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 血と炎の「円卓戦役」がいま、幕をあける――!

 海燕とかんでたくまの合同サークル「残念教養講座」は、夏のコミックマーケットに参加します。

 日時及び場所は、

 3日目(8月17日)西館せ04a

 になります。

 新刊『Fate/Bloody rounds(1)円卓戦役開幕』は『Fate』シリーズの二次創作小説同人誌です。内容的に際どいところはありますが、18禁ではありません(笑)。

 ダークでアダルトなエンターテインメントを志しました。まあ、第1巻の時点ではそれほど目立ちませんが、この先、昏い、陰惨なエピソードも出て来る予定です。それでも、物語は最後には光の差す方向へ向かって行くことでしょう。

 しかし、そう、「第1巻」ということは、実はシリーズものです。今後も物語は続いてゆく予定なのです。この本が売れなくても出しつづけますが、売れてくれると一定の部数を出しやすくなるので、ぜひお買い求めいただきたいと思います。

 まあ、小説書きとしてあまり才能がないと思われる海燕さんですが、断言します、このシリーズは面白いです。少なくとも『Fate』が好き、あるいはセイバーが好きな方なら楽しんでいただけるのではないかと。

 『Fate』のことはくわしく知らないという方でも読んでいただけるとは思いますが、やはり『Fate』について最低限の知識はあったほうが良いには違いないでしょう。そこはまあ、二次創作小説ですから。

 なお、表紙には友人のかんでさんが「原案」としてクレジットされていますが、本編の文章は100%ぼくが書いています。複数人の文章が入り混じって読みにくくなっている、ということはないので、ご安心ください。

 本編の物語は、『Fate/stay night』で描かれた「第五次聖杯戦争」から1年後を舞台にしています。聖杯戦争に参戦した7人のマスターのうち、生きのこったのは衛宮士郎と遠坂凛のみ、サーヴァントでの生存者はセイバーのみ、という設定です。

 いったいどういう展開を辿ったのか謎ながら、いまは仲良く楽しく暮らしている衛宮士郎とセイバーのもとに、暗雲がただよいはじめるところから物語は始まります。

 どうやら冬木の街をふたたび何者かが徘徊しているらしい。それも聖杯戦争のサーヴァントたちに劣らぬ強大な力を持った者たちが。そして、遠坂凛が襲撃されたことをきっかけに、一気に戦いは再開します。士郎とセイバー、聖杯戦争最強の主従を待ち受けるものとはいったい――?

 まあ、「Fate/Bloody rounds」というタイトルからある程度は推測できることと思うので、ネタバレしてしまいましょう。この作品のテーマは「セイバーと円卓騎士たちの物語」です。

 セイバーと士郎は、かつての聖杯戦争とは異なる、「円卓戦役」と呼ばれる戦いに巻き込まれていくことになります。その戦いを通して、セイバーは「王とは何か?」、「忠誠に報いるとはどういうことなのか?」、ふたたび考えさせられることになるでしょう。そして、最後には本編とも、『Fate/Zero』とも違う結論に至ります。

 あとがきにも書いたのですが、この作品は『Fate/Zero』への不満から出発しています。作品としてそうする必要があったことはわかるけれど、あのセイバーの描写はあんまりだよね、と。

 いや、『Fate/Zero』そのものは大傑作なのですが、セイバーの描写だけはなんとも哀しい。なので、この『Fate/Bloody rounds』は「偉大な王としてのセイバー」を描くことをひとつの目標としています。

 戦場に果てた円卓の騎士たちはほんとうにセイバーを恨んで死んでいったのか? セイバーはほんとうに自分がそうと考えているような愚かな王だったのか? その問題に答えを出したいと思います。

 設定上、本編には、『Fate/stay night』や『Fate/Zero』のキャラクターはほとんど出て来ませんが、そのかわり、モードレッド、ランスロット、ガウェイン、トリスタン、パルシファル、アグラウェイン、サグラモールら、花の円卓騎士たちが次々と登場し、敵味方に分かれて戦いあうことになります。

 ほぼ全員、アーサー王伝説から持ってきた人物ですが、ある意味ではオリジナルキャラクターです。また、この巻ではほとんど登場しませんが、女の子のオリキャラも考えています。

 物語は、最後にはセイバーと宿敵の一大決戦へとなだれ込んでゆくことになるはずなのですが、だれひとりそこまで読む人がいなかったらむなしいので、ぜひ、お買い求めください。いやー、買ってよー、今回はちゃんと面白いと思うんだ。

