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2021年9月に掲載された原稿です

東京オリンピックを騒がせた小山田圭吾とイジメ告白記事! その問題を巡って原稿チェックのあり方が議論になっているが、原稿チェックといえば、やっぱり『紙のプロレス』に掲載された菊田早苗インタビューだろうということで、編集担当だった松澤チョロさんに話を伺いました。無駄話が多すぎて18000字!(聞き手/ジャン斉藤)



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タノムサク鳥羽☓松澤チョロの「歯無したちが語るイブシとか危険なハナシ」







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小山田圭吾と東京オリンピックの件で原稿チェックのあり方が話題になってましたけど。原稿チェックといえば、松澤さんが担当して『紙のプロレス』に掲載され物議を醸した菊田早苗インタビューだろうなと。

松澤 あー、そういうことか。たしかに小山田さんの謝罪文が出たときに、ある出版社の知り合いから「これってチョロさんと菊田さんっぽくないですか?」って連絡があって。

――簡単に説明すると、プロレスは真剣勝負ではなくファンを裏切ってるということで、菊田さんが「天コジはろくな死に方しない」と発言したことが大きな波紋を巻き起こしたんですが、後日になって菊田さんは実際には言っていないと。小山田さんと同じく編集側に勝手にやられたという主張をしてますね。

松澤 そう、最初はそうだった。小山田さんのイジメ告白記事が載った『クイック・ジャパン』の件でいえば、自分たちの先輩の吉田(豪)さんは当時の空気感に詳しいんで的確なこと言ってると思うんだけど。

――吉田さんはこの件について立体的に解説してましたね。

松澤 それでも吉田さんに「おまえが言うな」みたいに突っ込む人がいるのは、吉田さんがそういうことをやっていた側の『紙プロ』の人間だったからで、 『紙プロ』も鬼畜系雑誌の部類に入るだろうと。

――あら、そういう指摘があるんですね。

松澤 そこは短絡的に結びつける人もある程度いるね。「『紙プロ』も読者プレゼントで冬木弘道のおしっこをプレゼントしただろ?」とか言ってる人もいたし(笑)。 

――懐かしすぎる(笑)。あれは本当にプレゼントしたわけじゃないですよね。

松澤 まあ当時の新生FMWのカラーに合わせたネタっちゃー、ネタなんだけど。

――そのときボクはまだ『紙プロ』に入ってなかったんですけど、『紙プロ』と一口に言っても、小さい判型の頃の『紙のプロレス』時代はミニコミ誌的で、判型の大きくなった『紙のプロレスRADICAL』時代は業界に片足を踏み入れて、そしてより業界紙となり名称を変えた『Kamipro』時代と分かれるじゃないですか。歴代編集長は山口日昇さんとボクなんですけど、責任の所在が明らかになっていない時期もあって。

松澤 知ってる人は知ってるだろうけど、会長は編集長だった時期も、ほとんど現場にいなかったからね。

――そのへんの話を吉田さんの『書評の星座』単行本発刊記念で配信された『紙プロ』 同窓会でいろいろと話したいと思ってたんですよ。でも、松澤さんが泥酔しちゃって、あちこちに絡み始めて。

松澤 あー、その件に関しては本当に申し訳ございませんと言うしかないです。久々にみんな集まったから嬉しくて飲み過ぎてよくない方向に暴走してしまったというか。いろいろご迷惑をおかけしました!

――面白かったからいいですけど!

松澤    途中から記憶なくて、最後の挨拶でハッと意識が戻ったんだけど、吉田さん見たら明らかに不機嫌そうな顔してたんで、マジで生きた心地がしなかった。ジャン斉藤の話に期待してたDropkickファンにも申し訳ないというか。……あれ、今日はなんの話なんだっけ?

――いまも酔っ払ってるんですか? (笑)。小山田問題と『紙プロ』みたいな、ざっくりとしたテーマで。

松澤    でもたしかに『紙プロ』というだけで、こっちは関係ないのに責任を背負わされることはちょくちょくあったよなあ。『Rintama』ってあったでしょ。当時流行ってた『リングの魂』の雑誌版みたいな。俺は時期的に『Rintama』にはまったく関わってないんだけど。

――小さい頃の『紙プロ』とRADICALのあいだに出していたムックですね。

松澤 そこにゆでたまご先生の『ハダカーン ~パンクラチオンの星~』というマンガが掲載されてたんだけど、その生原稿を編集部の誰かがなくして。俺はキャラ的になくしそうだから、あるとき嶋田隆司先生に会ったら「チョロ、おまえがなくしたんだろ!?」みたいに弄られたことがあって。

――ボクも『Rintama』には一切関わってないんですけど。ゆでたまご先生の自伝でもその件が触れらていて、その自伝の版元の人間から「原稿をなくすなんて、本当にどうしようもない」みたいに言われたことがあって憤慨した記憶がありますね。

