20世紀に入ると、庭を巡る状況は混沌としてくる。都市が進化、また巨大化することで、中産階級が再び庭を持てなくなったのだ。

まず建築技法の進化によって、都市部では高層建築による集合住宅が一般化し、人口が過密化した。そうなると、庭を持たないことの方が再び一般的になった。
さらに都市は巨大化し、農村からたくさんの若者を吸い寄せた。そうして、多くの中産階級が都市部に住むようになった。おかげで、庭から縁遠くなる人の割合も増えたのだ。

そんなふうに、19世紀には一度、一般の人々の手にも渡った庭は、20世紀に入ると再びお金持ちの専有物になったのである。
そうした中で、お金持ちが郊外に広大な邸宅を構え、そこで庭を作る――という復古的な流れが生まれた。

そこで、2つの歴史的傑作庭園が生まれる。それは、「アイフォード・マナー・ガーデン」と「ヒドコート・マナー・ガーデン」だ。これらを順に見ていきたい。

まずアイ