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弥益ドミネーター聡志を撃破した平本蓮15000字インタビューです!(聞き手/ジャン斉藤)


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弥益ドミネーター聡志「下手な鉄砲も数打ちゃ当たるじゃないですけど……」





――
平本さん、素晴らしい勝利でした。

平本
 ありがとうございます!

――
内容的にも相当、手応えがあった試合だったんじゃないですか。

平本
 いや、そうですね。手応えはめちゃくちゃありました。試合中も時間が経てば経つほど、自信がついてきて。1ラウンド終了した時点で「このまま余裕で勝てる」「もうやられることはないだろうな」と確信していたんで。

――
1ラウンド終了の時点で。

平本
 はい。1ラウンド目に足関の対処がスムーズにできた時点で、これはもういけるなって。

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――
そして実際に勝利をモノにしたと。自信があったとはいえ、試合後の早朝4時頃、勝ったことに興奮して寝られないってツイートされてましたよね。

平本
 いやあ、嬉しかったっすね。久々に本当に“勝負”したというか、相当気合いが入っていた部分はあったんで。今回、いつものような減量がなかったからこそ、試合に集中する時間がすごい長くて、先週の1週間はめちゃくちゃ長く感じたっすね。それもあって寝れなかったっす。やっぱり自分の中で自信はあるけど、半信半疑というか自分のことを信じきれない。格闘家って自信があってもそういう警戒心が大事だと思うんですけど、それで集中力が増しますよね。

――油断しないってことですね。

平本
 だからこそナメずに戦えたというか。勝てるイメージはあったんで、打撃で距離をコントロールしたときに「今日はもう絶対にいける」と。ヤマスさんはレスリングがすごい強い選手ってわけでもないじゃないですか。初見殺しというか、トリッキーな寝技があるので。ボクはグラップリングの基礎をたくさんやってきたからこそ、ファーストコンタクトで初見殺しみたいな技さえ警戒しとけば、まずレスリングで負けることはないかなって思ってたんで。

――レスリングの対応はできると。

平本
 そういうところが試合で見せれたかなと。あんまり組みの展開になってないですけど、自分の中では「普通にできるよ」みたいなところは見せれたかなとは思いますね。

――
この試合で急に覚醒スイッチに入ったのか、それとも鈴木千裕戦の頃から、練習でもこれくらいはできる自信はあったんですか?

平本
 レスリングの練習はたくさんやっていたから、自信はあったっすけど、やっぱ怪物くん(鈴木博昭)との試合を経て、試合でもコントロール可能だなって思ったときに、やっぱり試合を経験することですげえ強くなったというか。スパーリングでも、むしろテイク(ダウン)に来てほしい。そうすると自分に勝機が生まれるんで、そういうふう戦いができるようになりましたね。

――
そのテイクダウンを切って打撃で削って自分のペースに持ち込むと。

平本
 自分の中に穴がなくなってきてるのかなと思いますね。やりたいことができるようになった。形としてできるようになった。

――
一番のピンチは試合前にケガしたことですか?

平本
 そうっすね。ケガが一番……「もう終わった」と思ったんで(苦笑)。

――ケガした直後は欠場する流れだったから、相当落ち込んでいたみたいですね。

平本
 そうっすね。グラップリングがまずできない。踏ん張れなかったし、靴を履いても痛かったし、足を触られたらすぐにテイクされんじゃねえかなってくらいの状況だったんで。

――
松葉杖だったんですよね。

平本
 そうっすね、最初はもう痛すぎて。ちょうど同じ時期に一緒に練習したK-1ファイターも同じ場所を同じように骨折したんですけど、そいつは手術しましたからね。

――
うわ、ヘタしたら平本さんも……。

平本
 ボクは痛みに強いんで、折れて2週間ぐらいは、ただの突き指だと思ってたんですけど。さすがに治んねえなと思ってレントゲン撮りに行ったら、折れてたんで(苦笑)。それでも回復は早かったとは思いますね。

