「小飼弾の論弾」で進行を務める、編集者の山路達也です。
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 今回は、2022年07月05日(火)配信のテキストをお届けします。

 次回は、2022年07月19日(火)20:00の配信です。

 お楽しみに!

2022/07/05配信のハイライト

  • au大規模障害の解説と「IPの世界とはぜんぜん違う力学の携帯電話業界」
  • 尼崎USB紛失事件と行政DXについて「今まで作ったものは埋めてしまえ」
  • GitHub Copilotの著作権問題について
  • AIと著作権とメカ論弾、SF『法治の獣』レビュー
  • 「4倍効率的」人工光合成の解説と「4個の中性子だけの原子核」「脳改造バッタ」
  • 巨大細菌と「プラスチックが生分解された未来」

au大規模障害の解説と「IPの世界とはぜんぜん違う力学の携帯電話業界」

山路:今日は、最初auの接続障害から始めようと思ったんですけど、コメントにあったように弾さん、目の具合どうですかと。

小飼:目の障害というのか(笑)、霰粒腫というやつが、

山路:さんりゅうし?

小飼:いわゆるメバチコとかというので、要は目に腫れ物ができる理由って2つあって、細菌感染か、あと皮脂腺が詰まるかで、僕の場合、後者で、そっちのほうってあんまり痛くないです。

山路:気付かなかったりもした、もしかして、鏡で見て初めて気づいた、

小飼:いや、何か、なんかあるなとは思ってたけど、痛くないので、放置してたら、ついに大きくなって、視界の上半分がもう見えなくなって。

山路:ええ(笑)、それで手術、

小飼:手術して、

山路:日帰りですか?

小飼:手術は日帰り。結局、合計1時間ぐらいで終わるんだけれども。

山路:弾さん最近よく病気してません?

小飼:そうなんですよ。だから、歯は割れるし、根っこが根腐れしちゃったので、根腐れした歯は抜いて、

山路:帯状疱疹にもなってませんでしたっけ。

小飼:そうそうそう、なんか今年は、だから死にゃあしないんだけれども、痛いのをいっぱいやってる。

山路:それって免疫が、みたいな話ではなくて、

小飼:どうなんでしょうね、それは。たんにいい歳だからという見方もあるんだけれども。結局、眼科に行ったじゃないですか。大抵そういうところに行くと、目当てのここ直してくださいだけではなくて、検査も受けることになるじゃないですか。意外なことに老眼が入ってなかった。

山路:あ、そうなんですか?

小飼:もう老眼けっこう入ってるんじゃないかなと思ったら。でも近眼が少し進んでた。

山路:私、遠近両用のコンタクトしてますけど、ちょっとこれ(笑)、やや老眼というか、入って補正してますよ(笑)。

小飼:ありゃー。これ意外だったな。だから、経年劣化説というのは、そうじゃないかもしれないという(笑)。

山路:ちなみに病気の話するとますますおっさんくさいですけど、緑内障とか来てないですか、眼圧高いとかその辺は?

小飼:warningは来たので、もう一度、3カ月後ぐらいに改めて測ってくれるみたい、

山路:視野検査やってくれるみたいなやつ、

小飼:右眼の方。だけれども、その視野検査というのも、霰粒腫のせいかもしれないので、だからそれもあってあらためて。

山路:まぁしかし、そんだけwarningが出てると、逆にいろいろ気をつけますわな(笑)。むしろ健康になるかもしれないと。じゃあさっそく、

小飼:(コメントを見ながら)一病じゃないじゃん、一病だったら息災っていうのは「そうかもしれないな」って思うけどさー。

「自分も眼圧高めで緑内障ぎりぎりです。」(コメント)

山路:ああ、けっこうそういう人多いっすよね。

小飼:(コメントを見ながら)だから眼帯ってステレオティピカルな海賊とかがやってる、ゴムバンドがあって、そういうのかと思ったらもう、絆創膏で止めるタイプのやつで。2、3時間したら剥がしていいよというタイプでしたね。

