弱いなら弱いままで。
「2次元キャラは歳を取らないから良い」に異論する。
『Re:ゼロ』面白いです! と、わからないひとにはさっぱりわからないであろう挨拶から入ってみます。
いやー、「小説家になろう」の『Re:ゼロから始める異世界生活』が面白いです。以前、ペトロニウスさんが熱烈な感想を書いていた作品なのですが、これはたしかにすばらしいな。
ちょっと「なろう」の作品とは思えないくらい、技術的に洗練されている。構成力が抜群ですね。構成力とは物語を生み出す力。おそらく始点から終点まで既に構築され尽くしているのでしょう。
これはたしかに破格の作品かもしれません。とりあえず最新話まで追いついたら感想を書くだろうと思います。乞うご期待。
さて、昨夜、『Re:ゼロ』を読み疲れ、何となく気になって『新世紀GPXサイバーフォーミュラSIN』を見返したりしていました。
『サイバーフォーミュラ』は『11』、『ZERO』、『SAGA』、『SIN』という四作のOVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)が制作されているのですが、『SIN』は最後の作品で、シリーズの完結編にあたります。
で、ここまで来るといままで主人公であった風見ハヤトが主人公を退いているんですね。しかも、それで次の世代に物語が移っているというわけでもなく、何と、いままで先輩でライバルであったブリード加賀が主役に躍り出るのです。
まあはっきりそう明記されているわけではないけれど、そうとしか受け取れない。
これは前にも書いたのですが、いままでさまざまに無様を晒しながらもレースを戦い抜いてきたハヤトは、まさに人間として、レーサーとして完成し、「最強のチャンピオン」として加賀を迎え撃ちます。それまでの強弱の構図が逆転しているわけですね。
ぼくはこの展開を実に素晴らしいものだと思うんですよ。まさに長々と続いてきたシリーズの掉尾を飾るにふさわしい、最高の演出だと。
そもそも『サイバーフォーミュラ』という物語は、ハヤトの少年時代から始まっています。十代前半の少年レーサーとして、もがきながらも少しずつ成長し、ついにはチャンピオンを獲得するまでがテレビシリーズの物語。
しかし、OVAを見ると、このテレビシリーズはハヤトの人生にとってほんの序盤だったのだということがわかります。
ハヤトは『11』で連続優勝を遂げた後、『ZERO』や『SAGA』「でゼロの領域」と呼ばれる危険なゾーンに入って行きます。チャンピオンになった後に、さらにひととしての成長物語が待ち受けていたわけです。
こういう話を見ているとね、実に「ひとが成熟すること」について考えさせられるのですね。より正確には、「物語のなかでひとの成熟を描くこと」でしょうか。
一般に若い世代向けの物語の主人公は、十代とか二十代の青少年であることが多い。それはそれでまったくかまわないのですが、ぼくもいいかげん歳なので、「その先」の物語を見てみたいんですよね。
これはペトロニウスさんが「恋愛が成就したあとの物語を見たい」とよく云っていることと重なるかもしれません。
少年時代の情熱、若者時代の葛藤の「その先」を見たいわけです。しかし、じっさいには、当然ながらそういう物語はそれほど見受けられません。
やっぱり十代、二十代のキャラクターはそのままで物語そのものが幕を閉じることが多いわけです。だからこそ、
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