 以下、目次。

 序章「カムランの戦い」

 第一章「ふたたび戦いへ」

1.夢の王国
2.朝の会話
3.衛宮家の朝食
4.ロンドンからの電話
5.和やかな時間
6.碧眼の男
7.強襲

 第二章「キャメロットの騎士たち」

1.田舎村の少女
2.選別の剣
3.対話
4.妖姫モルガン
5.襲撃者たち
6.騎士ランスロット
7.和解の時

 第三章「騎士団集結」

1.「敵」の陣営
2.ふたりの騎士
3.騎士ベディヴィエール
4.圧倒
5.一方的な掃討
6.酒宴
7.貴公子、再来

 第四章「円卓戦役開幕」

1.黒騎士メレアガンス
2.叛逆者ランスロットのものがたり(1)
3.叛逆者ランスロットのものがたり(2)
4.王妃グィネヴィア
5.疑心暗鬼
6.一触即発
7.魔術師マーリン
8.円卓戦役開幕

 番外編「黄金の王」

1.騎士リース
2.リース対ランスロット
3.円卓の騎士団
4.ローマ
5.逃亡
6.少年王の奇跡

 また、本文から一部を抜き出してみましょう。

「おはよう。セイバー」
「おはようございます、シロウ」
 セイバー。
 士郎はこれほど完璧に美しい容姿をもった人間を、映画のスクリーンのなかにすら見たことがない。単なる造形の繊細さのみならず、内側からにじみ出るような「何か」が彼女にはあった。それははてしない修羅の時を超えてきたために生まれた精神性なのかもしれないし、あるいは彼女が生まれ持ったたぐいまれな高貴さなのかもしれない。いずれにしろ、この美少女は並大抵の美女とは比較にならなかった。
 士郎はこの少女とともに聖杯戦争を戦い抜いたのである。一見すると単なる至上の美少女としか見えないが、その実、彼女こそは聖杯戦争でも最優と謳われた「サーヴァント」だった。いずれ劣らぬ英雄であったアーチャーやランサーたちですら、その実力において彼女に及ばないのだ。
 ひとり、豪奢な自室で物思いに耽っていると、甲高い音が鳴って彼女の耳を刺激した。電話だ。こんな朝に、何者からだろう? 小走りで駆け寄って、受話器を取る。その向こう側から、まだ若い男の声が響いてきた。
「わたしだ」
 相手は名のりはしなかったが、そのひと声で、すぐに何者なのかわかった。それくらい聞き覚えのある声だったのだ。ロンドンの〈時計塔〉にいた頃は、毎日のようにこの声を聞いていた。
「はいはい、あなたね。どうされたんですか? なんの御用?」
「ずいぶんな挨拶だな。用がなければかけてはいけないかね」
 凛は追跡者の人数を数名と見た。彼女ひとりで十分に相手し切れる数だ――相手が尋常の人間であるなら。もし聖杯戦争のサーヴァントのような怪物的戦力が混ざっているならその限りではない。
 何秒かの静寂のあと、闇のなかから街灯の下へ、幾つか人影が顕れた。この闇夜にジャンパーのフードで顔を隠した、見るからに怪しい男たちである。服装こそ現代的だが、手には何と鞘を持っている。その中身はまさか竹光や木刀ではあるまい。真剣と考えるべきだった。
「あなたたち――」
 凛がさらに声をかけようとした、そのときだった。一切の前ぶれなく、先頭の男が斬りかかってきた。鋭い斬撃! 並の少女であればそのまま斬り伏せられていたに違いない。
 しかし、彼女は遠坂凛であった。素早くバックステップしてその一閃を避けると、瞬く間に攻撃の準備に入る。
「マーリン! 助けて! 村が盗賊に襲われそうなの!」
 しかし、魔術師は首を振った。
「だれも助けることはできぬ。あのような野盗どもを追い払うことはできるじゃろう。しかし、しょせん亡びが早いか遅いかの差に過ぎぬ。いずれ諸国家がブリテンへと侵略を始める。その時には、この国は亡び去る運命なのだ。わしはただその運命の時を待っているだけじゃ」
「なんで? どうして国を守れないの?」
「王がいないからだ」
「王さま?」
「さよう、偉大なるウーサー・ペンドラゴン王亡きあと、だれも至尊の玉座に座す者がおらぬ。岩に突き刺さった宝剣を抜き、竜の宝冠の後継者となる者があらわれぬ限り、この国は亡びへの道を突き進むことじゃろう。だれにも止められぬ。わしにもどうしようもないことじゃ」
 アルトリアの目が、光った。
「王さまになる人がいればいいんだね?」
「そうじゃ。しかし、並の人物では王は務まらぬ。岩の宝剣を抜けるような傑物でなくては――」
「じゃあ、わたしが王さまになる!」
 マーリンはしばし沈黙した。
 その小集団の先頭に立っているのは、金髪碧眼の少年であった。おどろいたことに、宮廷の美女さながらに、あるいはそれ以上に秀麗な美貌のもち主だ。リースは、これほど美しい人間を見たことがない。あのモードレッドですら、この人物に比べれば人間的な生々しさを感じさせる。まるで、生きた人形のよう。
「そこのお前」
 その少年は、平原の草のなかに隠れたつもりのリースに声をかけてきた。
「出て来るがいい。隠れたつもりでも、わたしには見えている」
 リースは舌打ちした。何と目がいい奴だ。まるでおとぎ話の妖精の目ではないか。が、仕方ない。出てゆくとしよう。かれの逃亡を邪魔立てするつもりなら斬るまでだ。

