
「スーパーエイジャーの科学」の続きです!(#1,#2,#3)
このシリーズでは、年をとっても脳と体が元気に動きまくる“スーパーエイジャー”の最新研究をもとに、いくつになってもピンピンした状態を保つための知見を考えております。
で、前回は、スーパーエイジャー研究で有名なトポル先生が提唱する『Lifestyle+(ライフスタイル・プラス)』の内容をチェックしましたんで、今回はその中でも最も重要である「食事」の話をしてみましょう。
同じ食事でも、私たちの反応はさまざまである
さて、ご存じのとおり、近年の健康界隈では「白米は太る!」「いや、糖質制限こそ健康に悪い!」「朝食は絶対に食べろ!」「むしろ16時間断食!」みたいな話が、延々と続いております。
で、こういう議論を見ていると、どれか一つが真実で、残りは全部まちがいのように思えてくるわけですが、最近のスーパーエイジャーの研究を見ていると、どうも話はそこまで単純ではなかったりします。というのも、近年の調査では、たとえ同じ食べ物を食べたとしても、血糖値の上がり方、満腹感、眠気、体重の変化は人によってかなり違うことがわかっているからです。
このシリーズで何度も名前が出ているトポル先生(スーパーエイジャー研究の大家)いわく、
これからの食事は「全員に同じ食品ピラミッドを当てはめる」ようなやり方から変わっていくだろう。
とのこと。これまでの栄養指導では、健康にいい食べ物と悪い食べ物を分けて、全員に同じ基準で勧めるのが普通だったのが、実際には食事への反応は個人差が大きく、AIや腸内細菌などのデータを使って、より個別化された食事法へ向かうだろう、ってことですな。つまり、これから必要になるのは、「最強の食事法」を探すことではなく、健康に役立つ共通原則を押さえたうえで、自分に合う形へカスタマイズすることなわけです。
では、私たちの体には、どれぐらいの個人差があるんでしょうか? たとえば、人間の体ってのは、同じ量の白米を食べたとしても、
- 食後すぐ眠くなる人
- 数時間後に強い空腹感が来る人
- たいして変化を感じない人
がいたりするじゃないですか。このあたり、なかなか一筋縄ではいかないんですよね。
このような現象が起きる原因というと、たいていは「代謝がいい人と悪い人がいるから」みたいに片づけられがちなんですけど、実際にはもう少し細かい要素がからんでおります。食べ物が体に入ったあとってのは、
- 胃腸でどれぐらい速く消化されるか
- 血糖値がどれぐらい上がるか
- インスリンがどれぐらい出るか
- 筋肉や肝臓がその糖をどれぐらい受け取るか
- 脳が「もう十分」と判断するか
- 数時間後に、どれぐらい空腹になるか
みたいな段階がありまして、どのステップでどんな反応が起きるかによって、体の反応は変わってくるんです。このような違いが起きるのには、いろんな原因が絡んでまして、
- 腸内細菌の構成
- インスリン感受性
- 筋肉量
- 前日の睡眠
- 運動量
- 食べた時間
- 食べる順番
- ストレスの強さ
- 普段の食事内容
みたいな要素がいろいろと混ざり合って、複雑な個人差を構成しております。もちろん、従来の栄養アドバイスが悪いとは言わんのですが、人間は食べ物への反応がかなり違うことがわかってきた以上は、将来的には「全員に同じ食事法を勧める」方式から、腸内細菌、遺伝子、生活リズム、検査値などを使って個別に食事を調整する方向へ進むはずであります。これぞ、未来のスーパーエイジャーへの道。
ってことで、なにがこの個人差を生み出すのかを、ざっくりチェックしてみましょうー。