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いさぎよく恋する動画を見てもエエじゃないか! vol.14
2017-07-27 21:15腹痛は治まり身体はスッキリしたが、心と頭にはモヤモヤが溜まっていく。
「おっ 来た来た」武志が気づいて手を上げた。
ベンチに女子2人を座らせて、自分は立っている。
詰めれば座れそうだけど、女子を気遣ってるんだな。
ま、俺もそうするけど(密着したら緊張で変な汗出そうだから…)
「お待たせ〜」
「ねぇ、ちょっと休憩しよ」のぼりが提案する。
「そこでアイス売ってるよ」
藤島が指差した先には、おばちゃんとおばあちゃんの間くらいの歳の女性が、小さなフードワゴンで販売員をしていた。
ワールド内には同じようにポップコーンやクレープなどのワゴンがちらほら出ている。
「じゃ、じゃあ、俺たちが買ってくるよ」
「おー、ありがとー」のぼりが答える。
これまでの失態を巻き返すためにも、小さな気遣いを重ねていくしかない。
「2人は何味にすんの?」
武志が訊くとすかさずのぼりが、
「プリ -
いさぎよく恋する動画を見てもエエじゃないか! vol.13
2017-07-15 11:40早速、キッズタウンマニアに乗ろうと、移動する一同。
しかし、のぼりの余計なブッコミのせいで、俺の当初のもくろみは大幅に崩れてしまった。
動揺をかくせず、その後の受け答えもしどろもどろに。
ファストチケットを使い、並ばずにスイスイと進み、いよいよ俺たちが乗る番になった。
「あ、これって2人ずつ乗るやつなんだな、ペアどうするべ?」
なにぃ!?
ここで藤島と2人にされるのはヤバすぎるぅぅぅ〜〜〜
間を持たせるのもママならないと判断した俺は、必死で弁解する。
「あ、あ、あのさ、キッズタウンマニアは、おなご達2人が乗りたいって言ってたじゃん?なら、のぼりたちで一緒に先に乗りなよ。殿方には殿方の楽しみがあるからさ。な?武志?」
「お、おう。」
あまりの俺の動揺ぶりに、さすがの武志も困惑ぎみだ。
「あはははー。やっぱり健斗って変ー(笑)。
今どき、おなごとか、殿方ってw」 -
いさぎよく恋する動画を見てもエエじゃないか! vol.12
2017-07-05 20:11「変?」藤島が首をかしげる。
「そうそう、なんかいっつも動画観て、一人でぶつぶつ言いながら納得してるの」
ほとんど喋ったことのないフラットな状態の藤島に、変なイメージを植え付けるな!
「へぇ〜 どんな動画見てるの?」
食い付いてきた!ここでしっかり受け応えすればまだ軌道修正できる!
「あ、えと、それは…」
まずい。女子にモテるための秘訣を日夜チェックしている、なんて言えない…。
「人間性を磨くための勉強をしてるんだよな?」
俺の肩に手を回し、アイコンタクトをしながらフォローを入れてきたのは、武志だった。
「そ、そう!人間性!人間性だよ!!」咄嗟に話を合わせる。
武志ぃぃぃ!お前はいつからそんなにイケメンな振る舞いができるようになったんだぁ?!
これならのぼりと付き合えるのも納得だぜ!
さすが俺の親友!心の友!!
武志のナイスフォローに興奮していると、藤島 -
いさぎよく恋する動画を見てもエエじゃないか! vol.11
2017-06-25 20:181天気は、おりしも快晴。
三連休の1日目って事もあり、朝から人が蟻のようにごった返していた。
元来、人ごみが苦手な俺は、あまりの人の多さに辟易しながらも、待ち合わせでの失態を取りもどすべく、動画を繰り返し観て、ばっちり頭の中にインプットした知識のデータベースを、検索し、次なる一手を考えていた。
次なる作戦は・・・
「第三者からの言葉をもらうこと」
心理学的に言うと、”ウィンザー効果”というらしく、人は直接言われるよりも、第三者から間接的に言われたほうが
信憑性・信頼性が増すらしい。
つまり、藤島から観たら、「友達の彼氏」で、”第三者”である武志から、俺の良い面を吹きこんでもらう作戦だ。
昨日観た動画で得たホヤホヤのこの知識を使おうと、朝の電車で作戦会議をしたかったけど、同盟を組んでいる仲間である武志が、まさか俺を悪く言うはずがないだろう。
しかし、武志から良い話を引き -
いさぎよく恋する動画を見てもエエじゃないか! vol.10
2017-06-15 12:211いよいよというかあっという間にというか、デート当日がやって来た。
女子組がデートのつもりでいるのかはわからないけど、
少なくとも俺にとってはまさに運命―ディスティニー―を決める1日になるかもしれない。
まさか初めて行くディスティニーワールドが、こんなにドキドキするなんて……
遊園地とかテーマパークなんて全然興味なかったし、
ディスティニーワールドは学校の卒業旅行の行き先にもちょくちょくなってたから、
行くとしたらそのときくらいだろうな、程度にしか思っていなかった。
武志に誘われてからのここ数日で、ワールドの予習もいっぱいした。
「その熱意を1割でも数学に向けてたら……」という指摘は、今の俺には通用しない。
俺はもう人生の勉強、モテるための勉強にすべてを捧げると決めたんだ!
さわやかな青空の下を歩き、武志と待ち合わせの約束をした駅に着いた瞬間――
「ええぇぇぇええっ!!?」
そこ
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