山路:そうでしたか。あれ、すぐに剥がしたのね。
 じゃ、さっそくau接続障害、これ相当デカかったですよね。

小飼:今、一瞬合わせ鏡が現れた、

スタッフ:すみません、

小飼:いやいやいや面白かったので。au接続、これ、86時間、

山路:記録、世界の携帯電話市場でも稀に見る。

小飼:日本のインフラ系で自然災害でなくって、事故でこれだけかかったっていうのは。

山路:これ、もう本当にそのまだ根本的な原因のところが、

小飼:auユーザーどれくらいいらっしゃるのか、聞いてみましょうか。ちょっと、じゃキャリア取ってみましょうか、4キャリア。今、日本4キャリア体制ですから、あのアンケート作れます?

スタッフ:ちょっとお待ちください。

小飼:はい、アンケート作ってる間に、ちょっと話を進めておきましょうか。

山路:しかしこう、いろんなことを言われてるけど、いまだに根本的にここまで時間がかかった理由っていうのはなんかよくわからんのですよね。はっきりは説明されてないですよね、いちおう細かいことは言ってるんですけれども、なぜここまで時間がかかったのかっていうことに関しては。

小飼:理由の一つとしては、全部止めて直すというやり方ではなくって、動く分は動きっぱにしながら直していってたのでっていう、説明があったんですけど。それにしてもちょっと長いよなと。

山路:これ、社長がこう陣頭に立ってみたいな、午前2時に起こされてもちゃんと対策委員立ち上げて、技術的なところもわかっててみたいな評価してる声もありましたけども。

小飼:まあでも、86時間っていうのはそれを考えても長い。

山路:長い。じゃあ何らかの進退問題はもう避けられない、

小飼:避けられないでしょうね。

スタッフ:すいません、4キャリア目って楽天でしたっけ?

小飼:4キャリア目、楽天ですね、はい。

スタッフ:じゃあ出します。

小飼:あなたのキャリアは?

スタッフ:いちおう主キャリアってしてます。デュアルの人は主なほうに。

小飼:そうですね。ありがとうございます。

山路:じゃMVNOの人は、それを使ってる回線みたいな話になるわけかな。

小飼:そうですね。

山路:主キャリアを教えてください。ほうほう。「ロシアのサイバー攻撃や」ってコメントがありますが。今回のはどうなんだろう。これって電話回線網が攻撃されることは十分にありえるわけですよね、今後。

小飼:十分ありえるんだけれども、IPほどやっぱり簡単ではない。

山路:インターネットにつながっているわけじゃないからっていうことですよね。

小飼:セルラーネットワークどこから入るかというのと、あと、あれじゃん、IPほど簡単に知識が手に入らないというのもあるよね。そう、オライリー本があるわけでもないし。

山路:(笑)NTTとかに入って勉強するしかねえ、みたいな。

小飼:そうそうそう、LTE入門みたいなものというのは残念ながらないから。一般論としてこうなってるという説明はあっても、じゃ具体的にどうなってるんだっていうのは、わかんないからね。

