智代は、遠くを見るような顔つきになって話を続けた。
その話に、サト子は食い入るようにして聞き入った。サト子が昔の話をするというのは滅多にないことなのだ。
「だから、あの変な生き物――台獣が現れてからは、ますます尊敬するようになって」
「えっ?」とサト子が驚いた顔で尋ねた。「――どうして?」
「あら、話してなかったかい?――」と智代は、苦笑いをするような顔になって言った。「あの子は、生物学っていうのかい? それの研究者だったんだ。だから、台獣が現れてからは本当に忙しくなってね。あの子の大学が、政府の依頼だかなんだかで、代表して調査することになっていたんだ」
それを聞き、エミ子の