弱いなら弱いままで。
魂は時空を超えて転生する。水上悟志『スピリット・サークル』はフルスピードの快作だ。(1055文字)
たいていの者はその途上で辞めていくが、なかには一生、素晴らしい作品を生み出しつづけるひともいる。考えられるかぎり最も偉大な人生だと心から思う。ひょっとしたら水上悟志もそういう生涯を送る作家のひとりだったりするかもしれない。
『スピリット・サークル』は前作『惑星のさみだれ』で多くの読者を涙させた水上の最新作。『さみだれ』とはまったく違う設定と人物で、新たな物語に挑む。
この作品のテーマは「輪廻転生」。時を超えて何度も生まれ変わり、そのたびに殺しあう宿命を負った男女が主人公だ。今生において中学生の少年と少女になったふたりは、何度目かの戦いを行うことになるようだが、はたしてこの先どうなるのかはわからない。いくつもの過去生の人物たちが複雑に絡みあう壮大なストーリーが展開していくように思える。
とはいっても、あらすじから想像されるほど重苦しい話にはなっていない。幾度となく生まれ変わり、そのたびに殺したり殺されたりする運命を背負ったふたりの話は、とにかくテンポよく進んでいく。
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