ハックルベリーに会いに行く
世界的なプロダクトを生み出す日本の美的感覚:その19(1,866字)
『あしたのジョー』を描き始めた頃、作画担当のちばてつやは、従来からの彼の画風を踏襲する形で描いた。すなわち、3Dの背景に、2Dのキャラクターを重ねて画面を構成した。キャラクターは、相変わらず記号化された、簡素なものだった。
ところが、連載を重ねるうち、その画風が大きく変わってくる。それは、原作者である高森朝雄(梶原一騎)の影響であった。
高森朝雄は、小説家志望の若者だった。彼は、それほどマンガに精通していたわけではなかった。また、これまで『巨人の星』の原作を担当していたことから、どちらかといえば劇画の絵に慣れていた。漫画調の、記号化された簡素な絵にはあまり馴染みがなかったのだ。
例えば、『巨人の星』では、主人公の星飛雄馬が非常に小さく描かれている。それとは反対に、彼が相対するライバル、オズマや伴宙太といった存在は大きく描かれている。なぜなら、登場人物の大きさは、『巨人の星』の重要なテーマで
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