こうして「もしドラ」を小説形式で書くことが決まった。
その加藤さんとの最初の打合せの帰り、ぼくは夜道を歩きながら、携帯電話で実家に電話をした。すると、母親が出た。しかし、この時は夜も遅かったので、すでに寝ていたようだった。
寝ぼけ声で電話に出た母に対し、ぼくは本を書けることになったあらましを簡単に説明した。

すると母親は、眠そうな声で「良かったじゃない」と言った。
それからぼくは、自分の決意を表明するため、それまで心の奥に閉まっていたことを母親に告げた。