普段は連載について書くところだが、今日はちょっと別のことについて書きたい。「別のこと」というのは、新しい本についてだ。今度新しい本が出ることになった。タイトルを『ゲームの歴史』という。稲田豊史さんとの共著だ。全3巻で講談社から出る。

この本は面白い。そのことは間違いないのだが、しかし問題なのは、ぼくの心である。正直、「面白いからどうした」という気持ちがある。ぼく自身、最近頭が冴えきっているのだが、それに伴って心は不調になるばかりである。面白いということを極めた気持ちになってしまった。面白い本を書くことを極めてしまった。それで、なんとなく燃え尽き症候群的なものに陥っているのだ。

ぼくは今、著者としては絶好調だが、人間としては絶不調である。端から見ると良いことばかりのようだが、心は暗い。どこまでも暗い。しかし鬱病とは違う。鬱病は脳内のホルモンバランスが崩れることだが、ぼくのは脳には何の問題もな