命名は「川下大洋伯爵」!
「大田王」のタイトルは
毎回「川下大洋伯爵」が決めている!
そのせいで毎回意味不明だ!
『Citizens of Planet Maurice』(1996)
『Bugs in The Black Box』(1997)
『Mission Impatient』(1999)
どれも駄洒落なのか哲学なのか
まったくわからない!
今回も同様である!
1尋ねると100答えて来る彼なので
私も「三上市朗」も
「うん、それでいいよ!」
という事になった!
なにしろ”ジゴワット”という言葉は
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に登場する
脚本家による誤字だそうだ!
本来であれば
「ギガワット」
という膨大な電力数を表したかったらしいが
「ギガ」という言葉がまだこの世に広まっておらず
誤って「ジゴ」と表記されてしまったのだと言う!
はてさて!
大田王2014ジゴワット~Back to 2015』
を開始してみよう!
1.オープニング
『Back To 2014』
作・後藤ひろひと
演出・大田王
出演・川下大洋、三上市朗、後藤ひろひと
タイトルに従うならば
『Back to 2015』にするべきだったが
「川下大洋伯爵」によるそのフレーズに
まったくドラマがひらめかなかった!
なので
「大田王」3人が未来から今年に帰って来る
という入口を用意してみた!
15年の時を経て再結成された「大田王」!
もしも15年前から現在にタイムスリップする
という設定にしてしまうと
我々は15年前と同じ体力消費の演技を
披露しなければいけない!
ならば発想を逆転させて
老人となった我々が
未来から現代に戻ればどうだろう?
それで体力的な衰えも説明がつく!
”中止になってしまった15年ぶりの大田王”
という恥ずべき過去を後悔し続けた3人の老人が
それぞれで作り上げた機械を
一つに合わせる事によって
タイムマシンを完成させる!
そして2014年に戻り
上演されなかった舞台をやり遂げる事を誓う!
短い脚本ながら実に美しいドラマが書けた
と自負している!
プロデューサーの「山村館長」などは
送付した脚本を読むなり
「僕これ泣くかもしれへん・・・」
と老いたもぐらのような声でつぶやいた!
2&3.オープニング・クレジット(映像)
〜『15年ぶりだよ水泳君』(映像)
作・後藤ひろひと
出演・石原正一とその家族
YouTubeなどの普及によって
公共の場でばかな事をやる映像に
世間はあまりにも慣れてしまった!
かつては梅田のゲームセンターや
御堂筋線「東三国」駅ホームなどで
無許可に暴れ回った
「水泳君(石原正一)」だったが
2014年では
あまり爆笑パワーが無いと判断された!
そこで「ハラショー」こと「石原正一」の
実際の奥さんと
生後間もない息子に登場して頂き
「家族のためにも水泳君を辞めたい」
と宣言してもらう事にしたのだった!
撮影が始まるなり「水泳君」は
甲高いおかしな声で話し始めた!
「そんな声だったか?」
と尋ねると
「水泳君は過去に言葉を発した事がないので
どんな声なのか僕にもわからないんです!
違うんやったら言って下さいね!」
と言われた!
「そう言えば私も知らないので
それでいい!」
という事になった!
4.『たのきゅう幼稚園』
作・演出・後藤ひろひと
出演・土田英生、腹筋善之介、三上市朗
楠見薫、後藤ひろひと、川下大洋
久保田浩、石原正一
まずは顔見せのためにも
キャスト全員による出演が必要だった!
タイトルは「加山雄三」による
映画「若大将シリーズ」にて
主人公「田沼雄一」の実家が営む
すき焼き店「田能久(たのきゅう)」
と雑誌『たのしい幼稚園』とを合成して
執筆後にでっち上げた物だ!
1997年の「大田王」にて上演した
『地獄の若大将』の続編とも言える作品で
とにかく次々と自称「若大将」が登場し
前回同様に「土田英生」を惑わせる
というだけの内容である!
『地獄の若大将』を記憶している方は
「加山雄三」という名前を聞いただけで
ぐすぐす笑ってくれた!
我々はその笑い声で
「大田王」のファンを数えた!
『地獄の若大将』では
ヒロインである
「すみちゃん」
の名前を連呼していた「若大将」達だが
後に改めて映画シリーズを見ると
連呼するのは「すみちゃん」よりむしろ
「おばあちゃん」である事に気づいた私は
反省を込めて一人につき5回以上
「おばあちゃん」を呼ばせてみた!