松澤 なくしたのは、当時関わってた、のものもなのか、中村カタブツ君なのかはいまだにわからないけど。

――だから『紙プロ』とはいっても時代によって関わってる人すら違う……んですけど、松澤さんの菊田早苗インタビューの影響で『紙プロ』は原稿チェックをしないで勝手に書く雑誌、というイメージは付いてましたよね。

松澤 俺のせいで悪いイメージが……。まあ会長はそこまで管理する人ではなかったから、吉田さんがスーパーバイザーとしてみんなの原稿をチェックしていたというか。これは「面白くないからやり直し」みたいにワンクッションはあったよね。

――吉田さんはRADICAL時代はもうフリーでしたけど、編集部に席があって。「書評の星座」とロングインタビューの仕事が3万円の家賃代わりだったみたいですね。

松澤 他にも座談会に出たりとか、それ以上仕事をしてもらってましたね。

――その中に「こうしたほうが面白くなる」というチェックもあった。吉田さんの手が空いたときに各デスクに置いてある校正紙を読み出して……あれは緊張しましたね。

松澤    なんなら見せたくなかったときもあった(苦笑)。

――松澤さんはあからさまに吉田さんに見られるの嫌がってましたよ(笑)。締め切りとっくに過ぎてて時間がないのに、いまさら書き直せるわけがないみたいな。

松澤 そうそう。「え、この段階で直さなきゃいけないの?」って。でも、吉田さんもほぼ無償でスーパーバイズしてくれてるし、その指摘に間違いはないし、内容的に指摘されてもしょうがないところはあるから。ただ、吉田さんもすべての原稿を見てるわけじゃないし、そこをくぐり抜けて問題が起きた原稿もあるんだけど。 小山田さんの件みたいに確信犯的なものはなかったんじゃないかなと思う。 ただ、「絶対にありませんでした!」と強く言える立場でもないかもしれない(笑)。

――確信犯ではないけど、振り返ればお叱りを受ける原稿はたくさんあったという。

松澤 まあ、それこそ『紙プロ』は編集者弄りはけっこうしてたから。読者の評判が悪かったら「これはやめた方がいいかな」って幸田珍みたいにフェードアウトさせるとかよくあったし。

――幸田珍って、もう誰も知らないですよ! ボクも会ったことないですし。 

松澤 俺は菊田さんの原稿の前に、『紙プロ』に入って早々に原稿チェックでやらかしてるからね。初インタビューで二瓶組の女子マネージャーを取材したんだけど、プライベートな話を赤裸々になんでも喋ってくれて。 「こんな話は『週プロ』や『週刊ゴング』では聞けない!!」って興奮して、最悪削られたらアルファベットにしようとか自分なりに考えて。まずはそのまんまの原稿を二瓶組長に見せたらすごく怒られて。「こんなものを出したら業界の先輩に迷惑だろうが!」と。

――それは二瓶組長が正しいですね(笑)。

松澤 それで「編集長を出せ!」ってことで電話越しで山口日昇vs二瓶組長が勃発したという。会長は会長で「二瓶組長って誰だよ!?」っていうスタンスだから、お互いに引けなくて……まあ悪いのは俺なんだけど(笑)。

――実際にアウトな原稿はありましたよね。山口さんが座談会で当時の『週プロ』佐藤編集長のプライベートに触れたことがあって。山口さん、吉田さん、堀江(ガンツ)さんが出席者で全員の原稿チェックではスルー。新人時代のボクが担当だったんですけど、そのまま載せたら大問題になって。堀江さんに連れられて『週プロ』編集部まで謝りに行ったんですけど、佐藤さんからめちゃくちゃ睨まれて。

松澤  それ、めっちゃ面白いじゃん。菓子折り事件的な(笑)。

――紙面で謝罪文も出したんですけど、悪ふざけされないように事前にチェックされた記憶も。

松澤 ああ、前に何かの謝罪文を出したときにメチャクチャ相手をバカにしたからかなあ。

――似たような件では、また座談会で山口さんや吉田さん、堀江さんがミルコ・クロコップ戦の高田延彦を批判したら、高田道場が超激怒して。そのときも新人のボクが担当という名ばかりの役割で、山口さんから「なんでこんな原稿を載せたんだ!?」って怒られたんですけど、山口さんも事前にチェックしてるんですよって話で(笑)。

松澤 酷い!(笑)。あれ、それが原因で会長とジャン斉藤がつかみ合いになったんだっけ?

――それはボクが入社した早々、本当にくだらない理由でケンカになりかけたんですよ。クビにならなかったのは人手不足だったからで、山口さん関係のインタビュー原稿や座談会はボクがずっと担当だったんですけど。

松澤  会長はしょっちゅう行方不明になるから原稿チェックできなかったこともあったりヒヤヒヤしたんじゃないの。

――なんだかんだチェックはするんですよ。とくに座談会は吉田さんが危険な手直しをしてくるから。当時の山口さんは榊原(信行)さんのブレーンだったからPRIDE方面を刺激したくない。でも、当時の吉田さんはギラギラしてるからPRIDEを刺激したくなるようなことを言いたいという。当時の2人の原稿チェックのやり取りは緊張感ありましたよ……。

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