1942年暮れ、日本はガダルカナル島での敗北を認めざるを得ず、遅まきながら撤退を決める。しかしこの間約2万人の戦死者を出し、内1万5千は餓死や病死という奇っ怪なものとなった。

そうした奇っ怪な状況が現れるに連れ、東條英機の精神論もまた暴走していく。東條の精神論についての有名な言説の一つに、日本軍の飛行機を見て、「あれは飛行機ではなく、精神が飛んでいるのだ」と述べたというものがある。もう一つ、兵士に「敵機は攻撃によって落とすのではなく、気魄によって落とすのだ」と述べたとされる。

ここだけ見ると狂信的に見えなくもないが、しかし実際は東條もこれを本気で言っているわけではない。一種の比喩として言っており、それだけ「気持ちがだいじなんだ」ということを言いたいのだ。

この考えは戦後もしばらくは日本人の中に価値観として残った。しかし平成の半ばくらいから否定され始め、今では蛇蝎の如く嫌われている。