諧謔――という言葉がある。意味は「こっけいみのある気のきいた言葉。しゃれや冗談。ユーモア」というものだ。

ただ、ここにはないが、ぼくには「ふざけ」という意味も込められていると思う。中でも、大人っぽい、しかつめらしいふざけが「諧謔」だ。

江戸時代、諧謔を表現する方法の一つに「狂歌」があった。狂歌で有名なのは、歴史の教科書にも出てくる次のものだろう。

「泰平の眠りを覚ます上喜撰 たつた四杯で夜も眠れず」

「上喜撰」とは緑茶の銘柄のことだ。そしてもちろん「蒸気船」にかけている。浦賀にペリーの黒船が四隻来航し、開国を迫った。これで、幕府は慌てふためき、結果、世の中は大きく変わった。

だから、「夜も眠れず」というのは、暗に幕府のことを指している。「国のお偉いさん方は、ペリーにしてやられてさぞかし大変だろう」という意味だ。

つまり、普段から自分を抑えてくる同調圧力の、その象徴ともいえる「お上」への皮肉