山路:なんか昔、ゆるい携帯電話の解説本を書いたときなんか本当に、ないんですよ、技術的なそういうことっていうのが全く出てなくて、けっこう苦労した覚えがありますね。

スタッフ:では結果出します。

小飼:おー、やっぱドコモも強いなあ。さすがに楽天はいなかったか。

山路:さすがにっつうのは(笑)。

小飼:メインキャリアは。

山路:さすがにっつうのも失礼な(笑)。

スタッフ:ドコモが57.9パーセント、auが26.3パーセント、

小飼:過半数がドコモかー。

スタッフ:ソフトバンクが15.8パーセントですね、楽天がゼロという結果になりました。

山路:MVNOの人も、けっこうドコモ回線だったりもするしな。

小飼:僕も実質、メインはIIJmioですね。

スタッフ:アンケート消します。

山路:これ、どれぐらい、その何て言うのかな、損害賠償とかの話に今後なってくると思うんだけど、弾さんだったらいくらだったら納得するか。

小飼:まぁとりあえず1月分はチャラにするかな。じつは今回の障害が起こった理由の一つというのは、従量課金しなければいけないというのもあるわけですよね。たとえば、端末の電源をオンにして、その端末がセルラーネットワークに掴もうとした時に何が起こるかって言うと、あ、まず最初に電話のほうは「自分はこういうものです」というSIMの情報を送りますよね。そうすると、顧客データベースに問い合わせますよね。顧客データベースに問い合わせ、じゃ、この人はちゃんと契約を持ってますかと、支払いをしてますかと。それでじつはネットワークも大まかに二つあるんですよね。データの口と、音声の口と。今回起こったのはその音声の口のデータベースの照合のところでタイムアウトしちゃうと。なので、音声が繋がらないと。暫くの間、iPhoneとかは、

山路:音声とは別に、データではやり取りするみたいな仕様になってるけど、

小飼:そうそう、データのほうが生きてたっていう人がけっこう、

山路:Androidのほうはもう電話が使えないと、データのほうも諦めちゃうみたいな仕様のが、

小飼:なんでそういう仕様にしたのかっていうのはちょっとわかんないんだけれども。

山路:(今回の事故は)その加入者のデータベースの扱いのところが、

小飼:いや、データベースにわりと頻繁にアクセスしなきゃいけないんだよね。仕組みから言って。なにも通話してない時でも、電源がオンになっている携帯電話というのは、KDDIの説明によると50分に1回はその作業をすると。

山路:それは50分に1回っていうのは、必ずどのユーザーに関してもっていう?

小飼:そうそうそう。だから、今端末の最寄りのセルがどこで、その人の契約はどこでっていうのは、それぐらいの頻度で問い合わせなければいけないし、それぐらいの頻度であれば軽々耐えられるようなネットワークだったはずなのに。音声の口のところが詰まってしまったと。

山路:なるほどね。これ、よくその、今監督官庁が相当お叱りに、お怒りになって、担当者を置いて、もう担当者をauのほうに張り付かせて対応に当たらせてるみたいなそういう記事も読んだんですけれども。これって、こういう事故っていうのは避けられるものなんでしょうかと。たとえばちょっと前はドコモも、だいぶ大規模な障害を起こしましたよね、今回ほど大きくはないけど。20時間ぐらい、29時間とかかな。

小飼:あのね、もうひたすら事故を起こさない、で商売の事を全く考えないっていうのであれば、繋ぎっぱにしちゃうというのが正解。ようするにデータベースへの問い合わせの必要そのものをなくしてしまう。実際に、固定回線のほうはそうじゃないですか。よほど回線を使う量が大きくないと、固定のほうは待機制御とかしないでしょ。携帯の、セルラーネットワークのほうは、本当にものすごい細かい制御してるんですよ。この人はパケ放題なのか、パケ放題だけど使い切ってないかとかで。けっこう細かく、そのユーザーの情報というのを把握していなければいけないし、ましては電話とかっていうのは、通話録まであるわけですよ、どの電話番号に何分っていう記録は少なくとも付けてるわけじゃないですか。じつは音声通話のほうがデータベースに書き込む項目というのは多い。

山路:インターネットプロバイダーの場合、ただその利用者がどこからどこまで使ったかっていうのをログはあるはずじゃないですか、それも。

小飼:いや、それはどこにパケットを送ってたのかっていう、それはちょっと違うな。
 どういうことかって言うと、よくTwitterとかである発信者特定というのは、IPアドレスの記録はある、IPアドレスがあるから、どのプロバイダーから来たというのはわかる。で、そのプロバイダーのほうというのだとか、ログというのは通信してたかどうかというのではなくて、単に契約が、確かにその契約がありますよというものでしかない。確かにここから来てましたよという。このIPアドレスのほうというのは、この人に紐付いてますよという。だから、具体的にどのパケットがどう流れたかなんていうのは、さすがにそこまでは見てないし、そこまでのログを取る必要はないわけです。

