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先日掲載した事情通ZのリンダマンvsCIMA考察記事。CIMA選手には「テキトーだ」と一刀両断されたり、けっこうな反響があったんですが、リンダマン選手からも連絡が……大一番前に取材をしてきました(聞き手/ジャン斉藤)


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――
GLEAT横浜BUNTAIのCIMA戦を前に、Dropkickに言いたいことがあると……

リンダ そうですね。急な話で申し訳ないですけど。

――こないだリンダマンvsCIMAの裏側を勝手に見立てた記事の抗議かと怯えていたんですが、そういうわけではないということでちょっと安心しています。

リンダ ハハハハハハ。

――あの記事は「こういう風に見たほうが面白いんじゃないか」っていう考察だったんですけど。いろいろと考えたくなるくらいGLEATで起きてることは異様なので……。

リンダ プロレスって当事者のプロレスラー同士でも意見の食い違い、解釈の違いがあるし、「なんだよ、これ!」って反発が起きたりするんですよね。いろいろなものがないまぜになったりするからこそ、プロレスは面白いと思ってます。すべてのことをガチ……まあこのガチって言葉を使うのは好きじゃないんですけど、ガチでやっています。

――プロレスとは、先が決まった戦いではないということですね。

リンダ 今回の件を受けてCIMAが「仕掛け」って言いましたけど、これもガチと同じく口にしたくないですよ。逆にいうとガチでやってないってことですかね? もし格闘技的なことがガチだとしたら、格闘技にリスペクトがあるから軽はずみに言えない。そしてプロレスのことを軽んじることもできないから言えない。簡単にガチとは言えないです。

――いわゆる隠語と軽はずみに使うと、安くなっちゃいますよね。

リンダ それはそれとして、今回CIMAはボクや会社に仕掛けられたと思ったんでしょうね。それは向こうから見たらそう感じても仕方ないと思います。じゃあボクからすれば、どうだったか。うーん……まあ……仕掛けましたね。認めます(笑)。

――飛び越えた感触はあるわけですね。

リンダ それは本気のCIMAとやりたかったからです。正直、いまのCIMAはコンディションや動きを見ていると、最前線では戦えないって見てるんですけど。こうやってドンっと振られたときの反射神経というか、勝負所ではやれると思ってるし、実際今回リングも上がってきたCIMAはすごかったですよ。もう怖かったです。怒りもあって熱量がある。本気のCIMAが来てくれたことにボクは本当に嬉しいです。ボクはあのCIMAが見たかった。ただ、これから先、CIMAのコンディションなんかがもっと良くなるとは思えない。やるんだったら早ければ早いほうがよかったんです。

――BUNTAIでやるしかないと。

リンダ BUNTAIのメインでタイトルマッチをやるってなったら、相手はT-Hawkや石田凱士とやったほうがいい試合にはなるんですけど、それこそ想定の範囲内だと思うんですよね。

――クオリティが高い試合にはなるけども。

リンダ いい試合は見せられると思います。だけど、横浜BUNTAIって、いまのGLEATには背伸びしてますよ。その中でも来てくれるお客さんたちに人生に影響を与えるような何かを作りたい。そういう意味でいうと、CIMA目線でいえば、ある程度年齢的にも落ち着いて、定年なんかのリタイアが見えてきてる状態で自分はどう生きていくのか、もう一度チャレンジしてもいいんじゃないのか……って自分に置き換えて見るファンもいると思うんですよね。

――CIMA選手に共感できる世代ですね。

リンダ ボクはいま30歳ですけど、社会でいったらある程度、自分の立ち位置や可能性みたいなものが見えてきてるけど、上がガンガン詰まっているような世代でもある。その状況の中、ある種の革命を起こす、何かを変える。同じ世代にはそこに共感してもらいたいし、そういう挑戦には犠牲が付きものです。最近は「挑戦すればいい」「挑戦は素晴らしい」って言われがちだけど、成功しなきゃダメだっていう覚悟を持って挑戦しなきゃいけない。次の世代のために何かを起こさなきゃいけないし、変えようとしたら犠牲を払う必要はあるんですよ。

――それは普通にシングルマッチをやるだけでは革命にならないと?

