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「健介オフィスの闇」が話題になっていたので、元「紙のプロレス」編集者・松澤チョロさんの脱線プロレス「佐々木健介編」を再録します!(聞き手/ジャン斉藤) *この原稿は2021年11月に収録したものです


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・橋本真也を最後に取材した男・松澤チョロが語る「ゼロワン時代の破壊王」








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今回のテーマは佐々木健介です。松澤さんは紙プロ時代、健介ファミリー担当だったわけですけど。

松澤 まあ何度も言ってるんだけど、健介ファミリーというか、健介には「いい人」のイメージしかないんだよね。あ、一応、俺も健介も業界から離れてるんで「健介さん」と呼ぶことにします。

――北斗(晶)のように「健さん」だとフレンドリーすぎますかね(笑)。

松澤 前回、俺が健介さんにPRIDEのオファーをした話をジャン斉藤が思い出させてくれたのよ。もうすっかり忘れてた。ジャン斉藤は、さも一緒に現場にいたように話してたけど(笑)。

――ボクは松澤さんから詳しく聞いたんですよ。あれは 2004年にミルコが超ハイペースで試合をしていたときで。2月にロン・ウォーターマン、2週間後に山本宜久、4月にランデルマンに負けて、5月に金原弘光、7月に大山峻護、8月にエメリヤーエンコ・アレキサンダー、10月にジョシュ・バーネット。

松澤  いやいや、いま考えてもいくらミルコとはいえハイペースすぎでしょ。しかも相手もそこまで簡単な選手じゃないし。

――それなりの相手を用意するのが大変だったときに、当時PRDIEのブレーンで『紙のプロレス』の編集長だった会長(山口日昇)が松澤さんに「健介に話をしてくれないか」と。

松澤 誰かが欠場するから代役を探すじゃなくて話題作りのための佐々木健介。 ミルコは「プロレスラーハンター」の売りもあったから健介さんはうってつけだったんだろうね。

――2004年の前半の健介はWJを退団したばっかりで、ちょうど仕事がない時代だったんですよ。

松澤 ケガしてるわけじゃないんだけど、どこの団体からもオファーがない。本当かどうかわかんないけど、ウィキペディアによると子供のミルクも薄めて飲ませるぐらいお金がなかった時期らしいし。おそらくPRIDEとしても、どうしても健介っていうわけじゃないよね。 「当たってみてくれない?」っていう軽い感じ。石井館長みたいに札束を差し出して「出ませんか?」っていうわけではなく。

――まあ、PRIDEが本気だったら松澤さんを派遣しませんよ(笑)。

松澤 ホントそうだよね(笑)。札束なんか用意されたら、そのまま逃亡の恐れすらある!

――ひどい!(笑)。

松澤  冗談はさておき、当時はもうプロレスラーが付け焼き刃で勝てるような時代ではなかったよね。そこは破壊王も一緒で手も足も出ないで負けたら、本人はもちろんプロレスファンもダメージはデカい。でも、そのときの健介さんなら、もしかしたら金で動くんじゃないかっていう考えがPRIDEにあったわけでしょ。

――松澤さんが使者だったりするし、健介は要するにPRIDEから相当、下に見られていたってことですよね。

松澤 破壊王に藤田和之の代役としてジェロム・レ・バンナ戦のオファーがきたときは、あらゆる格闘家・プロレスラーに断られて一番最後だったことに「なんで俺が最後なんや」って怒っていたけど。破壊王もポーズで「まあ、出るわけがないし」ってことだったんだろうな。

――松澤さんは忘れてるかもしれないですけども、健介邸で北斗にPRIDEの話を切り出したら、「チョロさん、こんな大事な話は別の部屋でしましょう」と奥の部屋に連れて行かれて……。

松澤 たしか対戦相手云々の話はしてなかったかな。後日、お断りの電話があった記憶がある。

――北斗は「こんないいお話、本当に申し訳ないけど……」って丁重なお断りをされたはずですよ。「いい話」ではないと思ったんですけど。

松澤 まあ断って当然だよね(笑)。北斗さんはどんなに生活が苦しくてもプロレス格闘技関連では金で動かない人でしょ。総合格闘技をやってもマイナスでしかないことはわかっていた。

――そこはさすが北斗晶ですね。

松澤  その北斗さんも何度も無理を聞いてもらったし「いい人」だったけど。あまり人を誉める印象のないジャン斉藤も過去に取材した中で健介さんが一番対応がよかったって言ってたよね?