山路:だからこそ、ある意味インターネット網は軽いというか、

小飼:そうなんですよ、

山路:スチャラカなことができちゃうとも言える(笑)、

小飼:そうそうそう、まさにその通りで。

山路:本当に音声が、音声パケットがどこかでなくなっちゃったりとか、なんかこう動画がうまく再生されないみたいなことが許されるのも、

小飼:そうそうそう、

山路:これって携帯電話網って、そういうふうな、そこまでスチャラカではいけないんですか。今って携帯で、電話網と言いつつも、使っている技術ってIPじゃないですか、ほぼ。

小飼:いや、だからIPの流儀でもうやっちゃっていいと思うんですけどね。

山路:あと、これよく今回の障害に関して、たとえばどうするんですかって言われたその指揮者が、バックアップ回線を契約しておきましょうとか、eSIM使いましょうとか、そんな、これからあとは政府の関係者はもっと管理しっかりせんとみたいなこと言ってるけど、私、あれってすごいナンセンスなことを言ってるなあという気がしてて、

小飼:バックアップ回線を設けても、2FAの2段階目の認証に電話番号を使ってたら、

山路:違う電話番号じゃないですか、それって、

小飼:実際にそれで詰んだという人たちがいっぱい出たわけですよね、今回。じつは問題が大きくなっちゃってたというのにあらためて気付かされたのかなという。いや、たぶん今回のやつで一番大きかったのは、緊急通報も死んでしまったと。まず何と言ってもこれが一番大きいですよね。山で遭難したのに連絡が取れないっていう人が実際に出たと。その次に、2段階認証が詰んだという。

山路:ただこれもいろいろおかしいなと思うのが、緊急通話ができないって、たとえば海外とかだったら、SIMなしでも緊急通話できるような仕様になってたりもするじゃないですか、国によっては。結局、そんな、そういうふうなSIMなしでも緊急通話だったらできるみたいな仕様っていうのを義務付ければよくて、それは法律の問題じゃないかと思ったんですよね。

小飼:(コメントを見ながら)あ、2段階認証の話、どうやっておくべきだったんだっていうのは、これいちおう答え言いますから。

山路:ということで、その緊急通報に関しては、それはそういうふうな法律作ってない国のほうが悪いんじゃないかと思ったんですけど、どうでしょうかと(笑)。

小飼:まぁでもSIMでなくても、どのネットワーク、結局物理ネットワークは通す、通さなければいけないわけじゃん。そこの部分っていうのはちゃんと通るようにできるのかなというのが、あるね。今回の場合は物理層ではなくって、論理層が死んだがゆえに起こったことではあるんだけれども。

山路:あともう一つ、こんなにインターネットインターネットって言ってる時代に、携帯電話回線網っていうネットワークと、完全に密接に紐づけられた番号、電話番号っていうIDでみんな通信をしてるが故の問題ってこともないですか?

小飼:それはけっこう大きいですね。

山路:それこそ、これみんなが当たり前にメールアドレスでメールやってたりとか、あるいはメッセンジャーアプリとかでやってるんだったら、携帯電話会社が止まろうが何しようが簡単に別のとこのバイパスの回線使って、その上で通信をすればいい話じゃないですか。それなのに今の時代になっても、番号に紐づけられたもので、

小飼:まさに番号がIDになっているということが問題で。じゃあ、携帯電話番号に変わるID issuerっています?

山路:それをたとえば、

小飼:たとえばマイナンバーとか?

