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ONE5連勝5連続フィニッシュの手塚裕之1万字インタビューです!(聞き手/ジャン斉藤)


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ジョビンチャンネルでできなかった髙田延彦の「八百長」「搾取」の話




――
最近SNSを騒がしている手塚さんに話を聞きたくて宇都宮までやってきました!

手塚 騒がしてるんだ(笑)。

――栃木の山奥から電波を届かせてますよ!

手塚 一応、山奥でも電波は届きますからね(笑)。Wi-Fi繋がりますよ!

――ハハハハハ! 手塚さんからするとSNSで遊んでる感じですか?

手塚 まあ、それはありますね(ニヤリ)。

――秋山(成勲)さん以外は皇治社長やアオシン(青木真也)も階級は合わないですもんね。

手塚 でも、青木さんはライト級だからワンチャンはあるじゃないですか。わかんないですけど。

――手塚さんはウェルター級ですけど、ONEの計量システムがオリジナルとはいえ減量をほぼしていないのは今時珍しいですよね。

手塚 みんなからそうやって驚かれるんですけど、逆にみんなあそこまで減量してまでよく試合をやるなと思いますよ。減量したら鶏ガラみたいになって弱くなるじゃないですか。

――でも、リカバリーすれば戻りますよね?

手塚 戻ると言ったって、やっぱり弱くなっちゃいますよ。俺の場合、最初はプロレスラーに憧れたってところがあるのかもしれないですね。大きい奴は強い。でも、山本“KID”徳郁さんのように小さいのに大きい相手を倒す魅力も格闘技にはある。そうやって強くなりたくて格闘技を始めたのに、減量して疲弊してまではやりたくないなって思います。青木さんも減量はしてないんじゃないですか。

――青木さんもしてないですね。手塚さんは仮にユニファイドでやるとなってもウエルターですよね。

手塚 ユニファイドのウエルターだと77キロですよね。パンクラスのときでもちょっと水抜きしただけで。こうやって「減量は女々しい」とか言いまくってるから「じゃあヘビー級でやれよ!」って声が飛んでくるんですけど(笑)。いまのフォルムよりもでかくなっても強くなれるんだったら全然ヘビー級でやってもいいし、いまでも日本人のヘビー級には勝てると思ってます(キッパリ)。

――ONEの計量システムと相性がいいとはいえ、中量級で外国人相手に5連勝、5連続フィニッシュはすごいですよ。

手塚 日本人に言えることはみんなフィジカルが弱いですよね。

――「フィジカルが弱い」って、いつか口にしてみたい言葉ですよ(笑)。

手塚 あと気持ちすかね。外国人だからってビビってますねぇ。大きく見過ぎっていうか、べつにライオンと戦うわけじゃないですよ。腕2本、足2本の人間、日本人と同じですよ。ボクなんか家にクマが出ますからね。クマと比べたら、外国人なんて余裕ですよ!(笑)。

――ハハハハハ! 家にクマが出るんですか?

手塚 クマ、出ますよ。歩いてるときや釣りしているときに目撃します。ウチの庭のトウモロコシがクマに食われたんですよ。

――庭にクマが現れる!

手塚 すげえデカいウンコして帰ってきましたよ(笑)。クマ以外には、シカ、イノシシも出ますね。

――常に緊張感がある生活なんですねぇ。

手塚 野生界で考えたら減量なんてないじゃないですか。食べなかったら餓死しちゃうんだから。

――たしかに水抜きしてるクマはいないですね(笑)。

手塚 そうなんですよ(笑)。「格闘技=減量」が常識になっちゃってるのはよくないなって思いますね。

――選手のタイプにもよるんでしょうけど、何がなんでも落とせばいいわけじゃないと。

手塚 減量して強くなるとか、パフォーマンスを発揮できる人はもちろん減量したらいいです。体脂肪がある人はいくらか絞ったほうがそれはいいんで。ただ、筋量がしっかりあってバキバキのファイターに関しては、わざわざ階級を落とす必要があるのかな?って思っちゃいますよね。

――手塚さんからすると、日本人は筋トレ不足な面は感じますか?

手塚 筋トレをやったら動きが悪くなるとか、筋トレ不要説をいまだに唱える人がいるじゃないですか。あの大谷翔平がめっちゃやってるんですよ。ボールを投げて打つだけ……なんていったら怒られますけど、格闘技はぶつかり合う競技ですからね。いまだに筋トレをやったら動きが悪くなるとかいう人がいるんで。

――筋トレ否定する人、格闘技にもいるんですか?

