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「本日2020年4月28日をもちまして、3本の日本タイトルを返上し、キックボクシングから総合格闘技へ転向します。転向に伴い所属していたPHOENIXもマネジメント契約解消し退会する運びとなりました」――SNSでキック引退、MMA転向を宣言したムエタイ三冠王・雅駿介インタビュー。キックの実力者はなぜその地位を捨ててまでMMAに殴り込むのか。
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・【MMA転向宣言】全日本選手権覇者・中村倫也を育んだ“大宮”とは何か?/池田久雄
――雅選手はいつぐらいからMMA転向を考えていたんですか?
雅 決断したのはちょうど1年ぐらい前ですね。ボクが所属しているPHOENIXの会長(加藤督朗)が独立して、自分で新しくジムを立ち上げたいと。会長はPHOENIXを運営する会社の社員というかたちだったんです。その運営会社の代表と会長の話し合いで「選手は自由にしていい」という結論になって。
――このままジムに残ってもいいし、 新しいできるジムにも移籍していいと。
雅 もしくは他のジムに移籍してもいいよってことで。実際に会長に付いて行った選手や、他のジムに移籍した選手もいるんですけど。ボクは昔から「MMA に挑戦したい」と考えていたので、このタイミングしかないんじゃないかと思ったんですけど。 ただPHOENIXというジムには思い入れがあったし、いますぐキックを止めるのは中途半端になるなと。1年間はキックをやってジムを盛り上げつつ、2020年だとキリがいいし、オリンピックイヤーでスポーツが盛り上がると思うのでMMAに転向しようと決めましたね。
――ジムの体制が変わらなかったらMMA 転向は考えなかったかもしれないんですか?
雅 いや、ずっと考えていたので、きっかけになったということですね。いずれはMMAはやっていたと思いますね、どこかのタイミングで。 何もなくても同じ時期に入ってたんじゃないかと思います。それは間違いないです。
――結果的に背中を押してくれたということですね。
キックの実績があることで周囲の反対もあったんじゃないですか?
雅 止める人はいなかったですね。ボクはかなり熱があったし、転向を決めたということで周りに相談したので。「行くか・行かないかで迷っている」という相談は奥さんにしかしてなかったです。
――奥さんは、なんとおっしゃったんですか?
雅 「好きなことをやればいいんじゃない」と。ただ現実的にいままでようにキックでファイトマネーは稼げなくなくなっちゃうので、生活が厳しくなるという話もしたんですけど。「1回しかない人生だから好きなことをやったほうがいいよ」と。
――背中を押してくれたわけですか。
雅 キックで日本タイトルのベルトを3本持ってて、2020年の今年もいろいろとチャンスがもらえる……という話もあったんですけど。それなのにMMA転向を考える人はいない、と周りからは言われましたね(笑)。
――いや、ホントですよ。このままキックをやったほうが経済的にはいいですし、MMAだとしばらくは持ち出しになっちゃうわけじゃないですか。
雅 ホントそうですね。でも、そこはボクの熱が強かったので奥さんも納得してくれたのかなと思うんですけど。それに今後キックの3倍4倍5倍以上、MMAで稼ぐつもりなので!(笑)。
――ハハハハハハハハ!いや、まあMMAは青天井ですもんね。
雅 そこは力説しましたね。 ただ、やりたいことをやることはお金以上の価値があると思ってるので。人生は一度きりしかないのでそこは大事にしました。
――MMAの練習はされてるんですか?
雅 去年から津田沼のFIGHT FARMに立ち技の出稽古で週1で通ってたんですけど。 MMA に転向すると決まった時点でFIGHT FARMの方に相談をして、キックだけじゃなくてMMAの練習にもさせてもらってますね。あとはK-Clann。
――葛飾にある横田一則さんのジム。
雅 K-Clannには選手の繋がりがあるので出稽古させてもらったり。
――手応えはどうですか?
雅 いやあ、本当に凄い難しくて。これホントに「MMAで勝てるのかな……」って感じなんですけど(苦笑)。でも、ボクはドンドン練習をして早くうまくなっていきたいなって思います。
――大沢ケンジさんが言うのは「総合は最初の頃の練習で心を折れがちになる」みたいな。
雅 ハハハハハハハ。たしかに寝技は本当に難しいです(笑)。でも、楽しくてしょうがない感じです。ファン目線としては寝技のほうが好きだったんですよ。PRIDEだったらノゲイラが好きで。だから寝技でやられたにしても心が折られるということはないですね。
――これまで築き上げたキックボクサーとしての地位を捨ててまで転向するということは、覚悟を決めてるということですもんね。
雅 そうですね。むしろ覚悟しかないですね(笑)。
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