弱いなら弱いままで。
【『青い花』という作品。】
志村貴子『青い花』が完結しました。全8巻と、昨今の数十巻がざらの超大作と比べると短いとすら云える作品なのですが、その密度はきわめて濃く、読みごたえがある作品となっています。
いやあ、おもしろいよー。女の子同士の恋愛を描くいわゆる「百合もの」に属する作品なのでしょうが、ちまたにあふれるその手の作品のなかでは出色の出来、ちょっと格の違いを感じさせる完成度です。
ぼくはよしながふみさんの漫画はどうにもおもしろいと思えないんだけれど、志村貴子さんの作品は好きなんだよなあ。どこに差があるのか、ちょっと自分でも分析できていないのですが。
ともかく『青い花』はおそらく現時点での百合漫画の最高傑作のひとつと云っていいでしょう。とにかく繊細な描写が素晴らしい。
もともと傑出した画力の持ち主であるだけに、切ない恋の情景を描かせるとすばらしく魅惑的なものがあります。
百合漫画に偏見がある向きもぜひ読んでみてほしいところ。あまり甘ったるいところがなく、すらすらと読める仕上がりなので、それほど抵抗感は感じないのではないかと思います。
【『青い花』は百合漫画なのか。】
そもそもこの作品、女の子同士のラブストーリーに焦点があたっているだけで、女性同性愛者しか出て来ないわけではありません。
ふつうのおじさんとか、お兄さんなんかもそこかしこに出てきて、それなりに個性的な活躍を見せたりします。
そういう意味では、狭い意味での「百合」にはあたらないとすら云えるかもしれない。
ある意味では「ふつうの漫画」なのです。そのふつうの漫画のなかで、たまたま今回は
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コメント
コメントを書く「この脇役のセリフが」
「このキャラの言動が」
「素晴らしかった」
そう思わせてくれる作品が、個人的に何度も読み返すような好物になってることが多いです。
設定やストーリーが大変すばらしくても、キャラの関係性や、心情描写がおろそかになってると本当に勿体ないと思ってしまいます。
逆に、ありきたりで王道な設定やストーリーでも、そこさえ丁寧に描かれていると、本当に面白く感じるものです。
まあ、個人的にって話ですけど。