鳥羽 ……Dropkickの記事をバーっと見させてもらったんですけど、俺を出すなんて絶対にダメですよ。合わないんじゃないかなあ。

――えっ、そんなことはないですよ(笑)。

鳥羽 なんで俺なのかといえば、篠(泰樹)さんの記事があったから、そのルートかなあ、みたいな。

松澤
 マァ☆ティン(星野育蒔)の話の流れで名前が出てましたしね。それもありますけど、きっかけは俺が鳥羽さんがツイッターで募集かけてたタイ飯会に出たことですね。

鳥羽     あ、そうなんすか?

松澤
     自分がタイ飯会に参加したっていうツイートを見たジャン斉藤が「鳥羽さんインタビューどうですか?」って聞いてきて。たしかにカミプロ時代、DDTも担当してたし、わりと鳥羽さんと近くてネタもいろいろと持ってるだろう……と思われてるっぽいけど、じつは話をするのはタイ飯会がほぼ初めてで(笑)。

鳥羽 いやいや、そんなことないでしょ(笑)。

松澤
 そうでしたっけ?   まあ面識はありますよね、25年ぐらい前から。

鳥羽 当時のカミプロで何度かインタビューしてくれましたよ。

松澤
 ああ、そうだ。そのあとジャイ子のマネジャーデビュー戦がDDTの板橋大会かなんかであって……。

――
いろいろと説明が大変ですよ(笑)。

松澤
 面識はあるけど、ちゃんと話したことはなくて。鳥羽さんは渦中の飯伏(幸太)さんやマァ☆ティンと仲が良かったりとか、AV監督やってたりとか興味深い半生ですけど(笑)。そんなアウトローな方面を含めて、あらためて聞きたいことがたくさんあるんですよ。

鳥羽 いやいや、全然アウトローじゃないですよ(笑)。

松澤
 タイ飯会に参加したのも鳥羽さんに聞きたいことがあって。人見知りなんで、こういうイベントに足を運ぶのはメチャ勇気がいるんですけど(笑)。マニアックな鳥羽さんファンが5~6人集るのかなと勝手に想像して、ちょっと遅れて行ったら女子が10人以上いて、超ビックリしましたよ!

鳥羽 いや、みんな飯伏ファン。飯伏はいないのに(笑)。

松澤
 いまの飯伏さんは所属する新日本といろいろあって欠場中で。たまにツイートするぐらいで、あまり飯伏情報が出てこないですよね。仲のいい鳥羽さんのイベントで何か聞けるじゃねえか……とか、なんならサプライズで飯伏さんが来るんじゃないか……思われてるってことですよね。

鳥羽 アイツが来るわけないですよ(笑)。「飯伏のことは何も喋りませんから」って先に言いましたから。飯伏のことはそのうちいろいろとわかるんじゃないですか。

松澤
    契約は2023年の1月まであるみたいですね。それぐらいには体調も万全になる感じですかね?

鳥羽    飯伏はけっこう元気なんすよ。もちろん肩や足はまだまだダメなんですけど、やっぱストレスがすごいらしくて。ストレス解消なのかボクが呼び出されて練習相手になってたんですけど。それが噂になって格闘家やプロレスラーがじゃんじゃん来ているらしいですよね。

松澤
 飯伏さんのプライベートジム「飯伏プロレス研究所」に。先日もノアの清宮海斗、全日本プロレスの大森北斗とのスリーショットを練習終わりでツイッターにアップして、ざわつかせてましたね(笑)。

鳥羽 最初は飯伏も誰が誰だかわかってなかったっぽいですけどね。まぁ、たしかに飯伏からしたら若手なんですけど。

松澤
 さすがだ!(笑)。飯伏さんがかなり変わってるってことはファンなら知ってるとは思うんですけど、それはとぼけてるわけじゃなくて本当に知らない感じ?

鳥羽 ホントに。アイツのことはいまだによくわかってないす。正体がわかんない。頭がいいのか、悪いのかわかんねえ。

松澤
 鳥羽さんはキックボクサーでありながらプロレスもやって、トレーナーとしていろんな選手を見てますけど、誰かのYouTubeで「飯伏幸太と那須川天心の2人は本当にバケモノで、プロレス格闘技のジャンルを超えて突出している」と言ってたのが印象的で。

鳥羽 ちょっとこの2人は抜けてますよね。ハンマー投げの室伏(広治)みたいなもんで。何をやらせてもトップになると思いますよ。

松澤
    飯伏と天心は室伏レベル!