山路:はっはっはっは。そうねー(笑)。

小飼:ある意味、最低限の身元保証がされてるっていう暗示にもなってるんですよね、電話番号っていうのは。だからプリペイドカードとかっていうのも制限がかかっちゃった。

山路:今回の事故で言うんだったら、たとえばヤマトのドライバーへの連絡が通じないみたいな話があったじゃないですか。あれって、それこそ法人契約だったら、その中だけでクローズドで使える、あ、そっか、でもあれは外から番号を受けなきゃいけないのか、ドライバーの電話っていうのは。

小飼:そうなんですよ。

山路:そうか、社内だけじゃないか。

小飼:そうなの、発信だけであれば、固有の電話番号って要らないわけですよ。実際に、IPv4のアドレス不足っていうのは、NATという技術で解決したわけですね。NATって何かって言ったら、ほとんどの端末を内線電話にしてしまおうと。そのやり方であればいいんだけど、その意味では電話というのはいまだにちゃんとピアツーピアな通信ができるわけですよね。だから本当に電話番号というのは、単に固有であるというだけではなくて、パブリックですよ。だから認証に使いたくなるという気持ちもわかる。

山路:ただなあ、それが故に事故耐性が弱くなっているという気もしてしょうがないし、あと技術的なことで言うんだったら、今の携帯電話の無線部分なんかで使われているものってWi-Fiと同じようなもんじゃないですか、だいたい。そういうのって番号から独立した形っていうことを、みんな通信事業者とか、そういう監督官庁とかで作っていくことはできないのかなと思ったんですけどね。

小飼:いや、官庁で作ってもどうしようもないのよ、キャリアがそれにちゃんと従ってくれないと。

山路:官庁というか、業界団体的な。通信規格の。

小飼:いや、その業界団体が作った規格というのが、ややこしいがゆえにというのもあるんですよ。あくまでも、携帯電話の業界団体っていうのは、3GPPだったっけな、

山路:そうそうそう、それそれ。

小飼:IPの世界とはぜんぜん違う力学が働いているところに、個々の通話とかっていうのは、セッションっていう考えがまずありますし。そもそもつなぎっぱじゃない、もう、文化が違いすぎる、んですな。

山路:番号で通話するみたいなことの文化の上にもう強力に技術、成り立ってる技術ということなんですね。

小飼:そうそうそう。

山路:いや、これはなんか厄介な話ですなあと。

小飼:そう、それでじゃあ2段階認証はどういうふうにすべきだったって言って、実際に携帯電話に依存しない2段階認証ってありますよね。

山路:ワンタイムパスワード、なんていうか時間で、

小飼:そうそう時間ごとに、最初に正確に初期化してあれば、あと認証端末というのは時刻さえ正確であれば、いくらでも複製が効くっていう意味で、それが本来の2段階認証の、2段階目であるべきだと思いますよ。ただ当初はそれ、エクスポートすらまともにできなかったという、Google Authenticator、いやだから、なんでGoogleがこんなしょぼいアプリを出したのかなっていってびっくりしたんですけれども。

山路:ずいぶん後になってからですよね、デバイス間で使えるようになったりとかしたのは。

小飼:今ではiCloudのキーチェーンもワンタイムパスワードに対応したので。

山路:なんかワンパスワードとか、なんかそういうのも複数のやつを2段階認証のそういうやつをまとめておけたりとかするから、非常に便利ですけど。ちなみに時刻が正確であればっていう話でしたけど、スマホなんかがネットワークに、インターネットに繋がってなくて、ない場合、その時刻の保証っていうのはどうなるんですかね?

小飼:いや、それはもう必ず補正する、まず携帯電話であれば、携帯ネットワークに繋がってなくても、GPSで合わせられますし。

山路:じゃあGPSは最低限、つまりインターネットに接続、インターネットというか携帯電話網に繋がっていないとしても、GPSにつながる、アクセスできるってことは最低限必要になる、時刻が、

小飼:それは正確に時刻が合わせられてるっていうのは必要はありますけれども、データセンター間の通信を同期するために原子時計を入れてるっていう、そういうレベルではなくって、本当に数秒ぐらい。

山路:ほうほう、それぐらいのじゃあズレは許されるわけなんだ。

小飼:であれば、最近のネットワーク端末っていうのはパソコンにしろ、スマホにしろ、その程度の時刻というのは合ってるようになっているので。だから通信に依存しない。時刻単位でワンタイムパスワードを発行するというのは。たいてい30秒だね、6桁の数字30秒。