――これまで1000回以上、誰かにインタビューしてるかもしれないですけど、いちばん取材対応がよかったのはぶっちぎりで健介だったりするんですよ。そういうと「上っ面だけいいんじゃないか」って言われそうですけど、仮にそうだったとしてもあそこまでの対応はできないくらい。

松澤 わかるなぁ。俺もホントに「いい人」のイメージしかなくて。でも、健介さんはプロレスファンのみならず同業者からもめちゃくちゃ嫌われてるイメージでしょ。

――嫌われる理由もよくわかります(笑)。

松澤 それは過去の後輩たちに対するパワハラ的なものというか、道場のしごきとかが原因なんだろうけど、新日本プロレスの練習生が亡くなった件も、いまだに健介のせいなんじゃないかみたいに言われてるし。

――その件はクリス・ベノワの本が健介犯人説を指摘したことで、さも事実のようにネット上をさまよってるわけですけど。そもそもあの本はクリス・ベノワの自伝でもなんでもなくて、ベノワ死去後に勝手に出された伝記。クリス・ベノワ本人が実際にそう発言したかどうかも怪しいですし、道場で事故があったときクリス・ベノワは日本にいませんでしたからね。かぎりなく冤罪に近いんですよ。

松澤 そうみたいね。ただ、その後、健介さんの団体ダイヤモンド・リングの元・所属レスラーがしごきやイジメを告発したこともあって「健介だったらありえる」と思われちゃったんだろうね。

――あれはボクもありえると思いました。

松澤 それでまたダークなイメージが上乗せされて、傍から見ると逃げるように引退興行をやってプロレス界から消えてしまった。いまはプロレスラーのYouTubeのコラボがあたりまえの中、健介はどこからもゲストに呼ばれてない。 健介がオファーを断ってる可能性もあるけど、そうは見えないんだよね。 逆にみんな悪く言ってる印象で。安田忠夫さんや菊田早苗さん……。

――もうちょっと「あ、この方の証言だったら健介は悪人かも」という例を挙げてください(笑)。

松澤 例えが悪かった(笑)。いまは師匠の長州力との確執もクローズアップされて。長州さんがメディアでブレイクする一方で、健介さんの影が薄くなったというか。

――プロレスラー格闘家の芸能人枠って争いがホントに激しいですからね。高田延彦が角田信朗を追いやったと思ったら、いまは本間朋晃がシャガレ声で台頭して。

松澤 たしかに本間さん、最近よく見かける。長州・健介が険悪関係が取り沙汰されるきっかけとして、いまだによく言われてるのがWJがX-1という総合格闘技イベントをやるために健介から500万円を借りたと。

――WJがあの時代にケージMMAをやってるんですよね。理由はWJの経営が本当に苦しくて、最後のあがきではあったんですけど。

松澤 長州さんは YouTubeで武藤敬司と対談したときにボヤいてるんだよね。いまだに健介から500万円借りたとか言われるけど、借りてねえぞと。猪木さんのパーティーのときに健介本人に「借りてねえよな」と確認までして。そんな2人の関係が修復不可能になったのが、上井文彦さんが絡んでいたW-1のトーナメントでシングルマッチをやったとき。

――W-1といってもいろいろとあって。第1次W-1はK-1とPRIDEの協力体制、第2次W-1は上井さんとFEGがやって1年も経たずに活動停止。最近までプロレス団体として活動していたのは、新生K-1の親会社が武藤敬司をエースに立ち上げたもの。

松澤 うわ、全然把握できてない。とりあえず問題になったのは上井さん主導のW-1で、上井さんが犬猿の仲の2人に試合をさせれば面白くなるとマッチメイクして。いざ試合になったら、フォール負けした長州さんがすぐに立ち上がって余力を残したままスタスタとリングを降りたことに北斗さんが激怒したんだよな。

――無気力試合気味に見えちゃったんですよね。

松澤 あれって途中でトーナメント中止になったんでしょ。なんかゴタゴタ三昧のイメージ。

――第2次W-1はスタート当初からカオスでしたね。リングス休止後、ひさしぶりに現場復帰した前田日明や、FEGのMMAイベントHERO’S、上井さん仕切りのプロレス興行ビッグマウス・ラウドも絡んでくる複雑さで。

松澤  前田日明と上井さんの金銭トラブルも、そのとき石井(和義)館長が出資したお金がどうのこうのって話でしょ。上井さんには村上一成さんとかも相当怒ってたし。

――健介の500万円も、あいだに誰かが入っていてゴチャゴチャした可能性はありますよね。

松澤 北斗さんも言ってるけど、ウチらは長州さんに恨まれる覚えもないと。だいたい5000万ならともかく500万で何ができるのか?って感じはあるよね。

・X-1は真剣勝負だったのか
・「正直スマンかった」事件
・自伝「光を掴め」の衝撃
・ジャパンプロレス時代の闇
・「二代目・長州力」襲名計画
・健介ファミリーの輝きは……12000字テキストはまだまだ続く


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