5.『茶番 1』
作・演出・後藤ひろひと
出演・川下大洋、三上市朗、後藤ひろひと
「いくつかの脚本は”つなぎ”をはさんで
つないで行きますよ!」
と稽古場で宣言した総合演出の私だったが
どこでどう狂ったのか
私が”つなぎ”と呼んでいたものは
周囲から「茶番」と呼ばれるようになった!
ほんの短い脚本で
目的は前後の脚本をつなぐだけであるため
たいした演技力も必要なく
覚えてそれを話せばそれで良しとされる脚本!
うん!
いいだろう!
「茶番」で充分だ!
『たのきゅう幼稚園』に出演した
「大田王」3人が再び現れて
「息が切れる!」
だの
「演技ってどうするんでしたかね?」
だのとぼやく!
まずは滑舌(かつぜつ)のレッスン動画を見て
演技の基礎を思い出そう!
という事になり次に進む!
6.『久保田浩の噛んでもなんでも』
発案・後藤ひろひと
出演・久保田浩
”関西演劇界のフレッド・ブラッシー”
と呼ばれるほど台詞を噛む男
「久保田浩」による挑戦コーナー!
「大田王」出演者達により紙片に書かれた
”言いにくい言葉”
を一回で読めるかどうかに挑んだ!
問題難易度は「ボタ」という単位で表され
100ボタ
200ボタ
300ボタ
の3段階が用意された!
噛めばその数だけマイナス点となる!
全ステージ終えたその結果は!
なんと0ボタだった!
YouTubeでは
このコーナーの
オープニングナレーションを録音すべく
苦心する「楠見薫」の姿を映した動画
『東京特許許可局提供』
が配信されている!
7.『スイートメモリーズ』
作・演出・川下大洋
出演・腹筋善之介、三上市朗
楠見薫、石原正一、土田英生
なんとも説明が多かったり
不要な部分によって長尺になりがちな
「川下大洋伯爵」の脚本なのだが
私はこの『スイートメモリーズ』を読んだ時
「大洋さんこれはいいよ!」
と絶賛した!
「腹筋善之介」演じる
”過去を思い出すだけで
その時にタイムスリップする男”
という主人公がとにかく悩む話なのだが
そのテンポも長さも抜群によかった!
もしもあれ以上長く描かれていたら
観客はそのトリッキーなエンディングに
先に気づいてしまっていただろう!
そしてもっと短ければ
内容が伝わっていなかっただろう!
とにかく絶妙な配分の脚本だった!
「ハラショー」が
「応援団に入団」という台詞を
「入援団」という謎の言葉で表現した際には
他の役者が吹き出してしまい
ちょいとした事故になってしまったが
たいした被害はなく上演された!
8.『後藤ひろひとショー』
作・演出・出演・後藤ひろひと
なんの事はない!
次の演目まで
役者が着替える時間稼ぎをするための
私のフリートークである!
15年前に「大田王」で披露した
『うっかー』なるパフォーマンスを
「ハラショー」がどうしてもまた見たい
と言うのでやってみた!
今回の方が小道具の出来がよかったため
私は『うっかー』グッズを終演後譲ってもらい
タキシードケースのポケットに入れた!
これでタキシードを着る際には
不意な余興を迫られても
まったく困る事はないだろう!
9.『タイムカプセル』
作・演出・土田英生
出演・土田英生、石原正一
三上市朗、久保田浩、楠見薫
「つっちー」こと「土田英生」による
この作品の脚本を初めて読んだ時
私は首をひねった!
ほとんど笑える箇所が無かったのだ!
それどころか不治の病に悩む友人を
とにかくみんなでいじめ
果ては「早く死ねよ」とまで言い放つ
とても不愉快な作品だった!
どうしたのだろう「つっちー」は?
と悩んだものだ!
ところが彼は果敢にも
何度も何度も脚本を書き直した!
確かこの作品には
4パターンほど存在した気がする!
最終パターンを読んだ時に
やっと「つっちー」が帰って来た気がした!
タイムカプセルを埋めようとするうち
面倒な友人を埋める事に話がすり替わるあたりは
なんとも「つっちー」だ!
俳優も含めて本編中最も苦心した作品と言えよう!
10.『ことり』
作・演出・出演・腹筋善之介
これはもう「腹筋善之介」の
代名詞とも言えるパワーマイムの名作だ!
私はもう何度この『ことり』を見た事だろう!
彼は打ち上げの席でも
「ことりコール」が起こると
120%の力でこの『ことり』をやってしまう!
構成上ここで『ことり』を配置した事には
大きな理由がある!
2拍子を取るにも難のある男「腹筋善之介」は
次の演目には絶対に参加させられなかったのだ!