――
そのへんから平本蓮が欠場するんじゃないかって噂が流れ始めますよね。SNSも止まっていたから「逮捕されたんじゃないか」とか(笑)。

平本
 ハハハハハハハ。みんな本当に好き勝手妄想しやがって、逮捕ってなんだよって(笑)。

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――
最初は欠場するはずだったんですよね。

平本
 正直、試合は無理だなって。喪失感もすごくて「どうしたらいいんだろう……」って落ちましたよねぇ。自分の中では戦いにならない、勝負にならんと思ったんですけど。SNSでファンの声が見られる時代だから。想像以上に自分に期待してくれてる人がたくさんいる。出場を「どうしようか」って悩んでるときに、RIZINの事務所で社長(榊原信行)といろいろと話をしてたんです。そうしたらバラさんが「早く蓮と飲みに行ってブルーハーツを歌いたいな……」と言い出して笑っちゃったんですよ(笑)。

――
ハハハハハハ! ブルーハーツ好きの平本さんの口説き文句(笑)。

平本
 それで「出ようかな」って決心ついたというか、ここはひとつ男を見せようと思いましたね(笑)。

――
榊原さんが田村潔司を口説くときは誕生日ケーキを持参して「ハッピーバスデー、タムちゃん♫」と歌ったらしいですから『情熱の薔薇』くらいは軽く歌ってくれそうですよ(笑)。

平本
 自分の中では社長のあの言葉が大きかったっすね。やろうと決めたからには集中力を持ってやろうと。ピンチはチャンスじゃないですけど、逆にすごく高まったかもしれないですね。

――あらためて出場を決めるまでのあいだは、練習されてたんですか?

平本
 まったくしてないっすね。空手の基本稽古はやってましたけど、踏み込む動きはできなかったんで。ケガで思うようにいかなくて試合もどうなるかわからないときに思ったのは、格闘家は格闘技をやってないとヒマだなって。試合に出ると決めたら、一気に楽しくなったし、楽しいぶん集中できましたよね。

――あらためて出ることにはなったけど、ケガもあってフェザー級リミットの66キロまでは落とせないと。

平本 そうですね。体重はケガしたあとも増えないようにはしていて、71ぐらいだったんですよ。めっちゃ水抜きすれば、66キロまで落とせなくはないのかなって感じだったんですけど、やっぱり普段動いて体重を落とすのとはわけが違うんで。

――それで計量で落とせないとなるならキャッチで。

平本
 水抜きも試合当日の朝、ゴールドジムで1時間、弟と軽く動いて計量みたいな感じだったんで。ボクが体格差を活かしたんじゃないかとか言われてるんですけど、ボクはフェザー級でもごついほうでもないし。ドミネーター選手と対面したときに筋肉の感じとか、でかいなって。でも、キャッチウェイトを受けてくれたドミネーターさんに感謝はしてます。それに対して文句を言ってる奴には「うるさいよ!」って開き直ってますね(笑)。

――
このメインが飛んじゃうと、興行的には大ピンチですよね。そこの責任感ってありました?

平本
 ありました。もし鈴木千裕がメインイベントだったら終わってますよ(笑)。

――
言い過ぎですよ(笑)。鈴木千裕選手も摩嶋一整選手の代役で今成正和さんと戦って頑張ってたじゃないですか!

平本
 アイツの試合のときは入場ゲートで待機してたんでんすけど。あんなに他人の足首をひねってくれって思ったのは、初めてですよ。「今成さん、早くアイツの足をポキっと極めてくれ!って祈ってて(笑)。

――
大一番前の心境じゃないし、やっぱり言い過ぎです!

平本
 鈴木の試合の1ラウンド終わったときにハセケンさん(長谷川賢)が「これ、判定まで行くよ。たぶん極まんない感じかも」って。逆にそこで気持ちを整えられたというか。自分の1個前の試合がつまんなかったりすると、選手として出やすいですし。1個前がヘビー級で「絶対に秒で終わるやん」みたいな試合って、やりづらいですよね。白熱のあとの会場に入るよりも、ちょっとシーンとした状態で入るほうが主役感が一気に強まるというか。そういう部分では鈴木千裕には「塩試合ありがとな」みたいな。

――嫌な感謝の仕方ですね(笑)。

平本
 試合前も集中しすぎてて、あんまり覚えてないんですけど。アイツ、マイクすげえ長かったじゃないですか。セコンドの赤沢(幸典)さんに終わったあと聞いたんすけど、ボクはずっとボソボソ「うるせえな」ってずっと鈴木に文句を言ってたらしくて(笑)。

――
覚えてないんですか?

