松澤チョロの脱線プロレスシリーズ第3弾。今回は続・佐々木健介を12000字で語ります!
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・橋本真也を最後に取材した男・松澤チョロが語る「ゼロワン時代の破壊王」
――今回のテーマは前々回でも話をした佐々木健介の続編です。松澤さんは紙プロ時代、健介ファミリー担当だったわけですけど。
――北斗(晶)のように「健さん」だとフレンドリーすぎますかね(笑)。
――ボクは松澤さんから詳しく聞いたんですよ。あれは 2004年にミルコが超ハイペースで試合をしていたときで。2月にロン・ウォーターマン、2週間後に山本宜久、4月にランデルマンに負けて、5月に金原弘光、7月に大山峻護、8月にエメリヤーエンコ・アレキサンダー、10月にジョシュ・バーネット。
松澤 いやいや、いま考えてもいくらミルコとはいえハイペースすぎでしょ。しかも相手もそこまで簡単な選手じゃないし。
――それなりの相手を用意するのが大変だったときに、当時PRDIEのブレーンで『紙のプロレス』の編集長だった会長(山口日昇)が松澤さんに「健介に話をしてくれないか」と。
松澤 誰かが欠場するから代役を探すじゃなくて話題作りのための佐々木健介。 ミルコは「プロレスラーハンター」の売りもあったから健介さんはうってつけだったんだろうね。
――2004年の前半の健介はWJを退団したばっかりで、ちょうど仕事がない時代だったんですよ。
松澤 ケガしてるわけじゃないんだけど、どこの団体からもオファーがない。本当かどうかわかんないけど、ウィキペディアによると子供のミルクも薄めて飲ませるぐらいお金がなかった時期らしいし。おそらくPRIDEとしても、どうしても健介っていうわけじゃないよね。 「当たってみてくれない?」っていう軽い感じ。石井館長みたいに札束を差し出して「出ませんか?」っていうわけではなく。
――まあ、PRIDEが本気だったら松澤さんを派遣しませんよ(笑)。
松澤 ホントそうだよね(笑)。札束なんか用意されたら、そのまま逃亡の恐れすらある!
――ひどい!(笑)。
松澤 冗談はさておき、当時はもうプロレスラーが付け焼き刃で勝てるような時代ではなかったよね。そこは破壊王も一緒で手も足も出ないで負けたら、本人はもちろんプロレスファンもダメージはデカい。でも、そのときの健介さんなら、もしかしたら金で動くんじゃないかっていう考えがPRIDEにあったわけでしょ。
――松澤さんが使者だったりするし、健介は要するにPRIDEから相当、下に見られていたってことですよね。
松澤 破壊王に藤田和之の代役としてジェロム・レ・バンナ戦のオファーがきたときは、あらゆる格闘家・プロレスラーに断られて一番最後だったことに「なんで俺が最後なんや」って怒っていたけど。破壊王もポーズで「まあ、出るわけがないし」ってことだったんだろうな。
松澤 たしか対戦相手云々の話はしてなかったかな。後日、お断りの電話があった記憶がある。
――北斗は「こんないいお話、本当に申し訳ないけど……」って丁重なお断りをされたはずですよ。「いい話」ではないと思ったんですけど。
松澤 まあ断って当然だよね(笑)。北斗さんはどんなに生活が苦しくてもプロレス格闘技関連では金で動かない人でしょ。総合格闘技をやってもマイナスでしかないことはわかっていた。
松澤 その北斗さんも何度も無理を聞いてもらったし「いい人」だったけど。あまり人を誉める印象のないジャン斉藤も過去に取材した中で健介さんが一番対応がよかったって言ってたよね?
