タイタニア4<烈風篇> (講談社ノベルス タK- 32)

 前の記事でも書いたように、きのうは田中芳樹『タイタニア(4)』の発売日でした。

 このシリーズ、『銀河英雄伝説』と同じスペースオペラなのですが(厳密に云うとスペースオペラじゃないかもしれないが、まあ宇宙を舞台にしたお話には違いない)、『銀英伝』とは一風変わっていておもしろい。

 第1巻の時点では『銀英伝』の亜流とも見えたのですが、その後、少しずつこのシリーズの独自のカラーを確立していきます。

 第3巻が出たあと、続きが一向に出ず、なんと22年も経ってしまったわけなのですが、そのあいだくり返しくり返し読み込んでいるので、ストーリーはまだ頭のなかに残っています。それくらいおもしろい作品だということもできる。

 舞台は遥かな未来世界。「タイタニア」を名のる一族が、その有能さによって宇宙の覇権を握った時代。

 当主である「無地藩王」アジュマーン・タイタニアと四公爵の指揮のもと、繁栄を誇るタイタニア一族は、あるとき、ファン・ヒューリックというひとりの青年指揮官によってその誇りを傷つけられる。

 四公爵のひとりアリアバート・タイタニアがかれの奇抜な作戦の前に敗れ去ったのだ。そこから歴史は予想外の方向に動き出し――というお話。

 重厚長大な『銀英伝』に比べるとわりに軽快に読み進められるお話なのですが、このシリーズはこのシリーズで、なかなかひと筋縄では行かないところがあります。

 奇才田中芳樹のキャラクターメイキングの精髄は、『銀英伝』よりこの『タイタニア』に色濃く出ていると云ってもいいかもしれません。

 というのも、このシリーズでは、『銀英伝』で成功を見たキャラクター作りの方法論をさらにひねってあると思うからです。

 『銀英伝』のキャラクターは、