
RIZIN3度目の正直なるか? 神戸大会に参戦するライト級キング・オブ・パンクラシスト、雑賀“ヤン坊”達也インタビューです(聞き手/ジャン斉藤)
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・“怪物”安藤達也が遅れてやってきた理由12000字インタビュー
――今日は日曜日ですけど、練習の予定はあるんですか?
――雑賀選手は平日はフルタイムで働いてるから、お休みの日にも練習されるわけですか。
雑賀 そうですね。試合があるときは週5で練習、試合がないと週3~4くらいで「ここだけは譲れないな」っていう練習だけやりますね。
――ここだけは譲れない練習ですか?
――練習はどこでやってるんですか?
雑賀 ここ(DOBUITA FIGHT SPORTS GYM/横須賀)と、ソニックスクワッドですね。
――ああ、横浜のソニックスクワッドまで。
雑賀 あとはパーソナルと走り込みをするジム。その3つを転々としてる感じです。
――平日はお仕事が終わってから練習するわけですよね。どういうお仕事をされてるんですか?
雑賀 ボクはいま横須賀の米海軍基地で働いてまして。基地の中で船の足場の仕事をしています。16歳から足場屋さんで働いてて、マンションとかの足場をずっとやってたんですけど。20歳くらいにベースの中に入って船の足場を作るようになりました。2年くらい前に役職をつけてもらって、あんまり現場には出なくなったんですけど。
――管理職ですか。
雑賀 ちょっとだけ偉くなりました(笑)。「自分が入ったほうが早いな」ってときは現場に出ますね。
――仕事時間はどんなスケジュールなんですか?
雑賀 ウチの部署は忙しくて平日は8時から19時くらいまで働いてます。土曜日は8時から17時です。定時で帰れるんですけど。
――週休2日じゃないんですね。
雑賀 土曜日は休日出勤の手当がつくんで、みんな出てますね。船がしょっちゅう出入りするから、そのたびに足場を作らないといけなくて……。
――そうか、足場を1回作って終わりじゃないんですね。
雑賀 それにいまは安全基準がすごい厳しいから、ちょっとした検査や修理でも足場を作らなきゃいけなくて。
――なるほど、検査するためにも足場を作る。忙しいわけです!
――そうやって仕事と格闘技を両立してるわけですね。
雑賀 試合が決まると、家に帰って10分15分で支度して、ジムに行って……試合が決まってなかったら、自分のペースで「さあ、行ってこよう」って感じなんですけど、1分1秒も無駄にできない。終業は正確には18時45分なんですけど、そこからバイクで家まで20分くらいかかって、19時半前にジムにつく感じです。
――ハードですねぇ。
雑賀 若いときは全然でしたけど、だんだん歳を取ってくると精神的にも肉体的にもちょっとキツくなってきましたね(苦笑)。結局、決められた時間の中でやるしかないんで、なんとかやってます。
――横浜のソニックスクワッドに行くときはどうしてるんですか?
――でも、翌日8時から仕事があるわけじゃないですか。
雑賀 ソニックでスパーリングをやって、家に帰るのは24時くらいですね。アドレナリンが出ちゃって寝れなかったりはけっこうありますねぇ。
――それだと1日2部練は無理ですよね……。
雑賀 あんまりないですね。休みのときは午前中に走って、パーソナルトレーニングを受けて練習とか。まあ、毎日2部練みたいなもんですよね。1部は仕事。足場の上がトレーニングです(笑)。
――ハハハハハ!そうやってキャリアを築いてきたわけですね。
雑賀 たまにイヤになります。やっぱ1日中格闘技をやってたいなって思うときはありました。仕事と格闘技、どっちが好きかっていえば、格闘技が好きなので。
――仕事をやめて格闘技に専念したいと思ったことありますか?
雑賀 そういうことも考えたことはありますけど……それなりに収入もあって、家族もいて、子供も2人いるんで。そこは捨てられないなっていう。
――ご結婚されたのはいつですか?
雑賀 いまボクは35歳ですけど、結婚は20歳と早いんですよ。家も21歳で買ったり……。
――家まであるなら仕事をやめるわけがない(笑)。お子さんは何歳なんですか?