――これまで1000回以上、誰かにインタビューしてるかもしれないですけど、いちばん取材対応がよかったのはぶっちぎりで健介だったりするんですよ。そういうと「上っ面だけいいんじゃないか」って言われそうですけど、仮にそうだったとしてもあそこまでの対応はできないくらい。
松澤 わかるなぁ。俺もホントに「いい人」のイメージしかなくて。でも、健介さんはプロレスファンのみならず同業者からもめちゃくちゃ嫌われてるイメージでしょ。
――嫌われる理由もよくわかります(笑)。
松澤 それは過去の後輩たちに対するパワハラ的なものというか、道場のしごきとかが原因なんだろうけど、新日本プロレスの練習生が亡くなった件も、いまだに健介のせいなんじゃないかみたいに言われてるし。
松澤 そうみたいね。ただ、その後、健介さんの団体ダイヤモンド・リングの元・所属レスラーがしごきやイジメを告発したこともあって「健介だったらありえる」と思われちゃったんだろうね。
松澤 それでまたダークなイメージが上乗せされて、傍から見ると逃げるように引退興行をやってプロレス界から消えてしまった。いまはプロレスラーのYouTubeのコラボがあたりまえの中、健介はどこからもゲストに呼ばれてない。 健介がオファーを断ってる可能性もあるけど、そうは見えないんだよね。 逆にみんな悪く言ってる印象で。安田忠夫さんや菊田早苗さん……。
松澤 例えが悪かった(笑)。いまは師匠の長州力との確執もクローズアップされて。長州さんがメディアでブレイクする一方で、健介さんの影が薄くなったというか。
松澤 たしかに本間さん、最近よく見かける。長州・健介が険悪関係が取り沙汰されるきっかけとして、いまだによく言われてるのがWJがX-1という総合格闘技イベントをやるために健介から500万円を借りたと。
松澤 長州さんは YouTubeで武藤敬司と対談したときにボヤいてるんだよね。いまだに健介から500万円借りたとか言われるけど、借りてねえぞと。猪木さんのパーティーのときに健介本人に「借りてねえよな」と確認までして。そんな2人の関係が修復不可能になったのが、上井文彦さんが絡んでいたW-1のトーナメントでシングルマッチをやったとき。
松澤 うわ、全然把握できてない。とりあえず問題になったのは上井さん主導のW-1で、上井さんが犬猿の仲の2人を試合をさせれば面白くなるとマッチメイクして。いざ試合になったら、フォール負けした長州さんがすぐに立ち上がって余力を残したままスタスタとリングを降りたことに北斗さんが激怒したんだよな。
松澤 あれって途中でトーナメント中止になったんでしょ。なんかゴダゴダ三昧のイメージ。
――第2次W-1はスタート当初からカオスでしたね。リングス休止後、ひさしぶりに現場復帰した前田日明や、FEGのMMAイベントHERO’S、上井さん仕切りのプロレス興行ビッグマウス・ラウドも絡んでくる複雑さで。
松澤 前田日明と上井さんの金銭トラブルも、そのとき石井(和義)館長が出資したお金がどうのこうのって話でしょ。上井さんには村上一成さんとかも相当怒ってたし。
――健介の500万円も、あいだに誰かが入っていてゴチャゴチャした可能性はありますよね。
松澤 北斗さんも言ってるけど、ウチらは長州さんに恨まれる覚えもないと。だいたい5000万ならともかく500万で何ができるのか?って感じはあるよね。
――500万すら用意できない団体って末期ですよ。『ハッスル』も事務所の家賃すら払えずに続けたことで、さらに悲惨なことになりましたけど(笑)。
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コメント
コメントを書くずっと28人だと信じてたのに…
長州はアメリカンだったのか。
紙プロからの読者としては、やっぱりこの空気感がなんともいいですね。
健介本人にも読んで欲しいなぁ。
是非お二人で健介にインタビューをしてください。
健介インタビュー希望!
あと、本当のところ会員35名くらいはいると信じています。
マジで28人しかいないと思ってお布施のつもりで入会したおれの立場よ……
健介の愛犬躾エピソードは、会長の二つ名「犬殺し」に繋がるのでしょうか。秋山ヌルヌルの山田さんインタビューの時もだけど、名前出された側の話を聞いてみたいですね。
ニコニコが母体の格闘技ブロマガ講読者が28人ってまた絶妙にリアリティあるんだよなあw
それはともかく濃いインタビューでした。健介への言われなきデマが解消されてほしいなあ
木村にやられたの健三だったのか。
読了しました。
この途轍もなく物凄い情報量、自分は格オタですが
ぐんぐん読み進んで、第三の眼が開く感覚を覚えました
さすがのドロップキックですね!
紙プロを読んでいたかどうかで、俄然読みやすさが変わるなこれは。
紙プロ風構成の仕方などが、あったらむしろ見たい。独特だな。