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『コードギアス』がうつ病の壁を乗り越えるとき。
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『コードギアス』がうつ病の壁を乗り越えるとき。

2016-05-18 02:52
    コードギアス 反逆のルルーシュ 1 [DVD]

     漫画家の田中圭一さんとブロガーのずんずんさんによる「うつ対談」を読みました。田中さんがうつ病の最中ですら楽しめたあるアニメについて語る下りが印象的です。

    田中圭一(以下、田中) 感受性が鈍ってしまううつ期間は、コンテンツが好きな人にとってとてもつらい期間ですよね。

    ずんずん ええ、それまであんなに毎日を充実させてくれていた映画やアニメを観ても、漫画や小説を読んでも、全然心を動かされなくて、本当に退屈でした。

    田中 僕は、うつがひどい時期でも、かろうじて自分が一番好きなジャンルのものだけは、接していました。

    ずんずん どのジャンルですか?

    田中 僕の場合はアニメです。深夜アニメだけは、うつの時期も継続して観ていました。それも「観てる」っていうよりは、「頭に入れる」っていう感覚でしたけど。
    でもそんな精神状態だったのに、「これは面白いな!」ってアニメが一つだけあって。

    ずんずん それ、気になります! なんていうアニメですか?

    田中 『コードギアス 反逆のルルーシュ』!


     おお、『コードギアス』すげえ!

     たしかにテレビシリーズは一期、二期ともとんでもない面白さだったものなあ。

     テーマ性の深さとかは置いておくとしても、その純粋な展開の面白さは、過去に見たアニメのなかでも一、二を争うかも。

     『亡国のアキト』も序盤は素晴らしかったのだけれど、ラストで失速しましたねえ。いやまあ、その話はいいのだけれど。

    コードギアス 亡国のアキト 最終章 (初回限定版) [Blu-ray]

     その一方で、ずんずんさんもうつの時期に自分を支えていたコンテンツについて語っています。

    田中 ずんずんさんは、何か心の支えにしていたコンテンツはありました?

    ずんずん うつの時期は、「商業BLマンガ」を読むことだけが楽しみでした。BLはとても優しい世界なので、うつの自分を支えるために、週に2冊ずつ行きつけの書店で買っていたのですが、そうしたらなんと、その書店の商業BLコーナーが拡大したんですよ!

    田中 なんと!(笑)

    ずんずん 引っ越してからその書店には行けなくなってしまったんですが、その後しばらくして、友達から「あの書店のBLコーナー、縮小したよ」っていう報告が入って(笑)。そのとき、自分が買い支えていたことに気づきました。

     最後は笑い話になっていますが、なるほどなあ、とも思います。

     ぼくにはBL作品が具体的にどう「優しい」のか分析する能力はないけれど、ここでいう「優しさ」とは、『コードギアス』のような「面白さ」とはまた違う概念だと思うのですね。

     『コードギアス』は素晴らしく「面白い」作品だけれど、狭い意味で「優しい」かというとそうではないと思う。

     ひとは次々と死ぬし。裏切りと謀略と野心の物語だし。

     一般的にいって、「面白い」物語って、必ずしもココロに優しくないと思うのですよ。

     その一方でただキャラクターがいちゃいちゃしているだけみたいな物語の脚本としてはどうなんだ?といった作品は、とてもココロに優しいところがある。それはわかる。

     ほんとうにココロが疲れているときは、そういう「優しい」作品しか受けつけないということもほんとうかもしれない。

     疲弊した胃がおかゆしか受けつけないようなものですね。

     おそらく、BL作品の「優しさ」はそれに留まらないものがあるのだろうけれど。

     まあ、もちろんそうかといって「優しい」作品ばかりになって、「面白い」作品がなくなっても困るところではあるでしょう。

     やっぱり「優しい」作品と「面白い」作品、両方が必要だと思うのですよね。

     現代は、非常にまったりと「優しい」作品が増えた時代だという印象があります。

     それだけ疲れている人が増えたということなのかもしれませんが、萌え四コマの単行本を読むことだけが人生の楽しみ、といったサラリーマンはいまどきめずらしくもないでしょう。

     そういう人たちは、より一般的な意味で「面白い」作品をもう受けつけなくなっているのかもしれません。波乱万丈は現実だけで十分だ、と思っている可能性もある。

     そういう人たちにとって、ドラマティックな意味で「面白い」作品は「救い」にはならないのでしょう。

     しかし、その一方で、突き抜けた「面白さ」は、ある種の「癒やし」になりえることもほんとうなんですよね。

     作家の夢枕獏さんが、ただ 
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