リンダ そうです。CIMAと普通に試合をやってスリーカウントで勝ちました。では変えたとは言えないです。

――CIMA選手が「仕掛けた」というほどのことをやったと?

リンダ 変えるためには、やらなきゃいけないはずなんですよ。プロレス界的に見てもここまでやった奴っていないと思うし。

――たしかにこんな攻めてるケースはないですね。

リンダ 対CIMAでもいない。でも、CIMAはウルティモ校長やマグナムTOKYOにやってたんじゃないかな。リング上で見えているかはわからないですけど。

――ドラゴンゲートって時折、不穏な争いが起きてますよね。ただ、リング上でやってるわけではなくて、どちらかが去っていくという。

リンダ それはドラゴンゲートのいう「お客さんに疑問を与えない」というかたちですよね。会場に来てるお客さんには気持ちをよく家に帰ってもらう。でも、週プロを読んだら「あれ?○◯がやめてる……?」みたいな。ボクは全部を見せたうえで、全員に幸せになってほしいです。このやり方が商業的に正しいのかどうかもわからない。でも、ボクはCIMAのためを思ってやったし、CIMAの可能性を信じてる。CIMAを愛してるがゆえに、です。もちろんCIMAが怒ったのも、GLEATへの愛とか、リンダマンへの愛がひっくり返ったからかもしれないです。

――CIMA選手はリンダマン戦でラストマッチ宣言してましたが、年内は引き続き参戦するようですね。この発表の仕方もどう受け止めていいかわからないファンが多いし、解釈が求められますね。

リンダ ボクはCIMAが大好きなので、それがCIMAのためで、それで幸せならいいです。愛があるからこそ離れることも許容します。なんでもかんでもいい仲良くやろうよは、愛じゃないですよ。

――そこまでして本気のCIMA選手に向き合いたいという覚悟があったわけですね。

リンダ そうですね。覚悟はあります。こういう思いって一生懸命やってれば心打つものだと思うし、何回も何回も読み返してしまう小説みたいなもので。「本当はどうだったのか」とかいろんな解釈があると思うけど、正直にいうと「オマエらに絶対わからない」と思っているし、できるだけみんなに伝えるように頑張りますけど……ハッピーエンドになるかどうかはわからないですよ。ただ、さっきも言ったようにCIMAや自分に置き換えて試合を見たファンを勇気づけたいし、元気を与える試合にはしたいです。ボクはそう思ってます。

――CIMA選手はこの試合をどう考えてると思いますか?

リンダ まったくわからないですね。

――Dropkickの考察記事に対して「テキトーだった」というリアクション以降は淡々としてるし、カード発表もだいぶ経ってからされたから、怖かったですね。

リンダ うーん、CIMAが傷ついてることもわかってるし、傷つけたことを悪いとも思ってますよ。会社としては発表のタイミングを向こうに言いにくかったんじゃないですかね。でも、CIMAからしたら「なんで発表しないのか」と思ってたのかもしれないですし。

――なるほど。大一番のメインなのに記者会見をやるわけでもなかったですし……。

リンダ ボクもそのへんを押し切ることもできなかったですからね。そういう意味でいうと、イレギュラーへの対応力は会社とボクには備わってなかったです。

――……話を聞けば聞くほど緊張感ありますね。

リンダ まあ自分でやってといて怖いですよ。本当に怖い。めちゃくちゃ怖がってます。実際に本気のCIMAが目の前に来て、蹴っ飛ばされて張られたときは怖かったし。

――ドラゲーってルチャベースだからナメられがちですけど、道場論や上下関係とか「昭和のプロレス団体」なんですよね……。

リンダ でも、怖くさせたのも下の責任ですけどね。ビビって避けちゃったわけだから。ボクも怖いけど、ガンガンぶん殴られてもいいから前に出ますよ。

――プロレスで世代交代的な試合はたくさん行われてきましたが、なかなか特殊なシチュエーションというか……。

リンダ プロレスって「世代交代、世代交代!」とかよく見出しになるじゃないですか。今回やってみて思いましたけど、他の世代交代とはだいぶ違うんだなって思いました(苦笑)。

