ここまで2年に渡って庭について見てきたが、次回を最終回としたい。その前に、今回は重森三玲について書きたい。

重森三玲は1896年、明治29年に岡山県に生まれる。日本美術学校で日本画を学ぶ。その後、東洋大学で文学を学んでいる。

大学卒業後、画家を目指すが挫折。その後、生け花の道に進み、花を通して庭に出合う。30代で生け花の新たな流派を立ち上げようとするが、家元制度を敷く旧来からの流派と衝突し、上手くいかなかった。

重森三玲が38歳の1934年、室戸台風で京都の数多くの神社が壊滅的な被害を受ける。当時、神社やお寺は経営に苦労していたので、なかなか庭の修復費用まで捻出できず、その多くが荒廃してしまう。

これを憂えた重森三玲は、ボランティアで修復作業に乗り出す。またそこで、庭についてより深く学ぶためと、貴重な設計やデザインを記録し残そうという意図で、1936年(昭和11年)より全国の庭園を巡って独