 すべては、約束された勝利のために。

 『Fate/Bloody rounds(1)円卓戦役開幕』、A5、144ページで、イベント価格1000円です。通信販売も行いますが、こちらは送料込みで1300円を予定しています。

 既に過去の記事で書きましたが、今回、「セルフクラウドファンディング」を実施したいと思います。これは、手数料無料のクレジットカード決済サービス「SPIKE」を利用して、さまざまなサービスを提供する試みです。

 初めは13のサービスをご用意しましたが、すでに7番と12番は締め切りを迎えたので、以下にはそれらを除く11のサービスを列挙してみます。

 イベントでの同人誌の取りおきだけでいいというひとは3番を、通販だけでいいというひとは8番を選んでもらえば、クレジットカード払いで簡単に本を入手できることになります。なお、複数冊の本をご希望の方は、複数回お申込みください。

 のちほど銀行口座への振り込みでの販売も行うことを考えていますが、「SPIKE」を利用したほうがあらゆる意味で簡単で、手数料もかかりません。ぜひ、この試みにご協力ください。ちなみに、取り置きなどしなくてもイベントに来れば普通に入手できることは確実ではあります。

1.純粋なカンパ。(作者の愛と感謝以外の特典なし。締め切りなし)――500円。


2.夏コミ後、本編の電子版、つまりEPUBファイル及びテキストファイルをダウンロードサイトを利用し入手する権利。(締め切り8月14日)――1000円。


3.夏コミでの同人誌の取り置き。(当日は無料で本が入手可能。締め切り8月14日)――1000円。


4.夏コミでの同人誌の取り置きに加え、夏コミ後、本編の電子版、EPUBファイル及びテキストファイルをダウンロードサイトを利用し入手する権利。(締め切り8月14日)――1500円。


5.夏コミでの同人誌の取り置き、本編の電子版入手の権利に加え、夏コミ後、非公開の18禁短編小説の電子版(テキスト、EPUB)をダウンロードサイトを利用し入手する権利。(締め切り8月14日)――1800円。


6.夏コミでの同人誌の取り置き、本編の電子版入手の権利、18禁短編小説入手の権利に加え、作者のサイン色紙を手渡し。(締め切り8月14日)――2000円。


8.夏コミ後、指定住所に同人誌を発送。つまり通信販売の予約。送料込み。(締め切り8月14日)――1300円。


9.同人誌の通販に加え、夏コミ後、本編の電子版、つまりEPUBファイル及びテキストファイルをダウンロードサイトを利用し入手する権利。(締め切り8月14日)――1800円。


10.同人誌の通販、本編の電子版入手の権利に加え、夏コミ後、非公開の18禁短編小説の電子版(テキスト、EPUB)をダウンロードサイトを利用し入手する権利。――2100円。


11.同人誌の通販、本編の電子版入手の権利、18禁短編小説入手の権利に加え、作者のサイン色紙を送付。(締め切り8月14日)――2300円。


13.同人誌の手渡し、電子版の権利、短編小説の権利、サイン色紙に加え、夏コミ後(8月17日)の打ち上げに参加していっしょにさわぎ、ついでに冬コミ販売予定の次回作について色々話をする権利。当日飲食無料。場所は新宿のイタリアンレストランを考えています。普通に支払った場合の予算は4000~5000円程度になるのではないでしょうか。(締め切り8月10日)――10000円。

https://spike.cc/p/XwlQQLge

 では、そういうわけで、夏コミでお逢いできることを楽しみにしています! よろしくお願いします。買ってね!