雑賀 もうだいぶ大きくなってきました。中3と中1ですね。
――雑賀選手が格闘技を始めたのは26歳。その時点で家のローンもあって子供もいるとなると……これがまだ若かったり独身だったら専業も考えるんでしょうけど。
雑賀 現実的にちょっと厳しいですよね。やっぱりお金のことも考えなきゃいけないし。
――26歳という遅めの年齢から格闘技をやろうと思ったきっかけはあるんですか?
雑賀 昔から格闘技は好きで。中学校、高校生くらいのときは魔裟斗さん、KIDさんに憧れてて。結婚して仕事して、普通に生活してたんですけど、なんかつまんないな……つまんないっていったら奥さんに怒られちゃうんですけど(笑)。刺激がたぶん足りなかったんですよね。近所に長岡(弘樹)さんがやっているジムがあったんで、通ってみたらドップリとハマっちゃった感じですね。
――バックボーンはないんですよね?
雑賀 はい。小学校のときは空手をやってたんですけど、バックボーンとも言えるほどのものではなくて。26歳から何もなしで格闘技をやったから、周りから「アイツ、いまさら何やってんの?」とちょこちょこ言われたりして。そういう声はイヤだったんですけど、試合で結果を出していけば、そういう人たちって何も言えなくなるじゃないですか。「なめんなよ」って思ってやったら、こんな感じになっちゃって。
――パンクラスのチャンピオンまでなったんですね(笑)。最初からプロファイターになろうと思ったんですか? それともフィットネス感覚?
雑賀 最初は身体を動かしたいってところから始まって。まだ子供が小さかったし、嫁からしてみれば「何を急に?」みたいな感じだったんですけど。最初は土日会員だったんですけど、全然行かなくて。
――家族がいると土日は時間が割けないですよね?
雑賀 あと土曜日は飲み会とかが多いし(笑)、日曜日は家族で出かけたりするんで「なんのために会員になったんだろう?」と。そこからフルタイムに変えて通うようになったら、そのうち試合に出てみたくなって……思いがけない人生ですね(笑)。
――先ほど16歳のときから足場の仕事をしてるという話でしたけど、高校は行かれてたんですか?
雑賀 一応、夜間の学校に5年間、通いました。
――夜間に行った理由はあるんですか?
雑賀 中学校はあんまり行ってなくて……遊ぶことが好きだったから(笑)。
――高校に途中から行かなくなる話はよく聞きますけど、中学に行かないって相当ヤバくないですか? (笑)。
雑賀 中1まではちゃんと行ってて、中2くらいからみんなで遊ぶようになっちゃって。中2、中3はほぼ行っていないですね。
――不良だったんですか?
雑賀 いや、不良じゃないですよ。
――不良は「俺は不良じゃない」と言いがちなんですけど(笑)。
雑賀 ハハハハハハ。 バイクに乗ったり、昼夜逆転する生活でしたね。それでも入れる高校があったんですよね。不良が集まる高校。仲間は何人かそこに行ったんですけど、ほとんどやめましたし、自分も絶対にやめると思ったから行かなくて。友達と一緒に夜間に行こうと。横須賀には夜間が2つあるんですけど、ひとつ落ちたんですよ(苦笑)。
雑賀 落ちました(笑)。それなりにしっかりしてるんですよね。
――夜間ってドロップアウトした人間だけじゃなくて、10 代のときに高校に行けなかった人も多いですよね。
雑賀 そうですね。大の男やおばちゃん、不登校気味だった子、やんちゃしてそうな子とか、いろいろなタイプがいましたね。
――中学校は行かなかったのによく卒業できましたね。
雑賀 1回留年したんですよ。そのときはもう足場の仕事をやりながらだったこともあって、なかなか行かなかったら「次、進学できないよ」と。
雑賀 ボク、おばあちゃん子なんですけど、おばあちゃんに「高校だけは卒業してくれ」と言われて。おばあちゃんとの約束で高校だけは卒業しました。
――おばあちゃんがいなかったら卒業してなかった?
雑賀 してなかったと思います。みんなやめてきますもん。職人やりながらの奴、だいたい夜間をやめます。
――働いていればお金もあるし、仕事が終わったら遊んじゃいますよね。卒業してキャリアアップになるかっていったら、そこまでなんないですよね。
雑賀 高卒もらえるくらいですよね。あのときも昼間は働いて、そのあとは夜間だったから大変でしたね。
――つまり、ずっと二刀流なんですね。
――16歳で学生と職人、いまは格闘技と職人の二刀流(笑)
・パンクラス王座を勝ち取るまで
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