
「AI時代に必要なのは『ケンタウロス思考』だ!」の続きです!(#1,#2,#3,#4,#5,#6)
このシリーズでは、みんな大好きサイエンス誌に掲載された最新のレビュー論文をもとに、AIを単なる便利ツールとして使うのではなく、人間の思考を拡張する「チームメンバー」として扱うための実践法を考えていきます。AI時代に私たちが鍛えるべきなのは「AIに正解を出させる力」ではなく、「AIと一緒に考える力」なのではないか?というのが、このシリーズの大きなテーマであります。
そのために、このシリーズでは、実際にAIとどう向き合えばいいのかを、単なるプロンプト術ではなく、手を動かしながら考えていくことにしております。ということで今回は、さらに「AIの意見を統合する」ワークをやってみましょう!
AI時代に必要なのは「統合する力」である
さて、前回までは「AIをどう戦わせるか?」みたいな話をしてきました。AIにひとつの答えだけを出させるのではなく、
- 賛成派AI
- 反対派AI
- 前提を疑うAI
- 読者目線AI
- 専門家目線AI
みたいに、いろんな立場から意見を出してもらうのが大事ですよー、という話でした。これはケンタウロス思考のかなり重要なポイントでして、それというのも知性ってのは「ひとつの頭の中で完結するもの」ではなく、複数の視点がぶつかり合うなかで生まれるものだからでした。AIも人間も、単体で考えるより、いろんな視点をぶつけたほうが精度が上がりやすいわけっすね。
が、ここでひとつ問題がありまして、それは、
AIにいろいろ聞けば聞くほど、逆に何を採用すればいいかわからなくなる!
という問題であります。たとえば、あなたが新しい企画を考えているとして、AIにいろんな立場から意見を出させたとしましょう。すると、こんなことが起きることがあります。
- AのAIは「この企画は読者の興味を引きやすい」と言う。
- BのAIは「いや、テーマが広すぎて刺さらない」と言う。
- CのAIは「そもそも読者の悩みが明確ではない」と言う。
- DのAIは「タイトルだけ変えればかなり良くなる」と言う。
こうなると、最初は「おお、いろんな視点が出てきて便利だな!」と思うんだけど、しばらくして「結局どうすればいいの?」と思ったりとかするわけですよ。つまり、この問題ってのは、
- AIを使えば使うほど、情報が増える。
- 情報が増えるほど、判断が難しくなる。
- 判断が難しくなるほど、結局なにも決められなくなる。
みたいなことでして、AI時代における定番の罠ではないでしょうか。
AIを使うほど混乱する人に足りないもの
「AIを使いこなせない人」というと、つい、
- プロンプトが下手なんじゃないか?
- AIの使い方を知らないんじゃないか?
- もっと最新ツールを覚えたほうがいいんじゃないか?
とか思いがちでして、もちろんそれも多少はあるんだけど、実際にはもっと根本的な問題がありまして、それが今回のテーマである「統合力」であります。統合力ってのは、簡単に言えば、
バラバラに出てきた意見や情報を、自分の目的に合わせてひとつの判断にまとめる力
のことでして、AIから10個の意見が出てきたときに、そのまま全部を採用するのではなく、
- これは使える。
- これは捨てる。
- これは一部だけ使う。
- これは別の意見と組み合わせる。
- これは前提がズレている。
- これは今回は採用しない。
と仕分けしていく能力を意味しております。つまり、AI時代に大事なのは、AIからたくさんの答えを引き出すことじゃなくて、むしろ大事なのは「出てきた答えをどう扱うか」なんですよ。料理で言えば、AIは大量の食材を出してくれる存在って感じでして、その食材をどう切るか、何を捨てるか、どう味つけするか、最終的にどんな一皿にするかは、人間が決めなきゃいけないんですよね。これが、ケンタウロス思考における統合力であります。
統合とは「平均を取ること」ではない
ここで注意したいのは、統合と言っても、決して複数の意見の平均を取ることではないってところです。たとえば、AIがこんな意見を出してきたとしましょう。
- A案:もっと専門的にしたほうがいい。
- B案:もっと初心者向けにしたほうがいい。
- C案:もっと煽りを強くしたほうがいい。
- D案:もっと落ち着いたトーンにしたほうがいい。
このとき、統合が苦手な人は、「じゃあ、ちょっと専門的で、ちょっと初心者向けで、ちょっと煽って、ちょっと落ち着いた感じにするかな……」みたいに考えがちなんですよ。全部を取り入れようとして、わけがわかんなくなっちゃう状態で、わたしも会社員の時代は複数の上司から違うことを言われて、同じような状態になったりしました。
が、当然ながら、これは統合ではなく、ただの折衷案であります。折衷案は一見バランスがよさそうに見えますが、たいていは中途半端になりまして、専門的でもないし、かといって初心者向けでもないし、煽りも弱いし、落ち着きもないし……みたいになり、結果として、誰にも刺さらないアウトプットができあがるわけです。
では、本当の統合とは何か?と言いますと、それは、
目的に照らして、どの意見を採用すべきかを決めること
だったりします。たとえば、今回の目的が「完全な初心者にAI思考を体験してもらうこと」ならB案を中心にするべきだし、一方で「AIに慣れた人に新しい視点を与えること」が目的ならA案を中心にしてもいいでしょう。あるいは、目的が「SNSでクリックされる導入を作ること」なら、C案が役に立つかもしれません。つまり、統合ってのは、全部を混ぜることではなく、目的に合うように選び直すことなんですな。
ということで、まずは「判断軸」を決めよう
では、バラバラの意見をどうまとめればいいのか?ってことですが、最初にやるべきことは「判断軸を決める!」であります。判断軸ってのは、出てきた意見を評価するための基準のことでして、たとえば、ブログ記事なら、