ハックルベリーに会いに行く
石原莞爾と東條英機:その39(1,824字)
当時の陸軍将校には有り体にいって「バカ」と「ずる賢いやつ」しかいなかった。ちなみにここでいう「バカ」とは、勉強はできるが考える力がない者のことだ。バカは皇道派になり、ずる賢いやつは統制派になった。
そして、バカとずる賢いやつは相性が悪い。文字通り犬猿の仲である。ぼくもずる賢い人間だが、バカがこの世で一番苦手である。
ところで、なぜ陸軍には「ずるくなくて賢いやつ」がいなかったのか? それは全部山縣有朋のせいである。山縣有朋がずるい政治を長年に渡って続けてきたから、賢いやつは皆それに倣ったのだ。
そういうふうに、ずるさは伝播する。組織の風紀を決定的に乱す。だから、リーダーがずるいやつでは絶対にダメだ。自慢ではないが、ぼくもリーダーに向いていない。リーダーは、バカでもなく、かといってずる賢くもない人間がするべきだ。
林銑十郎は旧加賀藩、つまり朝敵側の武家の出身だった。ところが、山縣有朋が権勢をふ
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