ハックルベリーに会いに行く
世界的なプロダクトを生み出す日本の美的感覚:その71(1,756字)
宮﨑駿は若い頃から多くの逆境――過酷な生産現場――を体験してきたが、不思議なことに逆境であればあるほど、すぐれたアイデアを生み出してきた。また自意識の強い彼は、自分自身でもそのことに気づいていた。
取り分け、監督デビュー作の『未来少年コナン』はかつてない過酷な環境となったが、そこではある種のビッグバンともいえるような自身の演出家としての急激な成長を果たすこともできた。
こうしたできごとを通じて、やがて彼は逆境そのものを一つの「技化」していく。スキームとして構築していくのだ。つまり外部から与えられていないにもかかわらず、自ら作り出していくのである。
宮﨑駿の映画の作り方は、まずは自らを追い込むところから始まる。前の映画を制作し終わると、いや映画を制作している途中から、「これが最後の作品になる」と自らに念じ続け、実際に映画が終わったタイミングでは引退宣言をする。
引退宣言をすると、その後に膨大
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