ハックルベリーに会いに行く
マンガの80年代から90年代までを概観する:その16(1,814字)
「ポーズ」という要素は、マンガにおいてきわめて重要だ。もちろん、絵画においても重要なのだろうが、マンガにおいてはより重要といえるだろう。
なぜなら、マンガは「動きを錯視」させるということを、一つの大きな目的(目標)に据えているからだ。そもそも、手塚治虫がマンガを描き始めたのは、アニメを作りたいのに作れないというジレンマを解消するところからだった。
そのため、手塚を含めた以降のマンガは、全て大元のコンセプトとして「動かしたい」という欲求がある。また、「それが適わないからせめて動いているように見せたい」と願いながら描くのである。
そして、それを最も効果的に伝えるのが「ポーズ」だ。例えば、手塚治虫の『新宝島』の冒頭に出てくる自動車は、運転をしている主人公の姿勢が、頭を低くした前のめりのポーズになっている。
これだけで、読者はそこに「風の動き」を感じる。風圧を感じる。ここで描かれている車はオープン
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