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週末に見たい映画#019「コーラスライン」(2,072字)
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週末に見たい映画#019「コーラスライン」(2,072字)

2013-05-03 06:00
  • 6
映画「コーラスライン」は1985年に作られた。今からもう30年も前の作品である。
しかしぼくは、最近初めてこの作品を見た。当時は見ていなかった。

なぜ今になってこの映画を見たかといえば、アシスタントの女の子が教えてくれたからだ。彼女は、子供の時にこの映画のあるシーンを見て、強い衝撃を受けたのだという。
それは、オーディションのシーンだった。オーディションを受けているダンサーの女の子が、バレエを踊れなかった。バレエのレッスンを受けていなかったのだ。
それで、演出家で審査員のザックは、その女の子に「帰りなさい」と退場を促す。バレエが踊れなければ、このオーディションは受ける資格はない、というわけだ。

しかしながら、その女の子は必死に食い下がる。そうして、見よう見まねで周囲のバレエを真似て踊り出すのだ。
すると、それを見たザックは、立ちあがってこう怒鳴るのである。
「Don't dance!(踊るな!)」
そうして、女の子に再び退場を命じるのである。さすがの女の子も、今度は泣きながら逃げるように会場を後にしていった。そうして、二度と戻ってくることはなかった……


アシスタントの女の子は、それを見て非常なショックを受けたというのだ。
「やめろ」と言われても必死に踊っているから、てっきりザックはやさしい言葉をかけるのかと思った。あるいは、そういう根性を評価して、逆に合格にする――くらいまで想像した。
ところが、映画のザックはそれとは正反対のことをした。不合格どころか、怒鳴りつけて追い返したのだ。

それがトラウマにさえなったと、彼女は説明してくれた。
そんな彼女の紹介がとても面白かったので、興味を抱いて見てみたのだ。
 
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表現者、かぁ・・・
僕は、以下の言い回しが大好きなのですよ。

「最高の表現者が創作した、天才的な創作物は、
見る人それぞれが持つ感受性のレベルに応じてしか、語りかけてこない。」

その言葉を信じていろいろな芸術に触れてはいるものの、依然としてちんぷんかんぷん。
僕の恐ろしいほど低い感受性のレベルを実感する今日この頃です・・・。

とまぁ、そんな戯言はさておき、
ダンスでもなんでも、芸術の世界は人のエゴや時代の流れが、各表現者を濁流の最中へと追いやる、
不安定な世界なのでしょう。

僕くらいにしか感受性のレベルを持ち合わせていない人が、
単に金を持っている・社会的地位が高い、というだけで表現者を選り好みし、
自分が理解できないほど高いレベルの創作を”断罪”して追放することもしばしば・・・。

でも、そんな目にあってまで、彼らは何を表現したいのでしょうか・・・
合理性が行動基準の僕には、理解できない境地です。

No.1 140ヶ月前

彼我と他我の境界線上の真空に吸い込まれる現象を表現しようと考えるのが、創作者なのでしょうか。

No.2 140ヶ月前
userPhoto 岩崎夏海(著者)

>>1
表現者は己を縛りつけている業のようなものを感じ、それと正面から向き合うことに合理性を感じるのだと思います。そういう価値観の人々なのだ、ということができるのではないでしょうか。

No.3 140ヶ月前
userPhoto 岩崎夏海(著者)

>>2
そうですね。その中間のところで嘘をつき、他人を夢見心地にさせるのが表現者だと思います。

No.4 140ヶ月前

岩崎さんがあのエンディングの演出について、どう思われたかお聞きしたいです

No.5 140ヶ月前
userPhoto 岩崎夏海(著者)

>>5
エンディングというのはみんなで列になって踊る場面でしょうか?

No.6 140ヶ月前
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