鳥羽    飯伏は格闘技のほうをやっても全然いけますよ。アイツは打撃のフォームや受け身が第三者目線でどう見られるかをチェックするために、トレーニングとかスマホで撮ってるんですよね。「こんなのいっぱいありますよ」って送ってくるから「絶対に捨てるなよ」って。

松澤
 お宝映像ですよね。

鳥羽 「その映像くれ!」って(笑)。けっこうバーっともらって、その中からちょいちょいツイッターに上げたんですけど。やっぱり格闘技のセンスはすごいですよ。

松澤 飯伏さんは2006年にK-1 MAXでアンディ・オロゴンとの試合が発表されたこともありましたね。

鳥羽 あれ、アンディ・オロゴンのケガで試合がなくなったという発表になってますけど、兄貴のボビー・オロゴンが事務所とのトラブルで逮捕されたからじゃないですかね?(笑)。

松澤
 あー、そんな事件ありましたねぇ。

鳥羽 あのとき周りから心配されてたんですよ、「アンディはすごい強いですけど大丈夫なんですか?」って。俺は「全然大丈夫です」って。

松澤
 K-1デビューが幻に終わったことで、飯伏さんが格闘技界に見つからなくてよかったという声もありましたよね。見つかったら、もう絶対に格闘技をやらせたほうがいいって話になっちゃうから。

鳥羽 周りはそう思いたくなるほどの才能ですよ。「なんでアイツ、プロレスなんかやってるんだよ」って格闘技関係の人に言われたりするけど、本人がやりたくてやってるんだって(笑)。桜井(マッハ速人)とかも言ってましたよ。

松澤
 鳥羽さんはマッハさんと高校の同級生で、長い付き合いですけど。マッハさんと同じ舞台でやっても勝てるくらいの才能があるとも言ってましたね。

鳥羽 本気でやったら全然いけると思いますよ。桜井とはスリム新空手で一緒で。

――
茨城にあった格闘技ジムですね。川尻(達也)さんも所属していた。 

鳥羽 川尻と岩瀬(茂俊)が入ってきたときはギリいました。石田(光洋)くんが入った頃はもういないですね。

松澤
 さらに同級生に小見川道大さんや宮田和幸さんもいたというすごい環境で(笑)。

鳥羽     いま考えたらすごいっすよね(笑)。

松澤
     格闘技にもっと打ち込むためにマッハさんと一緒に上京したんですよね。

鳥羽 当時の茨城には常設のジムがなかったですからね。

松澤
 話は戻りますけど、そもそも飯伏さんがプロレスラーになったのは、鳥羽さんがきっかけだったみたいで。DDTが毎年やってるビアガーデンプロレスが、たまたま飯伏さんが当時住んでるところの近くでやってて。キックボクサースタイルの鳥羽さんの試合を見て「俺のほうが絶対に強え」ってことで入ってきたと。

鳥羽 いや、それはどっかで話がネジ曲がってますね!(笑)。

松澤
 あ、デマでしたか。すいません!(笑)。

鳥羽 だってアイツ、俺のことを昔から知ってましたよ。鹿児島時代から二瓶組のビデオを買って見てたみたいだし。もともと飯伏はグローブレスラーが好きだったみたいっす。

松澤
 グローブレスラーといえば二瓶組に鴨居長太郎さんとかいましたよね。

鳥羽 パッキャオと戦ったことがあってグローブレスラーとしてもプロレスをやった寺尾心選手のことも飯伏は知っていて。

松澤
 鹿児島で二瓶組のビデオ見てるって相当ですよ!  ちなみに二瓶組というのは当時鳥羽さんが所属していたインディ団体で、あっちの組織ではないですね(笑)。

鳥羽 違いますね(笑)。それが東京に出てきて就職して空手をやり出したらプロレスより格闘技のプロになれよみたいな流れになっちゃってね。

松澤
 空手を始めてすぐに優勝したりしたみたいですからね。

鳥羽 そうそう。当時はアイツは千葉に住んでて、「プロレスやってるんだ」と軽い気持ちで見に行ったら、ちょうど俺が試合をやっていたんです。アイツの中でプロレスは崇高なものだったんですよ。