山路:2段階認証のさっきの質問に関しては、その時刻にやったワンタイムパスワード使いましょうという感じになるわけですかね。

小飼:というのか、パスワードレスにしてきましょうっていうね。パスワードレスにしていくにしても、その場合にも認証が2段階っていうのは、かなり重要な案件だと思います。だから、楽天とかいつ2FAやってくれるんだろうね、ちゃんと。

山路:だいたいGAFAの、GAFAMのサービスはもう2段階認証、ほぼ対応しましたよね、

小飼:でないものってあったっけ? ものによっては、もう2段階認証でないとダメなやつもありますね。GitHubも、GitHubやNPMも、最近はmandatoryになって、わりと人気のリポジトリがあるところというのは、けっこう強制的にオンにされたりして、お前のも強制的にオンにされたみたいな連絡が来ましたね。僕もけっこう人気なリポを持っているので。

山路:しかし、それがiOS16とかその辺のところでは、あ、あれが良くなるのはパスワードレスのほうか、新しい、2段階認証はあんまり関係ないか、iOS16は、

小飼:2段階認証というのは要するに認証が2段階というだけのことなので。片方が生体認証で、片方がその端末を持ってるという認証でもオッケーなわけです。

尼崎USB紛失事件と行政DXについて「今まで作ったものは埋めてしまえ」

山路:あとその携帯電話絡みで、これは細かいニュースなんですけど、個人的に気になったのが、ahamoがAppleウォッチ対応という(笑)。ワンナンバーサービスですか。

小飼:いやあ、仕方がなくIIJmioからMNPしたんですよね、ドコモに、そのメインの電話番号を。で、ahamoでもやってくれる、今どうしてるかっていうと、ドコモのメインの回線というのは通信の時にはテザリングしてる、IIJmioに(笑)。なんかすごい間抜けなんだけれども、最低限2giga、何だったっけ、ギガライトだか何だか、ドコモで一番安いサービス使ってて、それだと2gigaまで、月2gigaまでタダなんで。そのおかげで月1gigaも使わないという。

山路:その使い方だったら、じゃあahamoに変えなくてもいい?

小飼:たしかにそうなんだけどもね、でもいちいちテザリングするというのは億劫なものだし。

山路:そうですか、じゃあいよいよ、いよいよっていうのも変ですけど、弾さんもahamoユーザーになるかもしれない。

小飼:に切り替えて、もしこれが本当であれば。

山路:でも、これはオフィシャルなリリースで出てたやつだから、本当ではないですか、もう始まってるみたいですよ。私も次出るApple Watch、もしかしたらセルラーモデルにするかもなあって感じですけどね。じゃああと、やらかしがいろいろ相次いでますけど、ちょっと前にあった尼崎のUSBなんかもすごかったですねと。

小飼:あー。

山路:尼崎のやつが今回ので、

小飼:USBをカバンにしまって、そのかばんに何だったっけ、そうそう、GPSじゃなくて、

山路:AirTag?

小飼:そうそうそう、AirTagがぶら下がってるだけという(笑)。

山路:その尼崎のやつを受けて、これは尼崎じゃなくて、名取市だっけ、名取市が導入したってやつですよね。結局、使うのはUSBメモリーなんか、みたいな(笑)。この尼崎のやつもそうですし、なんていうか、日本のITに関する、なんか何重にも誤解した感じがすごくないですかと。

小飼:ねえ。

山路:これ、なんでこうなるんですかねと。要は、国がクラウド提供して、別に自治体がそれに使うようにして、データとかもう権限を持った人が移す、なんかアクセスできる人だけが使えるとか、そうすりゃいいだけの話じゃないですか、

小飼:給付金のおかげで改めてわかったのは、日本というのは中央集権というふうに言ってるわりには、中央政府の手足の能力が非常に低い、だからじつは日本国政府がやってるものというのは、市区町村が実装しているという例がすごい多くて。たとえば印鑑登録のシステムとかっていうのも、市区町村別なんです。