをAIに全部まかせちゃうのはさすがに無理。というのも、AIは大量の情報処理やパターン抽出には強い一方で、「そもそも何を目指すのか?」「どの価値を優先するのか?」「この文脈では何が大事なのか?」みたいな判断までは、自動では引き受けてくれないからです。つまり、難しい問題を解くときに必要なのは、ひとつの答えではなく、よい思考の流れなんだってことであります。
人間の知能も、もともと「チーム戦」だった
で、ここで重要なのが、前回でもお伝えした「そもそも人間の知能も、個人の頭の中だけで完結しているわけではない」って視点なんですよ。簡単におさらいしておくと、「頭がいい人」というと、私たちはつい、
- 記憶力が高い
- 計算が速い
- IQが高い
- 知識が多い
みたいな要素を見て判断しがちなんだけど、実際の知能はもっと関係的なものだったりします。というのも、私たちは普段から、
- 本を読む
- 人に相談する
- Googleで調べる
- 過去のメモを見る
といった形で、外部のリソースに頼りながら考えているんですよね。つまり、人間の思考ってのは、最初から自分ひとりの脳だけで動いているものではないってのが、サイエンス論文の大事なポイントでありました。このような知性のあり方を元論文では、「人間の知能は『個人のスペック』ではなく、他者との相互作用、情報のやり取り、集団での問題解決の中で発揮される」と整理されてまして、なるほどなーって感じですね。
で、これはAI時代にもそのまま当てはまるわけです。この考え方に照らせば、AIを使うってのは単に外部の計算機を使うことではなくて、むしろ自分の思考チームに新しいメンバーを加えることだととらえたほうが実情に合っているし、それゆえにAIに丸投げするのではなく、チームの一員として役割を与えるほうが自然だと考えられるわけです。ケンタウロス思考を身につけるためには、まずこのマインドセットを育てるのがめっちゃ大事。
このマインドセットは、「AI活用には大きく2つのタイプがある!」と考えるとわかりやすいでしょう。
| タイプ | AIの見方 | 使い方 | 起きやすい問題 |
|---|---|---|---|
| AIに聞く人 | 答えを出す機械 | 質問して回答を待つ | 出力に振り回される |
| AIを指揮する人 | 思考チームの一員 | 役割を与えて動かす | 自分が判断者として残る |
たとえば、あなたが「新しいブログ記事のテーマを考える」ってタスクを実行するとしましょう。その時、「AIに聞く人」は、こう頼みます。
健康について面白いブログテーマを考えてください。
もちろん、これでもAIは答えてくれるものの、果たして出力されたテーマが良いのか悪いのか、読者に刺さるのか、自分の文体に合うのかは、けっきょくよくわからないんですよね。一方で、AIを指揮する人は、こう考えます。
まず、読者の悩みを洗い出すAIが必要だな。
あと、意外性のある切り口を出すAIがいるよなぁ。
そのあと、科学的に怪しい案を批判するAIも必要だよなぁ。
最後に、自分の読者に合う形に編集するAIもいないとなぁ。
この場合、AIは「答えを出してくれるマシン」じゃなくなりまして、
- 読者を理解してくれる役
- アイデアを出してくれる役
- 批判をしてくれる役
- 編集をしてくれる役
って感じで、複数の役割を持つチームになるんですな。まぁ、いきなりこういう考え方をするのは大変なんだけど、とりあえず「こういうマインドセットを持つのがケンタウロス思考の第一歩だ!」とお考えいただければ幸いです。
ということで、本日のワークです:「AIを“チーム”として見直してみよう!」
が、いかに「マインドセットを変えよ!」と言われても、それだけじゃ人間変わりませんので、ここからは実際に手を動かしていきましょう。自分のケンタウロス思考を組み替えるために、このワークでは、まず自分がAIをどんなふうに使っているのかを棚卸しし、そのうえで、AIを「答えを出す人」ではなく「思考チームのメンバー」として再配置していきます。いきなり高度なプロンプトを覚える必要はなく、まずは「自分はAIに何を任せていたのか?」「どこから先は自分が判断すべきなのか?」を見える化するのが目的です。
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