
「AI時代に必要なのは『ケンタウロス思考』だ!」の続きです!(#1,#2,#3,#4,#5,#6,#7)
このシリーズでは、みんな大好きサイエンス誌に掲載された最新のレビュー論文をもとに、AIを単なる便利ツールとして使うのではなく、人間の思考を拡張する「チームメンバー」として扱うための実践法を考えていきます。AI時代に私たちが鍛えるべきなのは「AIに正解を出させる力」ではなく、「AIと一緒に考える力」なのではないか?というのが、このシリーズの大きなテーマであります。
そのために、このシリーズでは、実際にAIとどう向き合えばいいのかを、単なるプロンプト術ではなく、手を動かしながら考えていくことにしております。ということで今回は、さらに「AIの意見を価値判断する」ワークをやってみましょう!
AIは「正解らしきもの」を出せるが、「あなたにとっての正解」は決められない問題
さて、AIを使っていると、たまに妙な感覚になることはないでしょうか。たとえば、仕事の企画を相談したら、AIが市場データを整理して、メリットとデメリットを比較して、リスクまで列挙してくれて便利なんだけど、ただその一方で、AIの回答を眺めながら、
「で、結局どうすればいいんだ?」
と思ってしまうような、そんな感覚であります。
これは「AI使ってると感じることあるある」のひとつなんですが、もちろんこいつはAIの性能が足りないからではありません。むしろ、AIがどれだけ賢くなっても、最後まで埋められない穴がありまして、それが今回のテーマである「価値判断」であります。
これがどういうことかと言うと、AIは「成功確率が高そうな案」や「過去のデータから見て無難な案」を出すのは得意なんだけど、
- 自分は何を大事にしたいのか
- 何を失っても守りたいのか
- どのリスクなら引き受けられるのか
- 誰に、どんな影響を与えたいのか
といったことまでは、代わりに決めてくれないんですよ。AIは地図を描けるんだけど、どこへ行きたいかは、こちらが決めるしかないんで。これぞ今回のテーマである、「価値判断力」で、AI時代にますます重要になる能力だと言われてるんですな。
この事実を考えるために、まずは簡単な例を考えてみましょう。あなたがAIに、こう相談したとします。
今の仕事を続けるべきか、独立すべきか迷っています。
年収、安定性、成長性をふまえて判断してください。
するとAIは、おそらく以下のような整理をしてくれるでしょう。
| 選択肢 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 今の仕事を続ける | 収入が安定する、社会保障がある、失敗リスクが低い | 裁量が少ない、成長が頭打ちになる可能性 |
| 独立する | 自由度が高い、収入の上限が上がる、仕事を選べる | 収入が不安定、孤独、営業や事務も必要 |
確かに、この整理は役に立つんですが、この表をいくら眺めても最終回答は出ないんじゃないでしょうか。なぜなら、答えは「どちらが客観的に優れているか」ではなく、
あなたは、安定と自由のどちらを、どの程度まで優先したいのか?
で決まるからです。たとえ同じような条件だったとしても、
- 子どもとの時間を最優先したい人
- 収入の変動に耐えられない人
- いまは挑戦して失敗してもいいと思う人
- 多少つらくても、自分の仕事を作りたい人
では、選ぶべき答えが変わるじゃないですか。つまり、AIが扱うのは主に「事実」と「予測」なんで、人間が引き受けるのは「意味」と「優先順位」なんですよ。この分業を見失っちゃうと、AIのもっともらしい答えに引きずられて終わるんで注意してくださいませ。
ということで、「価値判断力」を鍛えるために、以下のワークに取り組んでみてくださいませ。