――心配なのは人間関係が歪んだ試合って消化不良に陥るときがあって。新生W-1の佐々木健介vs長州力じゃないですけど。

リンダ ボクはそういう意味でCIMAを信用してますけどね。でも、そういう試合になっても許容します。

――話を聞くかぎり、いまのところ信頼関係が見えないですね。信頼関係がないというよりは壊れたまま試合をする。

リンダ ボクは信頼してるけども、CIMAは信頼してないかもしれないっていう状況ですよね。だから考えれば考えるほど怖いですよ。

――オールドプロレスがよく「いまのプロレスには戦いがない」的なことを言うんですけど、いまのプロレスにも戦いはあって。それがあまり表に露出してなかったり、壊れたままにならないだけなのかなと。今回は試合前からこうしてクローズアップされてるのは異例なんですけど。

リンダ なんなら、そういうことをやるのは、プロレスラーとしてはわりと恥ずかしいっていう感覚もあるのかもしれないですよね。だからやったとしても隠すとか、そのニュアンスはお客さんにわからないようにするとか。

――見世物ではないわけですよね。

リンダ でも、こうなったらしょうがないですよね。

――それも変えるための犠牲ですか。

リンダ これってIGF的というか、そういう匂いがします? 破滅に向かってる感じがないとも言えないから。

――うーん、IGFは壊れることを狙いすぎましたね。王道があってたまにズレるから面白いし、そういったハプニング性を持って「俺たちは本物!」という主張が強すぎたというか……今回は昭和・新日本プロレスというか、すごく猪木プロレス的だなって。まあ、あくまで個人的な感覚ですけど。

リンダ メガネスーパー(SWS)でも、こういう試合はありましたよね?ああはなりたくねーよなって。

――北尾光司vsジョン・テンタ、鈴木みのるvsアポロ菅原ですね。あれはもう初手合わせでのすれ違いではありましたけど、今回はそういうわけじゃないじゃないですか。

リンダ ボクは愛をもってCIMAを指名した。ここまではボクの動機ですけど、あそこまで怒る熱量には「CIMAありがとう!」なんですよ。ただ、CIMAからすれば「仕掛けられた」と思ったんでしょうし、そこはボクの歪んだ愛情、間違った愛情かもしれません。

――だけど、ちゃんと試合はやりたいっていことですよね。

リンダ うーん……どうなんですかね?それもわかんないわけですね。

――本気のCIMAを引き出すために動いたけど、試合は壊したくない。

リンダ 試合を壊したくないですよ。でも、正直言って、壊れることも許容してます。でも、それをまとめるのがチャンピオンの責任だと思いますしね。

――プロレスって壊れっぱなしにならない試合はたくさんあったわけですもんね。

リンダ どっちかにまとめる気持ちがあれば、まとまると思います。2人ともにまとめる気持ちがあれば、まとまると思うし、もちろん片方にその力がなかったらまとまらないと思うんですけど。まとまっても、きれいに終わらないかもしれないです。だから怖いですよね。試合自体はすごい単純なものになるかもしれない。ふとした瞬間にバコンと蹴られて終わるかもしれない。だから気が抜けないですよ。一生懸命やります。一生懸命ファンに何かを届けようとして戦います。必ずファンの人生にとって何か大事な試合にするので、真剣に見てほしいです。GLEATに関わるすべての人たちに幸せのために。<おしまい>

会員ゾーンに簡単な編集後記を書いてます