ハックルベリーに会いに行く
世界的なプロダクトを生み出す日本の美的感覚:その37(1,965字)
歌舞伎に「ケレン」という美的概念がある。
ケレンとは、必要以上にオーバーに見せたり、格好をつけたりすることだ。「見栄」といって、カッと目を見開いたりするのがその特徴なのだが、動きでも、遅いところと速いところの緩急をつけることで、面白さや美しさを表現している。
ケレンの特徴は、いわゆる「誇張」にあるとされているが、逆に考えると、その分要らないところを「省略」しているともいえる。むしろ、余計なものを一切削り取るからこそ、誇張する部分が美しく栄える。つまり「ケレン」とは「省略の美学」であるともいえるのだ。
また、面白いことには日本には、もう一つ、このケレンがないことをよしとする価値観もある。言葉にすると文字通り「ケレン味のない」となるのだが、ケレンが余計なところを省いて、美しい、面白いところだけを際立たせていたのに対し、「ケレン味のない」はその美しい、面白いところまでをも省いてしまう。そうして実
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