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台獣物語38(2,372字)
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台獣物語38(2,372字)

2016-10-15 06:00
    38

    「あの子は……英二は、おまえのお父さんのことが大好きですね」
     智代は、遠くを見るような顔つきになって話を続けた。
    「いつもお兄ちゃんの背中ばかり追いかけて。歳がちょうど一回り離れていたから、喧嘩なんていうのも全くなくて。あの子は、おまえのお父さんを本当に尊敬していた」
     その話に、サト子は食い入るようにして聞き入った。サト子が昔の話をするというのは滅多にないことなのだ。
    「だから、あの変な生き物――台獣が現れてからは、ますます尊敬するようになって」
    「えっ?」とサト子が驚いた顔で尋ねた。「――どうして?」
    「あら、話してなかったかい?――」と智代は、苦笑いをするような顔になって言った。「あの子は、生物学っていうのかい? それの研究者だったんだ。だから、台獣が現れてからは本当に忙しくなってね。あの子の大学が、政府の依頼だかなんだかで、代表して調査することになっていたんだ」
     それを聞き、エミ子の
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