ハックルベリーに会いに行く
台獣物語54(2,498字)
54
「英二、おまえはやさしい。とてもやさしい。しかし、やさしすぎるのは弱点だ。おまえは、おれと違う。おれと違って、いつも誰かのために道を譲る。しかし英二。これはおれが言うべきことではないかも知れないが、人は、生きているだけで誰かに迷惑をかけることがある。人は、生まれながらにして罪深い存在だ。だから、それを受け入れなければならない。どういうことかというと、罪深い存在としての、逞しさを持つ必要があるということだ。罪深い存在として、もっとエゴイスティックに生きる必要があるということだ。
英二。おまえは、今のままではやさしすぎる。今のままでは弱すぎる。もう少し強くならなければならない。もう少し図々しくならなければならない。もう少し世の中の良い面だけではなく、悪い面も見つめなければならない。もう少し潔癖ではなく、もう少し汚く生きなければならない。
英二。本当に純粋な水のところでは、魚は暮らして
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