クレベル 私はビックリしなかった。私はこれでRZIN3試合目だけど、ヨーロッパ(KSW)のチャンピオンだったし、あとやれる相手は斎藤(裕)と朝倉(未来)との2人だけ。だからビックリはしなかった。

――
2人と戦える資格は充分にあるということですね。

クレベル
 そうそう。 

――
斎藤選手と朝倉選手どちらと戦いたかったですか?

クレベル
 それはどちらとも。サイトウはチャンピオン、夢を叶えるなら朝倉で。

――
夢ですか?

クレベル
 朝倉はいま日本で人気がある。私はまだ有名じゃないし、人気はない(苦笑)。ヨーロッパでは有名なんだけど。 

――
知名度の高い朝倉選手と戦うことのメリットは大きいと。朝倉選手はKO宣言してますね。

クレベル
 そういう発言はビックリしない。私と戦う相手はみんな必ずそう言うから(笑)。

――
もう慣れっこですか。

クレベル ヨーロッパでもみんなそう。 試合前はそう言うけど、試合が始まったらそうはならない。KOされなかった。朝倉はそう言うけども、私は怖くないです。 

――
クレベル選手は打撃にも自信があるんですよね。

クレベル
 私はまだ上手じゃない。でも、自分のことを信じてるから。いつも鈴木博昭さんにも助けてもらって……。

――
“怪物くん”に打撃を教わってるんですね。

クレベル
 心配ない。ケンカやるぞ!って感じ。

――
ケンカ!

クレベル
 いやいや、私にとって「ケンカ=試合」。あくまで試合で潰していきたい。一本勝ちだろうがKOだろうが目的は必ず勝つこと。それがケンカ。

――
殴り合うってわけじゃないですね。

クレベル
 そうじゃない(笑)。リングの中で勝つこと、そういうつもりでケンカをやると。私はファイターです。

――
ケンカもかなり強いんですよね?

クレベル
 ……。

――
ハハハハハハハ! 朝倉選手は有名な不良だったそうですけど。 

クレベル
 まあ……関係ない。試合はあまり変わりないです。

――
KSWで朝倉選手以上の選手たちと戦ってきたという自信があるわけですよね。

クレベル
  それは間違いない。 ヨーロッパでチャンピオンになったし、いまUFCの選手とやったり。朝倉は特別じゃない、普通、普通。あまり問題ないです。私にとってはサプライズのファイターにはなりません。私にとっては特別じゃないけど、朝倉はそう思ってるかもしれない。

――
朝倉選手にとってはキャリア最大の敵になりますね。

クレベル
 それは間違いない。朝倉の試合は相手はいつも立ってるだけ。私の強いところはグラップリング。朝倉はそんな選手とまだ戦ったことはないと思う。朝倉にとっては初めてでしょ。 

――
朝倉選手は岩本健汰選手を寝技のトレーナーとして招聘しました。

クレベル
 岩本ね。とくに驚きはしない。試合まで1ヵ月あるかないか。誰もそんなには変わらない。自分のファイトスタイルはなかなか変えられない。岩本と練習をするってことは、朝倉は私が危険だっていうことをわかってる。自分に自信がないから岩本と練習する。宮田(和幸)にレスリングを習ってるのも同じ。

――短期間のトレーニングではそうそう補えないと。

クレベル
 長いあいだ練習すれば変わるかもしれないけど。私が何年、柔術をやってきたか。18年。私も同じで自分のスタイルをいまから変えようと思ってもなかなか難しい。1ヵ月間、打撃の練習を頑張ってもKOで倒すようにはなかなかならない。もちろん可能性はゼロではないけど。

――
いまのMMAでアンダーポジションになることを苦にしないのは、どういうメンタルなんですか?

クレベル
 そこには秘密はないよ。答えは練習。 自分の柔術を信じてる。みんな下になることにビックリしてるけど、私はそうは思ってない。私は必死に毎日毎日毎日練習してる。自分の寝技を信じている。だからどんなポジションでも問題ない。

――
MMAだとパウンドはもちろんのことヒジ攻撃は危ないですよね。

クレベル
 そういうリスクはあるよ。 MMA だからそういう危険はある。でも、結果はどう? 私は摩嶋(一整)に一本勝ちした。リスクはあるけど勝った。 私はキックやパンチは怖くはない。それもやっぱり自分の寝技を信じてるから。

――
それは今回の朝倉戦も変わりないと。

クレベル
 今回も普通の試合。勝つ、負ける、危険は同じ。朝倉が相手だから、こうなったらまずい、あれをやったらまずいっていうのはない。 いつものように自分の寝技を信じて戦う。 

――
いままで試合でパニックになったことはあるんですか? 

クレベル
 ない。練習ではいつもパニックだけど(笑)。だってサトシ、マルキーニョス、関根(シュレック秀樹)さんとの練習でボコボコにされるから。 それがパニックです(笑)。

――
そんなに練習は厳しいんですか。

クレベル
 「今日の練習にサトシがいるなあ」でパニック(笑)。試合は大丈夫。 練習になったら私はサトシにボコボコにされる。サトシ、マルキーニョス、関根さん、鈴木さん、4人はみんな私のことをイジメるから。ホント!(笑)。

――
ハハハハハハハ! そうやって厳しい練習を重ねることが自信につながってるんですね。

クレベル
 私がいつも言ってるのは「試合は簡単」。それはいつもちゃんと練習をしてるから。 練習はサボらない、逃げない。1日2~3回は練習をやっている。なぜヨーロッパでチャンピオンになってRIZINでこういう試合ができるか。その秘密の答えは練習。

――
東京ドームは大会場ですけど、プレッシャーはありますか? KSWではスタジアムでやったりしてるんですよね。

クレベル
  あんまり心配はしてない。自分のやる仕事だけを考えて、ファンが何万人いるとか考えない。でも、ファンは大事。ファンがいるから、ここまでなれた。 応援してくれてるファンも、別のファンもいるんですけど(笑)。

――
朝倉未来選手を応援するファンですね(笑)。

クレベル
 みんな大事。そのファンのために面白い試合をやります。 


ボンサイ柔術の戦友が語るクレベル・コイケの強さ■関根シュレック秀樹
https://ch.nicovideo.jp/dropkick/blomaga/ar2019252