11.『Stand by Me』
作・演出・大田王
出演・腹筋善之介以外
1997年の「大田王」で
大きな話題となったこの『Stand by Me』!
味をしめて1999年の「大田王」でも
二匹目三匹目のどじょうを狙った演目
『What A Wonderful World』
と
『てんとう虫のサンバ』
があったが
意外性にも面白さにも著しく欠け
完全な失敗に終わっていた!
ならば無理に新作など作らずに
もう一度かつてのままの『Stand by Me』を
17年ぶりに上演すればいいだろう!
案の定この演目の反響は大きかったようだ!
12.『校庭とヤシ蟹』第7話or第8話(映像)
作・演出・後藤ひろひと
監督・垂見トモユキ
出演・三上市朗・木下政治
1996年の「田王」時代から
唯一続く名物不条理劇!
されど今回は「長岡」役の「木下政治」が
どうしても出演できないとなり
初めて映像作品として作る事となった!
第7話から順に脚本を書き始めたのだが
明らかに後で書かれた物の方が
『校庭とヤシ蟹』の神髄を表現できていた!
そのため上演期間中の私の指示により
全6ステージのうち
本来であれば3回ずつ上映する予定だったものを
第8話を4回
第7話を2回だけの上映に変更した!
屋上で飛行船を眺める第7話を見た人は
ひょっとしたらラッキーだったのかもしれない!
なお『校庭とヤシ蟹』に関しては
「1997年の作品」
と2014年版のメイキング
『校庭とヤシ蟹のひみつ』
がYouTube動画で配信されている!
興味があれば是非ご覧頂きたい!
13.『スタメン発表』
発案・後藤ひろひと
出演・後藤ひろひと・石原正一
「お願いだからこれやらせて!」
と稽古場で頼み込んで実現した
私がどうしてもやりたかった企画!
中心(キャプテン)となる人物や物を設定し
それを中心にサッカーのフォーメーションを組む
というホワイトボード・フリートークだ!
「川下大洋」
「忍者ハットリ君」
「志村けん」などなど
その人物を含む関係者11人を
いかに効率よく配置するかが勝負だ!
無駄に知識の多い「ハラショー」を
アシスタントコーチに指名して
遊びに遊んだ!
中でも「梅田」という回と
「大阪城」という回は
自分でもかなり面白かった!
「梅田」を中盤の中心とすれば
左は「西梅田」で右は「東梅田」!
フォワードのトップは「千里中央」で
ゴールキーパーは「なかもず」となる!
「大阪城」を中心に置けば
自然とフォワードは「太陽の塔」で
ゴールキーパーは「仁徳天皇古墳」となった!
大阪の人にしかわからない事だが
大阪だけで上演するイベントなのだから
それでいいはずだ!
「ワールドカップ」が終わっても
『ワールドカップ・アンセム』
を毎日聴き続けられた
私にとって精神安定剤となるコーナーだった!
14.『タイムマシンにお願い』
作・演出・石原正一
出演・楠見薫、川下大洋
腹筋善之介、久保田浩
「ハラショー」の得意技
”出落ち芸”の真骨頂とも言える脚本に
私は一発おっけーを出した!
たった3人の声優だけで
10人以上のキャラクターを演じなければいけない
アニメの吹き替え作業現場!
「楠見薫」「川下大洋」「腹筋善之介」
というベテラン俳優3人にとって
これほど実力の無駄使いはない
と言える演出だった!
脚本を手に持っての
基本的には朗読劇スタイルだったが
もしもあれらの支離滅裂な言葉を
覚えろと言われたら
狂気の沙汰だったと言えよう!
15.『スミスと呼ばれるヌミヌと書かれた男』
作・演出・後藤ひろひと
出演・三上市朗、川下大洋
後藤ひろひと、久保田浩
土田英生
脚本としては最も古い
1996年の「遊気舎」作品
『びろ〜ん』から
ワン・シーンを抜き出して上演した物だった!
本来『びろ〜ん』からは
「久保田浩」と「川下大洋」による
別の作品を持ち込んだのだが
「つっちー」が
「『ヌミヌ』が好きだったんですよ!」
と言うものだからこの作品に切り替えた!
オリジナル版のタイトルは
『ケビンと呼ばれるクビソと書かれた男』
だったが
1996年に開催された
「扇町コントジャンボリー」の
『ボンジャリー』で上演した際
「”ケ”と”ソ”の書き間違いは
登場する他のキャラクターでもあるが
”ス”を”ヌ”と書くパターンはない!」
という「川下大洋」の指摘から
主人公の名前は
「クビソ」から「ヌミヌ」に変更された!