手塚 よくそういう声を聞きますよ、ネットで。ジョビンがそうじゃないですか。

――あー、博覧強記で知られるジョビンさんですか(笑)。

手塚 彼みたいに身体がもともと頑丈で、なおかつ身体能力がある人は、技術習得の時間に割いたら国内ではトップになると思うんですけど。世界で戦うためにはフィジカルも上げていかないとダメですよ。

――まあジョビンさんは世界を経験する前に引退しちゃいましたしねぇ。

手塚 車に例えたら筋肉ってエンジンなんです。エンジンが大きければ大きいほどパワーは生まれるし、スピードは出るじゃないですか。ドライバーの操縦部分を鍛えることを同時にしないと、車体だけ速くなって扱い切れないので「筋トレはいらない」となっちゃうと思うんですけど。そこまでしっかり考えてトレーニングすることができれば確実に強くなります。あとは指導者が階級を頭ごなしに決めちゃうから、成長段階の10代に減量を強いることは問題だと思いますね。そこには警鐘を鳴らしたいです。

――フィジカルで劣るからってことで階級を下げるんじゃなくて、ガンガン身体を鍛えたほうが前向きじゃないかってことですね。

手塚 そうです。「強くなるために格闘技始めたんじゃないの?」って俺は思っちゃうんで。減量するって相対的に相手が小さくなるだけで自分が強くなってるかといえば微妙じゃないですか。それって己に打ち勝ってるのかなって疑問ですけどね。

――川尻さんなんかも徹底的にフィジカルを鍛えたから世界で戦えてましたけど。日本人と外国人の身体の違いも指摘されていますよね。

手塚 ちゃんとフィジカルトレーニングしていれば、その差は埋められるっていうか。あと俺はよく「筋肉と米は裏切らない」って言ってるんですけど、みんな米のことを軽視しすぎなんですよ!

――米もナメるなと(笑)。

手塚 大谷翔平がめっちゃ米を食うことを知ってます? 高校時代は茶碗大盛り15杯を食うって聞いたんですよ。

――茶碗大盛り15杯! 米農家の手塚さんはどれくらい食べるんですか?

手塚 俺はそこまでじゃないですけど、5杯くらいは食うんじゃないですかね。ラーメンを頼んだとしても、必ずご飯はつけるんで。みんなすぐに糖質制限とか言うじゃないですか。それってガソリンを入れないようなもんですよ。米というガソリンを満タンにしねえと、本気で練習できない。いい練習ができなかったら強くならないじゃないですか。だから毎回ガソリン満タンにして、スピードをマックスで出せるようにしておいて、いい練習して、いいトレーニングできれば確実に脂肪は減ってきますから。タンパク質が大事とかプロテインを売るためのマーケティングですよ。まあ、俺が言っていることは米のマーケティングなんですけど(笑)。

――米vsプロテイン!(笑)。

手塚 実際、プロテインやサプリメントのマーケティングに踊らされすぎだなって思います。アスリートたちもそこがスポンサーについたら発信するじゃないですか。そうやってどんどん広まっちゃうんですよ。

――手塚米もどこかの格闘家のスポンサーについて、米の布教を……(笑)。

手塚 ハハハハハハ。これは仮説というか、聞いたことがある話なんですけど。欧米の食文化が入ってくる前の日本は、女の人が300キロぐらいの米俵を担いでいたとか。でも、明治時代に入って、だんだん欧米の食文化になってから日本人の身体能力が衰えてきたという話があって。それはやっぱり米を軽視してるから日本人が弱くなってんじゃないか……という説をプロテインやサプリのマーケティングにぶつけたいですね(笑)。

――手塚さんはプロテインなんかは摂ってないんですよね。

手塚 摂ってないです。でも、誰かにもらったりすると飲んだりします(笑)。

――絶対NGではない(笑)。

手塚 ただ、あくまでもサプリメントだから補助なんですね。それに頼るってことはしないです。そっちに傾倒しちゃうんじゃなくて、他に自分がやるべきことをしっかりやる中で補助してもらうのはいいんじゃないですか。サプリメントは嫁も好きでけっこう摂るんですよ。

――奥さんとは宗教が違うんですね。

手塚 もしかしたら俺にサプリメントのスポンサーがついたときは、改宗したんだなって思ってください(笑)。でも、サプリメントを摂らなかった俺が発信するんだから「これは本物だ」ってなるじゃないですか。


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・二瓶空手道場の存在
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・「真也、ありがとう!」
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