まず、「蓬莱式庭園」と「縮景式庭園」について見ていく。

「蓬莱式庭園」というのは、文字通り「蓬莱」を中心に据えた庭のことだ。「蓬莱」とは「蓬莱山」のことで、「不老不死の仙人が住む」とされている。中国の想像上の山のことだ。

そして、それを信仰することを「蓬莱神仙思想」という。この思想は、「長寿」を願い、それを至上の価値とする考え方だ。そのため、長寿の象徴である鶴や亀をモチーフにすることも多い。

蓬莱山のビジュアルは、中国の水墨画によく見られるような、崖が切り立った岩のような山である。従って、蓬莱式庭園のビジュアルも、水墨画を模して、切り立った岩で表現することが多い。それを池の中や、あるいは陸地の一番高いところにそり立たせるのである。すると、そこがまるで不老長寿の世界のように見える、という仕組みだ。

また、周囲には鶴や亀などを、これも岩や植栽で表現して配置する。そうやってこれでもかというくらい