松澤
    二瓶組のビデオを取り寄せるぐらいのマニアックなプロレスファンですからね(笑)。

鳥羽   そうそう。プロレスは崇高なものなんだけども「あ、いまってこんなに緩いんだ」って思ったらしくて(笑)、「1回ぐらいやってみよっかな」みたいな。

松澤
 飯伏さんの中でプロレスは諦めかけていた頃に、たまたま鳥羽さんの試合を見て、気持ちが再熱したと。

鳥羽 そんな気持ちが全然あったみたいですよ。それはなんかの記事で読んだのかな。

松澤 鳥羽さんのことを調べてみて驚いたのは、まあそうなんだろうなと思ってはいたんですが、プロレスの練習ってしたことないんですよね?

鳥羽 ない(キッパリ)。

松澤
 10年以上もプロレスをやり続けて、しかもプロレス団体に所属もしてたのに(笑)。

鳥羽 いや、ホントにやったことなくて。あ、そういえばいま町田光選手を教えてるんですよ。

松澤
 元キックボクサーで最近はDDTにも出てますよね。

鳥羽 高木(三四郎)さんのほうから「ちょっと一緒に練習してくださいよー」ってことで。まあ俺がグローブレスラーということもあるんでしょうけど。

松澤
 たしかに。DDTも時代とともにいろいろとスタイルとか変わってきましたけど、鳥羽さんのようなグローブスタイルは結果的にDDTだから活かされたところもありますよね。

鳥羽 ですね。初期には木村(浩一郎)さんもいましたからね。

松澤
 木村さんも宇宙パワーをやったりしてましたけど、基本的にはガッチガチの格闘技スタイルで。鳥羽さんの試合は当時からホントにハードだったから、「こいつはマジでヤバい」と思った中の1人に入ってますよ。

鳥羽 なんで(笑)。

松澤
 初期DDTは高木さんがギャルを呼んだりして、渋谷系みたいにわりとチヤホヤされてるイメージが強い中、やっぱり木村さんの宇宙パワーと鳥羽さんの格闘技スタイルのプロレスは「ここまでやっちゃうんだ……」って衝撃で。

鳥羽    あ、ありがとうございます!(笑)。

松澤
    エンタメスタイルとの対比もよかったんですよ。で、当時だとバトラーツの格闘プロレスも評価されたりしてましたけど、自分的には北原光騎さんがやってたキャプチャーの地下室マッチを見て「ヤバい」と思って。プロレスラーのいわゆるガチンコスタイル。見てる人は圧倒的に少ないと思うけど、なんでもあり的なプロレスの中では、北原さんのキャプチャーはかなりエグいことをやっていたなって印象が強くて。それこそ鳥羽さんも出てましたよね。

鳥羽 ボクはあのスタイルは大好きです。もうプロレスのゴツゴツした部分だけが詰まってるんで。極端なことをいえば、技はチョップだけでいいんですよ。

松澤
 すごくヤバいことをやってましたけど、言い方は難しいかもしれませんが、プロレスはプロレスなんですよね?

鳥羽 なんだけど……ってことなんですよ。言っちゃえば「ボクが死ねばいいんですよね」っていう。

松澤
 ボクが死ねばいい!!

鳥羽 ボクはもうそんな認識でしたよ。「ボクが死にゃあいいんでしょ?」みたいな。

松澤
 でも、本当にそれくらいの試合でしたよね……。ファイトマネーとか、たぶんめっちゃいいわけじゃないのに、ここまでやるんだと。

鳥羽 たしかにギャラはそんなによくはなかったですよ(苦笑)。

松澤
 キャプチャーには若手時代の石井智宏選手も出ていたし。北原さん自身はシューティング出身で佐山聡の弟子、そのあとは天龍(源一郎)さんについていたから、頑丈なプロレスラーが加減なしで殴り合うプロレスを理想としてたんでしょうね。

鳥羽 あのルールは3カウントがないんだから、どうやって白黒つけるのか?となったらボクが死ぬしかないわけですよ(笑)。<14000字のディープな対談はまだまだ続く……>
この続きと大晦日RIZIN、PRIDE、斎藤裕、タノムサク鳥羽、臼田勝美……などの1月更新記事が600円(税込み)でまとめて読める「13万字・記事14本」の詰め合わせセット」はコチラ

https://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar2137352

この記事の続きだけをお読みになりたい方は下をクリック!1記事150円から購入できます!