キューブリックの作品は、1970年代半ば頃からくり返し模倣されるようになった。特にときどきの若い監督に模倣された。

彼らの多くは子供の頃にキューブリックの深甚な影響を受けており、いざ監督になってみると、どうしても影響を受けたシーンを模倣してみたくなるからだ。サンプリングしたくなるのである。

すると、そのサンプリングもまた成功した。例えば、キューブリックの『バリー・リンドン』には格闘シーンがあるが、普段は滑らかな、あるいは定点撮影を多用するキューブリックが、ここではなぜか手持ちカメラを用いている。そうして、視点が大きく揺れている。いわゆる「ブレ」ている。まるで酔いそうなほどだ。

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この格闘シーンの手持ちカメラは、しかしその後、格闘シーンのある種の定番となった。多くの監督が、もはやサンプリングしているという意識すらなしに、この手持ち撮影によるブレた映像を格闘シーンに用いるようになったのだ。

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