2-8と6点ビハインドで迎えた9回表。時刻は既に夜7時を回っていて、夜空は漆黒に包まれていた。

しかし降り続く雨にさらされたグラウンドは逆に、カクテル光線に照らされた水たまりが乱反射し、歪な鏡のように明るかった。それはもはや泥を通り越してちょっとしたプールであり、真っ暗な空との対比もあって眩しいくらいだった。

そんな異様な環境の中、それでも帰らない両校応援団と若干の観客が見守る中、ドラマは静かにスタートしたのである。

この回の先頭、四番山本がセンター前ヒット、次の岡本はアウトになるが、続く河野、永井が連打して一死満塁とする。

ここで東洋大姫路はエースの萩原を下げ、二番手に山河を送り込んだ。東洋大姫路の梅谷監督は、降り続く雨で軟投派の萩原もさすがに疲れが限界に来たと見た。そこで、点差があるうちにと二番手の山河にスイッチしたのである。

ところがこれが大誤算であった。それまで左投手の緩