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再掲「吸血鬼」茅野イサム・牧田哲也くん2010/06/05@パルコ劇場
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再掲「吸血鬼」茅野イサム・牧田哲也くん2010/06/05@パルコ劇場

2016-10-16 14:35

    2010/06/06

    9:36 pm

    昨日、パルコ劇場で「吸血鬼」を観て来た。
    とてもよかった。
    茅野イサムさん渾身の代表作だろう。
    こういう芝居を観ると人生に芝居は必要なんだと腑に落ちる。
    人の生き方を深く考えさせる。
    一瞬の連続で通り過ぎていく人間の人生、その一瞬のどこかに切り替えポイントがある。
    一瞬の判断で人の一生が変化する。通り過ぎて初めて分かる切り替えポイント、では遅い。

    この舞台では、時間は行きつ戻りつする。その時間に従って空間も変化する。
    時間の不可逆性に逆らう舞台、そこに浮かび出てくるのは、
    思い通りにはならなかった人生とあってほしい人生の交錯だ。
    人生ははかない、寂しいと、暗い都会の孤独をたっぷり見せておいて、
    そんなことないよ、みんな人生温かく生きてるよ、と茅野さんは言う。
    去年の遅い結婚と長男の誕生で、
    今、人生孤独でも寂しくもない茅野さんが放った最高の傑作ができた。

    牧田哲也くんは非常に良かった。
    お芝居になっていた、チンドン屋さんの軽さ、喫茶店のアルバイト、最後のテナーサックス吹き、
    どれもよくその役になりきっていた。特にサックスほめてあげたい。

    楽屋で会った瞬間、良かったよと言ったら、表情が崩れ、体全体がくにゃっとして、
    ほんとですか、良かった、とほっとした顔になった。
    マッキーがこんなにきちんと芝居できると思ってなかった、すごい成長だと思う、
    とちょっと偉そうにほめたら、それでも嬉しそうに握手の手が出て来た。
    サックス大変だったんじゃない、とそうなんです、大変でした、でも努力した成果出てるね、
    特にラストシーン、きれいに流れるようなサックスの音でなく、
    たどたどしいけど必死に吹いているサックスの音、
    その音のぎこちなさが物語の終幕に重なって、狙い以上の劇的なやるせなさが出ていたよ、
    と長めにほめたら、頭ショートしたみたいでついてきてくれなかった。
    でもマッキー、君の努力、演技の質、素直にほめる、よかったよ。

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