平本
 覚えてないですよ。無意識にずっと口から出ちゃってたっすね。やっぱりアイツは本当に失礼な奴ですから。人気の出ない理由は他人へのリスペクトがないっす。

――
というと、平本さんは他人にリスペクトがあるわけですか?

平本
 それはもう! ボクは尊敬、リスペクトがありますよ。鈴木はどうやったら人気出るんですかね。

――
平本さんならどうプロデュースしますか?

平本
 どうしましょうか。アイツは、本当は独りよがりというか。試合って2人で作り上げるものじゃないですか。まあ、そう思わない人もいると思うんだけど。基本はお互いに「負けねえよ!」みたいな魂のぶつかり合いとに感動が生まれるんですけど。鈴木の場合って、なんか厚かましい。鈴木はこないだ萩原(京平)に勝って、試合後に昇侍とメシを食ったときに「あのときの仇は取りました!」とか言ってて。誰も昇侍もお願いしてねえよ!みたいな(笑)。

――
なるほど(笑)。

平本
 おまえが勝手に美化すんじゃねえよ!っていう。おこがましいじゃないですか。なんか自己中なんだと思う。周りが見えてないですね。

――
話を強引に戻しますが、試合が決まってから本格的に身体を動かし始めたんですか?

平本
 そうですね。いま空手を教わってる岩崎(達也)先生と「よし、やりましょう」となって。打撃もできる範囲でやり込んで、GENで赤沢さんと対策を練って。赤沢さんは「絶対に足関に来るから」と。ワンチャン、スライディングも狙ってると思うと。そこはサウスポーにしたんで、絶対に入ってこれないと思ったんですけど。

――
今回サウスポーだったのはそういう理由なんですね。

平本
 まあ、足のケガもあって不安だったこともあるんですけど。足関対策はホントにやってたので、練習の成果がまんま出た感じだったんで。予習したことが全部かたちになりました。

――
「この問題の答え、わかってる!」という。

平本
 はい。壁際も絶対に負けるわけがないと思ったんで。

――
足の痛みはありました?

平本
 試合に集中しててアドレナリンが出てたんで全然大丈夫でした。終わったあとは痛かったですけど、やっぱり身体が強いんで。

――
最初にローを食らって倒れかけたけど、すぐに立ち上がってパンチを返しましたが、ヒヤリとしたのはあそこですか?

平本
 あれ、マクレガーとエディ・アルバレスを思い出しました(笑)。マクレガー、最初転ぶんで。

――
締めのマイクもマクレガーオマージュでしたし、最初と最後はマクレガーで繋がってるわけですね。

平本
 そうですね(笑)。マイクは思いつきです。喋ることは何も決めてなかったっす。

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――
じゃあ、最後まで冷静に戦えて。

平本
 ボクの中では落ち着いて対処できましたね。蹴りで向こうが近づいてきてくれたので、逆にジャブが当てやすかったし、初っぱなにダメージを与えられたし、スピードでびっくりさせられたのが今回の勝因かなって思いますね。最初に先手を取れたのがすごく重要でした。先手を取るといっても先に手を出せばいいのかってわけじゃなくて。武術空手の「先を取る」っていう自分の強みは出たかなと。

――
鈴木千裕戦で最初にパンチを食らったじゃないですか。あれも先手を取られたことで……。

平本
 あれもそうっすね。不用意に組み付こうとして距離が近すぎて、そこで相手の距離に入っちゃったんで。いまはそこから修正してるので、鈴木と再戦したら瞬殺っすね(笑)。

――
よくわかりました(笑)。話を聞くかぎり岩崎先生の空手の影響は強いんですね。

平本
 そうですね。岩崎先生は本当に面白い方で、武術をすごく研究しているし、頭がすごい柔軟であり、いろんなこと常にずっと研究してるので。合わない選手は本当に合わないかもしれないですけど、自分の中でスッと落とし込めるというか。結局強くなるのは自分次第。格闘技が本当に好きな人だったら、岩崎先生の考えはめちゃくちゃ目から鱗じゃないですけど。ボクなんかは、すごい感動したっすね。総合格闘技に自分は適していると思います。具体的にどういうものかというと説明が難しいんですけど、殺気ですかね。殺気で距離感、空間を支配するっていうか。

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