今回は「イージー・ライダー」という作品なのだが、これについてまともに語ろうと思ったら、2000字ではとても足りない。
というより、「イージー・ライダー」を見るのに理由は要らない。この作品は、前回の「クレイマー、クレイマー」でも同じような表現を使ったが、映画が到達した一つの極北である。一度見たら、誰でも「これは見るべき作品だ」というのが分かる。映画史に燦然と輝く金字塔なのだ。

「イージー・ライダー」が金字塔になった理由の一つに、「作られた環境」というのがある。その環境の中でも、取り分け重要なのが「年代」だ。
これは、1969年に作られた作品なのだが、実はこの年代に、「イージー・ライダー」が名作になったことの重大な秘密が隠されているのだ。