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「柔術ぼんやり層」に優しいブラジリアン柔術黒帯にして柔術専門ライターの橋本欽也氏が語るクレベル・コイケ!



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――柔術ライターの欽也さん!今日はクレベル・コイケの凄さについて語ってください!!

欽也 俺は「Dropkick柔術部」の講師と言っても過言ではないですからね。ブラジリアン柔術のスポークスマンとして大任をはたしますよ。

――まずクレベル・コイケはどういう柔術家なんですか?

欽也 クレベル・コイケは、サトシ(・ソウザ)がいる静岡のボンサイ柔術所属。日本のボンサイ柔術のトップはRIZINにも出たマルキーニョス(マルコス・ヨシオ・ソウザ)で、サトシがナンバー2、その次がクレベル。

――ボンサイ柔術「第3の男」なんですね。
欽也 ボンサイ柔術はブラジルのサンパウロに本部道場があって、アジウソン・ソウザ、つまりサトシの父親が始めた道場で。エリオ・グレイシーから脈々と受け継がれるリネージュがあるんですよ。

――正統派のブラジリアン柔術。

欽也 創始者のお父さんが亡くなったあとは長男(マウリシオ・ソウザ)がブラジルの道場を引き継いでます。その長男は出稼ぎ外国人として来日してて、2000年初期に日本でも道場を始めたんですけど、それがボンサイ柔術の日本支部。そこで同じ出稼ぎブラジル人の子供として来日していた中学生時代のクレベルが入会してるんですよね。

――中学生の頃から所属してたんですか。

欽也 クレベルは14歳のときに来日してるんですよ。当時はPRIDEが流行っていたから、お兄ちゃんのクリスチャン・コイケが柔術サークルに通ってたんですよね。そこに弟のクレベルもついていって。そのうちマウリシオ・ソウザが来日して、その柔術サークルに参加したんだけど。ブラジルで柔術をやってきたマウリシオとはレベルが違うわけですよ。それならマウリシオは自分で道場を……とボンサイ柔術の日本支部を立ち上げたら、そのサークルの人間がみんな移籍して。

――それでクレベルもボンサイ柔術に参加した。

欽也 だからクレベルも旗揚げメンバーというか。その時点でサトシはまだ来日してないですからね。サトシはブラジルで柔術をやっていて紫帯で日本に来てるんですけど、クレベルは日本で柔術を初めてる。この2人は同い歳なんですけど、2人のルーツはちょっと違うんですよね。

――ブラジルからやってきて日本で柔術を始めたクレベルと、ブラジルで柔術を始めて日本にやってきたサトシ。

欽也 ボンサイ柔術がロイヤルファミリーだとすると、クレベルは親戚みたいな関係。実際に家族ぐるみの付き合いだし。

――クレベルはブラジリアン柔術の世界ではどのレベルまで活躍したんですか?

欽也 クレベルはワールドクラスの選手ではあるんですけど、サトシやマルキーニョスみたいに黒帯で国際大会の入賞歴がないんです。紫帯でヨーロピアンで優勝して、パンナムでも入賞はしてるんだけど。黒帯になってからも海外の大会には出てるんですけどね。

――柔術の実績ではサトシのほうが上なんですね。

欽也 サトシのMMAデビューって最近じゃないですか。黒帯になってからMMAをやってる。でも、クレベルって黒帯になる前の18歳のときにMMAデビューしてるんですよ。サトシはずっと柔術、柔術、柔術だったんだけど、クレベルはMMAと柔術を交互にやってるんですよね。18歳のときからやってるからキャリアとしては長いんです。

――そこもサトシとは対照的ですね。

欽也
 クレベルは戦いが好きなんだよね。KSWの契約が終わって、Road TO ONE(西浦“ウィッキー”聡生戦)でも勝ったんだけど、なかなか試合が組まれないってことで、自分で大会の参加費を払って国内の柔術大会に出てたんですよ。それでメダルを取りまくってね。決勝戦で負けたこともあったんだけど、クレベルは柔術とMMAをどっちもやりながら出てるじゃないですか。相手は柔術しかやってない専門家相手とやってもある程度まではいける。QUINTETでも活躍した岩崎(正寛)くんにも負けたことはあるんですけど、岩崎くんはCARPE DIEM BJJのトップの1人だから。

――岩崎選手は最近、萩原京平選手も指導されてますね。

欽也 参加費7000円を払ってまで柔術に出るぐらいだから本当に戦いが好きなの。あとヤンチャ坊主だったし。

――かなりの暴れん坊だという噂は聞いてますね(笑)。

欽也 クレベルはホントにブラジル人気質なんですよ。陽気でバカ(笑)。学校も行かないで昼は働いて、夜はクラブでケンカして……みたいなライフスタイル。家族がブラジルに帰っちゃったときは、すさんだ時期もあって。そのときはサトシの家に居候してて、2人は密接な関係が築けたというか。俺もクレベルと大ゲンカしたことがありますよ。

――あれま。なんでケンカしたんですか?

欽也 2011年にアメリカのロスの大会に一緒に行ったことがあって。そのときにメンデス兄弟が俺が泊まっているホテルに試合写真を取りに来たんです。

――メンデス兄弟は柔術界ではビッグネームですね。

欽也
 試合後の打ち上げも終わってからだから、夜中の1時頃に俺の部屋にやってきたんですよ。受け渡しの作業が終わって自分たちのホテルに帰るってなったときにタクシーを呼んだんですね。でも、当時はUberなんてものもなかったから全然来なくて。そうしたらクレベルが「なんでタクシーが来ないんだ!?(怒)」って俺に怒り始めて。

――なぜ欽也さんに(笑)。

欽也
 ホント「知らねーよ!」って話なんだけど、「メンデスはワールドチャンピオンなのになんでこんな扱いするんだ!」ってずっと怒ってて。俺とクレベルの大ゲンカをハファエル・メンデスが「まあまあ、ケンカはやめろ」と止めに入るという。

――ワールドチャンピオンが仲裁を(笑)。

欽也
 頼まれて写真をコピーしてやってるだけなのに。それから日本に戻ってもクレベルとは半年くらい口をきかなかったんだけど。アイツは柔術の試合で活躍するから、柔術ライターとしてコメントを取らないといけないでしょ。そのときに「あのときは悪かった……」みたいな感じで謝ってきて。

――和解はしたんですね。

欽也
 。クレベルはメンデスたちとはファミリー的関係なので「試合が終わって疲れてるのになんでこんな扱いをするんだ?」ってキレちゃったんだろうね。俺は関係ないのに(笑)。

――すぐにスイッチが入っちゃう。

欽也 「なんで他人のことでそんなに熱くなるんだ?」って思うんだけど、RIZINのときもそうでしょ。 ボンサイ柔術の選手が勝ったら試合後にみんなで抱き合うし、サトシが泣きながらクレベルがRIZINに出られるようにマイクしたり。この感覚は日本人にはなくないですか?
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