それにちなんで今回は
『ボンジャリー』と
全く同じメンバーで上演してみた!
「川下大洋」に至っては
台詞を戸惑う箇所まで変わっていなかった!
16.『イノッキオ』
作・演出・出演・石原正一
「アントニオ猪木」の口調で
延々と『ピノッキオ』のストーリーを語り
嘘をついて伸びる物が
鼻ではなく顎という不可解な落ちを述べた後
客席に背を向けると
背中に『イノッキオ』と書かれている
というのが1999年版の完成形だったらしい!
しかし!
肝心の『イノッキオ』と書かれた布が
めくれ上がっていた回があり
(本人は気づいていなかった!)
結局何の出し物なのか
誰にもわからなかったという
曰く因縁つきの自作自演コント!
「お前にあれがもう一回できんのか!」
と猪木口調で尋ねたところ
「俺やりますよ!」
と「藤波辰爾」選手の口調で答えたため
15年ぶりに
またやらなければいけなくなった!
私が見る限りは
気まずい空気に耐える観客と
「ハラショー」のハートの強さとを競う
異種格闘技に思えた!
17.『校庭とヤシ蟹』第9話or第10話(映像+三上市朗)
作・演出・後藤ひろひと
監督・垂見トモユキ
出演・三上市朗、木下政治(映像出演)
15年前にはこんな事はできなかっただろう!
映像の「木下政治」と
実物の「三上市朗」によるコラボ演劇!
インターホンの映像モニタで会話する設定と
パソコンによるチャットを想定した2作品が用意され
どちらも3回ずつ上演された!
前述の通り後に書いた物ほど
面白い脚本が出来上がったので
これら2作品の静かな爆発度はかなり高かったはずだ!
「木下政治」の映像に
寸分違わず台詞を入れる「三上市朗」には
改めて感心したのであった!
18.『チラシで予告ショー』
司会・後藤ひろひと
出演・腹筋善之介、土田英生
久保田浩、石原正一
1997年の「大田王」では
「木下政治」を司会者に
『木下劇場』の名で上演された!
客席で配られたチラシの束から
一人の観客に1枚引いてもらい
その予告編をその場でお見せするという
アドリブ演劇企画!
もちろん知り合いでもなんでもない劇団の
想像もつかない作品が多かったが
それでも無理矢理に予告編を見せてしまうと
客席はおおいに沸いた!
ある時などは
「ピッコロ演劇学校 劇団員募集」
というチラシが引かれたが
それでもやり通してしまうのが
「大田王」メンバーの実力だ!
即興演劇イベント
「インプロビアス・バスターズ」で
10回以上司会をやり続けて来た私なだけに
盛り上げ方も断ち切り方も
しっかり心得ていた!
こんなところでも15年を経て成長していた!
19.『茶番 2』
作・演出・後藤ひろひと
出演・川下大洋、三上市朗、後藤ひろひと
単なる”つなぎ”ではあったものの
エンディングに向けて
「大田王」の3人が
”やっぱり未来へ帰らなければいけない”
という設定をはめ込む大事なパートだった!
タイムマシンが壊れてしまったという設定も
ここで加えておかなければ
エンディングにはうまくつながらない!
私は最初に
それぞれが未来に帰らなければならない理由で
ちょいと涙を煽るような脚本を書き進めた!
それはそれで15年の間に腕を上げた技術だった!
しかし!
それをしてはいけないと感じた!
「大田王」が未来へ帰る事を
観客に応援されてはいけない!
「そんな理由ならなんとかなるだろ!
もっと現代にいろよ!」
と思わせるべきなのだ!
そこで書き換えた脚本に
観客は拍手を送ってくれた!
「お前ら3人共ばーか!」
という心の声が聞こえた!
そう!
これでいい!
私はこの『茶番2』をとても気に入っている!
20.『飛び出せ昆虫君』
作・演出・後藤ひろひと
出演・楠見薫、土田英生
後藤ひろひと、久保田浩
お客さん1名
爆発的な自由さで暴れる「楠見薫」主演の
大暴走作品!
そもそもは「遊気舎」作品内で見せていた物で
1999年の「大田王」において
「昆虫君」の弟「虫五郎(土田英生)」を
登場させた!
今回もそのパターンである!
当時「遊気舎」の”お家芸”と言えば
”客いじり”であった!
最近もいくつかの舞台で”客いじり”を見かけるが
どれもあまりにレベルが低くてがっかりする!
お客さんを舞台に上げてひどい目に遭わせれば
それを見ているお客さんも
不快になる事がなぜわからないのだろう?
