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映画のサンプリングについて研究する:その16(1,934字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 56ヶ月前
映画監督になったキューブリックは、初期の自主制作をしていたときには写真家の時と同様、自分でもそれなりに満足のいくものを作れていたが、大手スタジオで撮り始めてからちょっとした挫折を味わう。スタジオやプロデューサーの力が強すぎて、自分の思うような映画が撮れなかったからだ。特に、『スパルタカス』という...
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映画のサンプリングについて研究する:その15(1,685字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 56ヶ月前
ノーマン・ロックウェルは、1940年代から50年代にかけて絶大な人気と大きな影響力を誇った画家でありイラストレーターである。彼の名前は知らなくとも、その絵を見たことがない者はいないのではないだろうか。その特徴はいくつかあるのだが、ここで注目したいのは、彼が「ドキュメンタリー的な手法を用いている」という...
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映画のサンプリングについて研究する:その14(1,555字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 57ヶ月前
イギリスへ渡って以降のキューブリックは、今なお世界中でサンプリングされ続ける芳醇な傑作群を生み出した。しかしなぜ、キューブリックの映画はここまでサンプリングされるのか?実は、そのことの研究というのは現状あまりされていない。ほとんどの人が、そのことを意識すらしていないだろう。ほとんどの映画人は、キ...
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映画のサンプリングについて研究する:その13(1,762字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 57ヶ月前
ここで、『フォレスト・ガンプ』における『フルメタル・ジャケット』のサンプリングを見る前に、そもそも「キューブリックとは何か?」ということについて見ていきたい。なぜかといえば、キューブリックは映画120年の歴史の中で、最大の「サンプリング元」だからである。キューブリックほど、引用、参照される作家は他に...
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映画のサンプリングについて研究する:その12(1,893字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 57ヶ月前
映画『アマデウス』においては、老齢のサリエリが神父に対して問わず語りにモーツァルトのことを話し始めるところから映画が始まる。そのまま回想シーンに流れ込んでいくのだが、その中で時折サリエリのモノローグが指し挟まる。観客は、それがモノローグと分かっているから純粋なナレーションとは思わないが、しかしそ...
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映画のサンプリングについて研究する:その11(2,052字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 57ヶ月前
『フォレスト・ガンプ』(1994年公開)は、そもそもがロバート・ゼメキス監督の「サンプリング映画を作る」というコンセプトから始まった。ゼメキスは、1978年に『抱きしめたい』で映画監督デニューすると、1984年の『ロマンシング・ストーン 秘宝の谷』で一定の評価を得た。これをきっかけにスティーヴン・スピルバー...
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映画のサンプリングについて研究する:その10「映画の禁じ手」(2,046字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 58ヶ月前
『フォレスト・ガンプ』は、典型的な「サンプリング映画」である。ここで「サンプリング映画」の定義を確認しておきたい。それは大きく三つある。一、監督が映画好きで、「あの映画のあのシーンをサンプリングしたい」という明確な目的をもって映画を制作している。二、場合によっては、ストーリーやキャラクターよりも...
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映画のサンプリングについて研究する:その9「なぜ映画のサンプリングは『パクり』と非難されないのか?」(1,964字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 58ヶ月前
「デジャ・ビュー」という現象がある。初めて見る景色なのに、以前に見たことがあるように思ってしまう感覚のことだ。あるいは、夢で見たことがあるような感覚のときもある。日本語だと「既視感」という。このデジャ・ビューという現象は、いまだにどうして起こるのか、よく分かっていない。脳の中で起こっているのだが...
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映画のサンプリングについて研究する:その8「映画と音楽の違い」(1,817字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 58ヶ月前
キューブリックの作品は、1970年代半ば頃からくり返し模倣されるようになった。特にときどきの若い監督に模倣された。彼らの多くは子供の頃にキューブリックの深甚な影響を受けており、いざ監督になってみると、どうしても影響を受けたシーンを模倣してみたくなるからだ。サンプリングしたくなるのである。すると、その...
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映画のサンプリングについて研究する:その7「映画史上最高の監督は?」(1,616字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 58ヶ月前
映画はおよそ120年の歴史がある。その長い歳月の中で、最高の映画監督を一人選ぶとしたら、おそらく多くの人がスタンリー・キューブリックの名前を挙げるだろう。理由はいくつかあって、一番は彼の映画が後世に多大な影響を与えた――ということだ。キューブリックほど映画という文化に大きな爪痕を残した存在は他にいない...
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映画のサンプリングについて研究する:その6「『真夜中のカーボーイ』をサンプリングしたことの意味」(2,112字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 59ヶ月前
『フォレスト・ガンプ』は、サンプリングに満ちあふれた映画だ。その内容はというと、主人公のガンプが、アメリカ(とそれにまつわる国)の、さまざまな年代(主に50年代から80年代)のさまざまな場所を駆け巡る――というものである。そういう構造になっているから、いろんな映画からサンプリングがしやすい。逆にいえば...
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映画のサンプリングについて研究する:その5「『フォレスト・ガンプ』がサンプリングした映画」(2,011字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 59ヶ月前
『フォレスト・ガンプ』の中で、ダンとフォレストはニューヨークの道を渡る。このとき、タクシーに轢かれそうになったダンが「I’m walking here!」と怒るのだが、このシーンにはサンプリングした元ネタがある。それは『真夜中のカーボーイ』だ。1969年の作品で、ジョン・ヴォイトとダスティン・ホフマンの二人が主演して...
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映画のサンプリングについて研究する:その4「最初の意識的なサンプリング映画としての『フォレスト・ガンプ』」(1,799
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 60ヶ月前
夢というものは、現実を再構成して新しい物語にする。だから、それは現実がベースになっていながら、現実とは少し違っている。また、そのベースとなる現実も、あくまでも自分の見た現実、つまり「印象」によるものだから、本物の現実とは少し異なる。そういうふうに、夢は現実をベースとしながら現実とは少し異なった様...
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映画のサンプリングについて研究する:その3「サンプリングは正確でない方がいい」(1,742字)
コメ0 ハックルベリーに会いに行く 60ヶ月前
映画『戦艦ポチョムキン』は、映画におけるモンタージュ手法を確立した作品として歴史に残った。そして乳母車は、そんな『戦艦ポチョムキン』の象徴である。『戦艦ポチョムキン』というと、誰もが乳母車を思い出す。逆に『戦艦ポチョムキン』の他のシーンを忘れても、乳母車だけは記憶に残っている。映画『アンタッチャ...
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映画のサンプリングについて研究する:その2「『アンタッチャブル』と『戦艦ポチョムキン』」(1.785字)
コメ2 ハックルベリーに会いに行く 60ヶ月前
ぼくが映画のサンプリングを最初に意識したのは1987年に公開された映画『アンタッチャブル』(現代『The Untouchables』)においてだ。「アンタッチャブル」とは「触れてはいけない」という意味で、禁酒法の時代、マフィアのドンだったアル・カポネを逮捕しようと、合衆国財務省の捜査官たちは不可侵的な捜査(マフィア...
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映画のサンプリングについて研究する:その1「群衆に紛れて逃げる」(1,841字)
コメ2 ハックルベリーに会いに行く 60ヶ月前
人には既視感というものがあって、そこに訴えかける――というコンテンツの作り方がある。その昔、山口百恵のプロデューサーをしていた酒井政利さんが、何かのインタビューで「ヒットする曲は初めて聞いたときに『どこかで聞いたことがある』と思わせる」と語っていて、なるほどなと膝を打った。映画においてもそういうこ...