それがわからない者に
舞台上からお客さんの心を操る事など
とうていできまい!
聞けばそれで訴えられ
解散になった劇団もあると言う!
私に言わせれば自業自得で同情の余地もない!
舞台に上げられたお客さんに
客席のお客さんが拍手と笑顔を贈り
舞台に上げられたお客さんは
誰よりも得をした気分にならなければ
”客いじり”の意味などないのだ!
21.『腹筋善之介vs羽曳野の伊藤』
作・演出・出演・腹筋善之介、久保田浩
この伝説の対戦がかつて実現したのは
2001年上演の
『天才脚本家』という作品だった!
作者である私は確か
「すごく戦う」
という一行しか書かなかったのだが
実際に上演されてみると
全長10分以上に及ぶ壮絶な戦いが繰り広げられた!
あれから13年!
両者は共に48歳!
しかも現「遊気舎」座長の「久保田浩」は
暴れ回る「羽曳野の伊藤」を
完全に封印していた!
しかし
「どうしてもあれがまた見たい!」
という出演メンバーからの要望に
彼らは覚悟を決めて応えてくれた!
すごかった!
出番の都合もあったのだが
袖の中では役者みんながこの戦いを見て
時には客席に聞こえるほど大声で笑った!
「最後はどうやって終わったらええかなぁ?」
という稽古中の質問に私は
「”サスカッチの歌”を歌ってくれ!」
と頼んだ!
あまりにも強引だったが
理屈などないのが二人の戦いだ!
照明変化も音響効果も一切ない
相変わらずの戦いであるため
著作権にもまったく問題がない!
ならばいずれ
この戦いだけでもネット上で公開したい
と考えている私である!
22.『茶番 3』(声)
作・演出・後藤ひろひと
出演・川下大洋、三上市朗、後藤ひろひと
暗闇の中で声だけの芝居!
しかしここで時間を稼がないと
フィナーレに向けての
「腹筋善之介」と「久保田浩」による
着替えが間に合わない!
少々長尺となったが
これまでの作品を振り返るような内容の会話で
軽く笑いをも誘い
観客を退屈させるには至らなかった!
内容は強引の極みだ!
タイムマシンが壊れた
→バミューダ海域のワームホールに行けば
未来に帰る事ができる!
→アメリカ海軍に入隊しなければ
バミューダ海域には行けない!
→歌って踊れば入隊できる!
なんの事やらさっぱりわからないだろうが
理由は内容会議の始めの段階で
「楠見薫」が
「『イン・ザ・ネイビー』で踊りたい!」
と言い出したせいだった!
23.フィナーレ『In The Navy』
演出・振り付け・楠見薫
出演・後藤ひろひと、三上市朗
土田英生、腹筋善之介
久保田浩、石原正一
川下大洋、楠見薫
平均年齢48歳のばか共が
ばかな衣装を着て
ばかな振り付けで踊る!
不思議なもので誰一人として
「こんなのやりたくない!」
という者はいなかった!
全員が嬉々として
ダンス・レッスンを楽しんだ!
案の定1ステージに一人は
振り付けを間違えた!
それでも誰も怒ったりなどせず
ただ笑った!
かくして15年ぶりの「大田王」は
大きな拍手の中で幕を降ろしたのであった!
私はこの作品を
若手俳優や若手芸人に
いっぱい見て欲しかった!
遊ぶためには技術が必要である事!
技術を得た者はこうやって遊ぶんだよ
という事!
15年ぶりに「大田王」をやる事で
沢山沢山伝えたい事があった!
ブログやTwitterなどで
誰もが簡単に自己表現できる今
舞台に立って観客からお金をもらう者までもが
自己表現などするべきではない!
ネットでの”つぶやき”ほどしか
伝えたい事がないのであれば
舞台に立つ必要などない!
携帯電話に文字を打ち込めばいい!
舞台に立つ者は
観客それぞれの大切な時間を
主食にして生きるべきだ!
それがどれほど貴重な物であるかを
常に自覚するべきだ!
「芸術」とは
その作者が死んでから評価されてもいい
という前提で作られる表現物だ!
しかし!
「エンターテインメント」は
その場にいる人が楽しめなければ
一切価値のない表現物なのである!
だから!
「大田王」は永遠の物になる必要などない!
見た人だけが記憶に残して
あとはすっきり消えればそれでいい!
また見たければ!
またやる!
未来を担う若手芸人や若手俳優が
我々よりも面白い物を作れないようであれば
またいつでも現れる!
「ワールドカップ」と重ならない限り!